ニュースリリース

2022年12月12日 東京, JP

EY 調査、企業は気候変動対策で予想外の財務的リターンを取得

EYは、全世界で売上高が10億米ドル以上の企業を代表する500人以上の最高サステナビリティ責任者(CSO)およびそれに準ずる者を対象とした調査「2022年サステナブル・バリュー・スタディ」を発表しました。

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  • 本調査によると、500社以上のグローバル企業の約70%が、地球に恩恵をもたらす気候変動対策から予想以上の財務的リターンを確保
  • この結果は気候変動対策が業績に悪影響を及ぼすのではないかという認識を改めるもので、調査によると3分の1の企業が気候変動対策を取り止め
  • 既存の気候変動に関するコミットメントの大半は、パリ協定の目標に沿うほど進んでおらず、45%プラスの排出量削減を計画している企業や2030年までに達成する目標を設定している企業は半数以下
  • 日本企業は気候変動対策を通じた財務面ならびに社員の得た価値は想定よりも低いと判断


EYは、全世界で売上高が10億米ドル以上の企業を代表する500人以上の最高サステナビリティ責任者(CSO)およびそれに準ずる者を対象とした調査「2022年サステナブル・バリュー・スタディ」を発表しました。

本調査によると、断固とした気候変動対策を講じている企業は、収益の伸びや利益といった分野で予想外の財務的価値の恩恵を受けており、10社中7社が予想を上回る財務的利益を得ていることがわかりました。実際、最も意欲的に気候変動対策に取り組んでいる企業においては、財務的な利益も最も大きく、予想を大幅に上回る財務的リターンを得る可能性が2.4倍も高いという結果が出ました。また、大胆に行動している企業は、社員の定着、採用、ブランド認知、顧客の購買行動などの分野で、予想外の効果を得ています。

このことは、気候変動対策が業績に悪影響を及ぼすのではないかという懸念を打ち消すものです。調査によると、こうした懸念は、企業が気候変動対策をさらに進める上での最大の障壁となっており、回答者の36%が、短期的に業績に悪影響を与え、市場での競争力を低下させるのではないかと危惧しています。

この結果は、まだ野心的な気候変動対策計画を明らかにしていない企業にとって、気候変動対策を講じることに財務的メリットがあることをより確信させるものです。パリ協定の目標と比較すると現行の対策は達成度も速度も不十分であろうことから、ビジネスと世界的な持続可能性の双方にメリットがあることを示すこの調査結果の重要性は一層高いです。

調査対象となった企業の大多数(93%)が気候変動に関する公約を掲げていますが、2030年までの公約は3分の1強(35%)、半数以下(42%)は45%以上の削減を計画しています。2030年までに45%の削減は、パリ協定が定めた世界の気温上昇を1.5度と2度以内に抑えるという世界目標に相当します。回答企業のうち、ネットゼロにコミットしているのはわずか11%でした。
 

EY Global Vice Chair (サステナビリティ担当)であるSteve Varleyのコメント:

「パリ協定は各国政府の目標である一方、ビジネス界が満たすべき基準も定めています。残念ながら、その基準を満たすには、あまりにも行動が遅すぎます。しかし、今、行動を起こしている企業は、足を引っ張っている企業に対して、新たなビジネスチャンスと真の財務的リターンを逃していることにすぐに気づくことができるような教訓を与えています。断固とした行動を起こしている企業は、より持続可能な企業となり、ステークホルダーの優先事項を実現し、株主に財務的価値をもたらす方法について、すべての企業の指針となる『ロードマップ』をより明確にしています」

「サステナビリティは、ビジネスの中核に位置づけられるべきであり、競争優位性と価値を創造し、資本主義のプラス面を発揮して、私たちが必要としているビジネスの脱炭素化を支援するものです」
 

さらなる知見

企業は、業績に及ぼす影響への懸念に加え、さらなる気候変動対策への取り組みを阻む複数の障壁を認識しています。これらの障壁の多くは、気候変動への対応に「コミット」しながら「行動」しないという文化を生み出す恐れがあります。

  • 取締役会または経営陣の気候変動に関する専門知識の欠如
  • 関連する人材の確保やスキルアップの難しさ
  • 排出量を削減するためのデータや技術の不足
  • 気候変動対策に必要な資金の確保が困難であること

さらに、企業のリーダーシップチーム内での協力体制の欠如が、効果的な行動を取る能力に影響を与えており、回答者の62%が、イニシアティブを評価する際にどの基準が最も重要であるかについて取締役会と経営陣が一致しないと答え、61%が多くのグループが関与するため進展が困難であるとみています。企業が気候変動に投資する動機の上位には、ビジネスの回復力を支える(59%)、ESG評価の向上(57%)、主要なステークホルダーからの要求への対応(56%)、気候変動に対処する科学的必要性への対応(53%)が挙げられています。

前向きな点としては、回答した企業の過半数(61%)が、来年は今年よりも気候変動対策に費用を投じる予定であり、4分の1は「大幅に増やす」予定であることがわかりました。
 

Steve Varleyの追加コメント:

「企業による気候変動対策の推進には、現実的かつ文化的な障壁がありますが、今回の調査結果は、それらを克服しようとする真の意欲を示すものです。今こそ、公約を行動に移す文化を根付かせる勢いをつけるべきであり、そうすることで明確なビジネスの必要性とリターンがあるのです」

 

EY Japanチーフ・サステナビリティ・オフィサーである瀧澤 徳也のコメント:

「今回の調査から明らかになった日本企業の特徴は、コンプライアンスへの意識が高く、規制に呼応して動く傾向があるということです。今後1年以内に予定している対策の数についてはグローバルよりも少ない結果でした。さらには、取締役会や経営陣が十分に策を講じていると判断している一方で、専門人材の確保やスキル向上が課題となっています。環境が整うのを待つのではなく、まず動き始めることが必要です」

 

※本プレスリリースは、2022年11月2日(現地時間)にEYが発表したプレスリリースを翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。

英語版ニュースリリース:
Businesses finding unexpected financial benefits from climate initiatives

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