EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
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環境・労働安全衛生(EHS)リスク管理におけるコンプライアンス・生産性・オペレーションの問題はますます範囲が広がり、複雑になっています。EHSリスクの適切な管理によって、現場の生産性と財務業績の改善が期待できることが分かっています。
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テクノロジーだけの問題ではない
EHS分野では、デジタルテクノロジー導入に向けた取り組みの失敗例がいくつもあります。デジタル管理システムの設計に問題があり、ユーザーをいら立たせ、失望させているケースや、自動化しても効率化できなかったケース、最新のガジェットがすぐに無用の長物になるケースなどはほんの一例です。
EHSをデジタルテクノロジー化する取り組みは、テクノロジーそのものを導入すれば終わりというわけではありません。実際に、今では数々のテクノロジーが高度化しており、最大の弱点ではなくなりました。それどころか、企業の多くは「ソリューション過多」に悩まされているか、思考が「デジタルまひ状態」に陥っています。今日の課題の多くは、そのニーズに合うよう専用に開発されたアプリで満たされています。つまり、数多く存在するソリューションの中から適切なものを探し出し、連携させ、統合することが今日の課題なのです。
また、その取り組みの成否を決めるのは、多くの場合、デジタル以外の要素です。この要素には、例えば以下のものがあります。
- 解決すべき問題と、その解決に必要な新しいテクノロジーの要件と判定基準の完全な把握
- 企業主導でステークホルダーから意見を聞き、その関与を促し、研修を行う取り組み
- 求められるデジタルおよび主題に関する分野の専門知識と経験の確保
- EHS面のニーズと影響に配慮した、より幅広いデジタル戦略の確立
- テクノロジーを活用して寿命を延ばし、価値を高めると同時に、投資収益率(ROI)も改善できる、調達(人材採用や購買など)に関する決定
EHSの専門家は、デジタルテクノロジーのプラスの効果を高め、マイナスの影響を抑えようと努めています。今後は、EHSテクノロジーやデジタルソリューションの導入に当たり、デジタル以外のこれらの要素をクリアすることがますます不可欠となっていくでしょう。
何をもって、EHSテクノロジーの導入を成功とするのか?
EHSテクノロジー構想の成功は以下のように定義されます。
- 主要なステークホルダーの期待と目的をかなえる
- EHSパフォーマンスを向上させる
- EHS関連のリスク管理を効果的に支援する
- より幅広い業務運営に組み込む
- 組織全体が一丸となり、テクノロジーの導入に取り組む
より具体的には、以下のような成果をもたらします。
- EHS関連のリスク管理の強化により、労働災害の発生率が低下し、労働環境が改善する
- 効率性の向上とEHSプロセスの改善により、リソースが解放され、より重要な問題に注力できるようになる
- リアルタイムに入手した綿密なデータから、より適切なリソースの配分ができ、意思決定がスムーズになる
- EHSテクノロジーを活用する現場の能力が向上し、変革を起こすようなテクノロジーを利用できるようになり、問題解決能力が向上する
取り組みのこれから
EHS部門がデジタルテクノロジーを効果的に活用し、EHSパフォーマンスを持続的に向上させていくことは簡単ではありません。しかし、組織がさらに成功を重ね、そこにEHSの専門家がきちんと寄与するには、この持続的向上を実現させる必要があります。
新しいデジタルテクノロジーが次々と誕生する今、何から手を付ければよいか戸惑うこともあるでしょう。簡単なソリューションはありません。万能のソリューションも、長期的な向上を約束する最新のガジェットもないのです。
それでは、デジタルテクノロジーをうまく活用して、EHSのリスクをより的確に把握、管理し、被害を減らすために、組織は何をしたらよいのでしょうか?
組織が行うべきこと
解決すべき問題と、何をもって「解決した」とするかを明確に把握する
事故や危険事項、リスクと同様に、問題を明確に理解しなければ、何が必要であるかをきちんと把握することはできません。
その時点でのEHSデジタル成熟度を評価する
デジタルの世界では一足飛びに事を進めるようなリープフロッグ戦略がうまくいくことはほとんどありません。現状を正確に把握せずに、達成可能で明確な進行計画を立てることは至難の業です。今は使っていない昔のソフトウェアライセンスなど、従来のテクノロジーをいまだに持っている組織も多いため、その時点でのデジタルシステムを評価することも、この計画立案の一部に含まれます。
デジタルテクノロジーを戦略的な観点から捉える
特定の問題を個別に解決するだけでなく、組織の目標の達成にも目を向けて、一致協力した構想と効果的な変更管理プロセスを策定しましょう。
EHSに関わるデジタルシステムとソリューションの統合と自動化を図る
このようなシステムとソリューションにより、カスタマイズ可能で、正確なデータをリアルタイムに入手しやすくなり、十分に情報を得た上で意思決定できるようになるはずです。システムは、信頼に足る堅牢性と、使いたくなるような魅力を備えていなければなりません。
デジタル能力の育成に投資し、外部のサポートを活用する
世の中のことを何でも知っている人はいませんし、全てに精通することがEHSの専門家の役割ではありません。むしろ、デジタルテクノロジーを活用してEHSパフォーマンスの向上を図りたいと考えている部署が、自分たちのニーズを把握し、必要に応じて戦略的にサポートを得なくてはなりません。何が成功に必要かを理解している、信頼できるアドバイザーを見つけるなど、取り組みを成功させ、統合型のデジタルアーキテクチャを構築するのに適したサポートを得ることが不可欠です。
この記事で述べてきたように、テクノロジーの活用だけでは、デジタルイノベーションの導入を成功させることはできません。必要なのは、その分野の専門知識と経験、役に立つテクノロジー、そして人間を中心に考えるアプローチの3つです。
EYのEHSチームは各組織と連携して、その組織が取るアプローチを状況に応じて調整し、デジタルテクノロジーを積極的に活用して、EHSの成果を向上させる支援を行っています。
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