EY Japanは日本のエネルギー需給に関する予測「エネルギービジネス変革へのカウントダウン」を公開したことをお知らせします。本予測は3つの転換点についてシミュレーションを実施しました。
世界的なSDGsの潮流を受け、日本政府は2020年12月に「グリーン成長戦略」を発表するなど、カーボンニュートラルへの移行が加速しています。このような状況において、以下のタイミングを正確に読み、中期経営計画や製造計画を策定することが、多くの企業の経営にとって必要不可欠となります。
- 再生可能エネルギーの大量導入の本格的な開始
- 「エネルギーの地産地消」を可能とする分散型電源が一般化
- 電気自動車(EV)が本格的な普及期に入り、ガソリン・ディーゼル車から置き換わる
そのため、EY Japanは、国際的に共通化されている定量データをもとに、2050年までのエネルギービジネスで重要となる3つの転換点「Tipping Point」について独自にシミュレーションを実施しました。さらに、再生可能エネルギーの導入が先行している欧米の事例に基づき、発電・送電・小売という電力バリューチェーンで求められる短期的・中期的な投資戦略について仮説を提示します。
「エネルギービジネス変革へのカウントダウン」の概要は以下の通りです。
- EY Japanが予測する2つのエネルギー変革シナリオ:
EYは「ベースシナリオ」と「アグレッシブシナリオ」の2つのシナリオを予測しています。「ベースシナリオ」は第5次エネルギー基本計画に基づく目標を達成する前提で各諸元を設定しています。他方、「アグレッシブシナリオ」はより高度な技術導入と規制の強化により、2050年には電源由来のCO2排出をゼロとするシナリオを想定しています。
- エネルギーの転換点となる3つの「Tipping Point」:
EY Japanは、電力事業に重要と考えられる3つのタイミングを「Tipping Point」 とし、以下のように定義しました。
T1: 「分散型太陽光発電と蓄電システム由来の電力料金」が、「グリッド供給される電力料金」と同等になるタイミング
T2:電気自動車と従来型のガソリン・ディーゼル車の保有コストが同等になるタイミング
T3:「分散型太陽光発電と蓄電システム由来の電力料金」が「送電コスト」と同等に達するタイミング
これらのTipping Pointが「いつ」到来するかを正確に見定めることが、各企業の中期経営計画や製造計画策定にとって重要です。
- エネルギー変革のシミュレーションサマリ:
電気自動車とガソリン・ディーゼル車の保有コストは、2025年から2028年の間で等価となり、電気自動車が劇的に普及し始めることが予想されます。また、分散型太陽光発電と蓄電システムによって供給される電気料金は、2029年には系統電力と等価となり、ユーティリティスケールの電力事業から分散型電力事業への移行が進行します。さらに、2046年に送電コストと等価に達することで分散型電源市場の拡大が考えられます。
EY Japan エネルギーマーケットセグメントセクターリーダー 白羽 龍三は次のように述べています。
「EY Japanは日本の電力市場の変化に関する3つの転換点についての予測をEY Japan Countdown Clockとしてリリースいたします。世界に誇る品質を持つ日本のエネルギー事業者の皆さまにおかれましても、この先30年の変化のインパクトを受けることになると予想されるため、今回の内容を事業計画刷新の一助としてご利用いただければ幸いです。今後もサステナブルなエネルギーエコシステムの構築を通じ、人々が豊かさを感じられる社会の実現を目指したいと考えております」
さらに、EY Japan エネルギーセクター コンサルティングサービス パートナー兼SDGsカーボンニュートラル支援オフィス サブリーダー 細谷 友紀は以下のように述べています。
「地球環境に対するより負荷の少ないエネルギー源へのシフトが世界的に起きています。 EY Japan は企業やエネルギー利用者のエネルギー転換を促進することを意識して提言・活動を行ってきました。電源の分散化を初めとするエネルギー革命は一時期な流行ではなく、永続的な事業活動であり、生活様式の適正化の営みでもあります。これらの変化を構造的に捉え、社会の変化を能動的に起こすべく今後も最高のプロフェッショナルサービスを提供していきます」
詳細は以下のページよりご覧ください。
・2050年カーボンニュートラル達成のために必要な変革とは?~EY独自エネルギー需給予測モデル~