ニュースリリース

2021年9月30日 東京, JP

EY調査、企業はポストコロナ以降の柔軟な働き方にコミットすることに慎重

「EY Work Reimagined Employer Survey 2021(EY働き方再考に関する経営者意識調査2021)」の調査結果によると、世界中の大部分の企業は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大が収束した後の勤務体制について会社側の意図を今もなお従業員に伝えていないようです。

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  • 回答企業の79%は、ハイブリッド型の勤務体制を整えるために、働き方改革を「ある程度」あるいは「広範に」実施する予定でいるが、 具体的な方針を従業員に伝えている企業はわずか40%
  • 企業側の意図が明確に示されないため、柔軟な働き方を望んでいる従業員の帰属意識は低下
  • 90%の従業員が柔軟な働き方を望んでいるが、35%の企業はパンデミック収束後に全従業員を対象とするオフィス再開を希望

「EY Work Reimagined Employer Survey 2021(EY働き方再考に関する経営者意識調査2021)」の調査結果によると、世界中の大部分の企業は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大が収束した後の勤務体制について会社側の意図を今もなお従業員に伝えていないようです。こうした企業の対応は、新しい働き方をポストコロナ以降も希望する従業員の帰属意識の急激な低下を招いています。

今回の経営幹部向けの調査は、世界9カ国、25セクターのビジネスリーダー1,000名超を対象に実施され、ハイブリッド型の勤務体制がもたらすリスクとオポチュニティーに対する考え方をはじめ、COVID-19の感染拡大が労働環境に及ぼした影響について彼らの見解を詳しく探りました。そして、その調査結果と、最近実施した従業員を対象とする調査「EY Work Reimagined Employee Survey 2021(EY従業員調査 コロナ禍から始まる労働環境ハイブリッド時代の勝ち抜き方)」の調査結果を比較分析しました。

両調査結果によると、79%の企業は、「ある程度」あるいは「広範に」働き方改革を実施してハイブリッド型の勤務体制を強化する予定でいます。勤務時間と勤務場所に柔軟性を求める従業員は90%にも及び、こうした企業側の取り組みは、従業員の見解を反映しています。しかし、その計画を従業員と共有している企業はわずか40%に過ぎません。大半の従業員は、柔軟性、組織文化、生産性などの重要課題に関する企業側の意図を知る由もなく、両者の間で意識の分断が生じている可能性があります。

計画を従業員と共有していない回答企業の場合、新しい働き方の方針がまだ具体的に固まっていない、あるいは決定事項を伝えるタイミングを見計らっているようです。これは、世界各国・地域によってCOVID-19パンデミックのステージに大きくばらつきが見られることがある程度影響しているのかもしれません。

EYグローバル・ピープル・アドバイザリーサービス担当サブリーダー兼ワークフォースアドバイザリーリーダーであるLiz Fealyは、次のように述べています。

「ポストコロナ時代においても従業員は柔軟な働き方を求めている、ということを企業は十分承知しています。しかし、ほとんどの企業では、ハイブリッド型の勤務体制とオフィス再開に関する方針を従業員に明確に示していないため、従業員との関係がかつてないほどに危ういものになっています。多くの企業は、柔軟な働き方を従業員に確約することに慎重になっており、新たな働き方が求められる時代に適応する必要性を理解していても、実行に踏み切れずにいます」

Fealyは、次のようにも述べています。

「多くの従業員は、期待通りの柔軟性を得られない場合、その会社を辞めることも厭わないと思っているようです。従って、時代の潮流に適応することができない企業では従業員離れが進むリスクがあります。ビジネス成長を望むのであれば、柔軟な勤務体制の構築に向けて計画・方針をしっかり定め、それを従業員に確実に伝える必要があります。そして、企業側と従業員側の優先事項を考慮しながらその内容をさらに詰めて、双方にとって有益なものにしていくことが不可欠です」

柔軟な働き方の重要性は強く認識されています。しかし、35%の回答企業はCOVID-19の収束後に全従業員を対象とするオフィス再開を望んでいます。そうした企業の中には、オンサイト勤務が不可欠な業界もありますが、その他は、バーチャル勤務が可能でありながらも、従業員にオンサイト勤務を求めています。

出張に関しては、51%の企業が、ポストコロナ以降はコロナ以前よりも出張回数を減らしたいと回答しています。一方、66%の従業員は以前のように出張を再開したいと考えています。

組織文化と生産性に関する主要課題においても、企業と従業員の間で顕著な意識のズレが見られます。COVID-19の感染拡大をきっかけに組織文化が改善したと感じる企業は4分の3近く(72%)を占めていますが、同様に感じている従業員は48%でした。生産性についても、「どこからでも測定可能である」と82%の企業が回答しているのに対し、同様に感じている従業員は67%でした。 

対処すべきさまざまなリスク

本調査では、参加した企業に、ハイブリッド型の勤務体制への移行に伴う、身体的な健康リスク以外のリスクについても回答して頂きました。その回答を集計したところ、約半数(45%)の企業が、スケジュールや勤務場所が固定される業務の場合、職務の性質によっては公平・公正性が担保される従業員とそうでない従業員が存在する可能性があり、全従業員に平等に公平・公正性を担保できるかどうかが最大のリスクのひとつであると回答しています。また、43%の企業が、どうすれば人材を維持・確保できるか、どのように柔軟性を提供すればよいかなどの課題を主な懸念事項として挙げています。さらに、ハイブリッド型の勤務体制は、組織文化や創造性、従業員間の連携などに好ましくない影響を与えるリスクがあると40%が指摘しています。

上記のリスクに加え、回答企業はさらに、次世代人材の育成(39%)、生産性の担保と測定(36%)、新しい働き方に不可欠な従業員のアップスキリング(スキル向上)/リスキリング(学び直し)(30%)、ハイブリッド型の勤務体制に資する先端技術の導入(28%)、従業員のウェルビーイング向上(28%)などを挙げています。

こうした課題やリスクに対処しながらハイブリッド型の勤務体制への移行を進める際に、「職場の安全性」について考慮することも非常に重要です。本調査結果によると、43%の企業がオフィス勤務を開始する前に従業員にワクチン接種を求めています。また、従業員がワクチン接種を受ける際には有給休暇扱いにするなどのインセンティブを付与してワクチン接種を推進する企業も概ね同様の割合を占めています。

Fealyはさらに、次のように述べています。

「企業は、このような多岐にわたる複雑なリスクを抱えているため、多様な労働力を網羅するオフィス再開プランを簡単には定義できない状況にあり、柔軟性を明示・提供してくれる企業へと従業員が転職してしまうリスクに晒されています」

EYアジアパシフィック・ピープル・アドバイザリー・サービス日本地域代表である鵜澤慎一郎は次のように述べています。

「今回の調査は経営者を対象に行った点がユニークであり、この世界の調査(約1, 000社)に日本からも30社の経営者が参加しており、関心の高さがうかがえます。ハイブリッドワークに代表される新しい働き方改革は人事課題ではなく、経営課題であり、経営者自身が自分の考えや将来ビジョンを内外で積極的に発信することが今求められています」 

※本ニュースリリースは、2021年9月21日(現地時間)にEYが発表したニュースリリースを翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。

英語版ニュースリリース:
Businesses suffering ‘commitment issues’ on flexible working

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