EY Japanは、経営改革とチェンジマネジメントに関する市場調査結果を発表しました。コロナ禍で人やモノの流れが変化し、多くの企業が働き方改革やビジネスモデルの変革に迫られています。一方で、経営改革を成功に導くことは容易でなく、企業はその成功方法を模索しています。このような企業を支援するために、EYは日本における経営改革の成功要因を明確にすることを目的とした、市場調査を実施しました。250以上の企業から得た回答をもとに、さまざまな範囲(既存事業改善・拡大、新規事業立ち上げなど)や規模(全グループ会社、1社単体、複数部門、単体部門など)の経営改革について、分析を行っています。
本調査結果において、改革がより複雑化しており、変化を加速させ改革を成功させるためには、チェンジマネジメントの活動と専任の要員がカギとなることが分かりました。ここで示すチェンジマネジメントとは、改革において“ヒト”と組織に着目した、改革をうまく進めるための手法を指しています。経営層から一般社員に至るまで改革の受容度を評価し、改革によるヒト・組織、業務、システムへの影響をつぶさに分析して、改革を成功させ定着させるための施策を実施していきます。なお、本調査は、産業能率大学 経営学部教授、経営学博士である小出琢磨氏と協働し、経営改革の傾向や、改革における成功要因を明確にしました。
これまで日本では多くの企業が経営改革を行ってきましたが、目的が達成できない場合が多くみられます。本調査では、「改革を完全に成功した」のはわずか19%でした。一方、チェンジマネジメントの活動を行えば行うほど、改革の成功率は向上するという結果がみられました。
改革に関わる従業員が改革に賛同していることは、改革の成功には必要不可欠な要因です。成功した改革の63%が従業員の賛同を得ており、失敗した改革の従業員の賛同度合いと比較すると30%と大きな差があります。さらには、チェンジマネジメントを行っている企業は、19ポイントも従業員の賛同度合いが高いことが確認されました。
チェンジマネジメントを行うことで、改革に伴う変化へ適応することができます。具体的には「改革について、従業員に十分に説明され、よく理解されている」、「改革の背景、ビジョン、ゴールは明確に定義されている」、「改革を推進するのに必要となるリソース(ヒト・モノ・カネ・情報)は十分に確保されている」が上位としてあげられました。
なお、今後求められている改革は、複数の部門をまたがる改革(76%)や、大幅なビジネスの変化を伴う改革(78%)など、これまで行ってきた改革より複雑で難易度が高いことがわかりました。すなわち、改革を成功させるためには、今まで以上にチェンジマネジメントの重要性が増しています。