消費者主導の再生可能エネルギーへの移行をエネルギー事業者が導くには

執筆者 Greg Guthridge

EY Global Power & Utilities Customer Experience Transformation Leader

Supporting business transformation by leveraging digital technologies. Driving innovation at speed and placing humans at the center of the dialogue. Outdoor enthusiast, photographer and wanderer.

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EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 エネルギーセクター アソシエートパートナー

エネルギー業界の健全な発展への挑戦。2児の父。週末のバスケットボールで汗を流す。

10 分 2022年3月15日

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  • 消費者主導の再生可能エネルギーへの移行をエネルギー事業者が導くには(PDF)

「オムニシューマー」と呼ばれる新たな消費者の出現は、シームレスで洗練された顧客体験を提供することによって、エネルギー事業者が差別化を図るチャンスをもたらします。

要点
  • エネルギーの移行をめぐる議論ではテクノロジーに注目しがちだが、より持続可能な世界へ進むためにはヒトの存在を抜きには語れない。
  • EYは世界中のエネルギー消費者を対象に、消費に対する姿勢がどう変化しているのか、またエネルギー事業者はそれにどう対応すればよいのか調査した。
  • 調査から導出された6つの戦略的重要課題への対応を行うことで、エネルギー事業者は差別化と成長の新しい機会を捉え、顧客中心の変革を推進できる。

 EY Japanの視点

2020年以降、電力やガスの自由化が進むスピードを超える速さで市場にも変化の兆しが見えてきました。それは消費者がエネルギーを単独のサービスとして捉えず、生活必需品の一部として消費財や通信サービスなどと同様に、同一ブランドからの提供を選択することを志向し始めていることからも見て取れます。いずれもサービスのエンド・ツー・エンドでのDXがユーザーを囲い込むことにつながり、さらなる多角化を目指したエネルギーサービスの提供に成功しています。

一方、SDGsや環境保護への意識の高まりから太陽光発電システムやHEMS(Home Energy Management System)を導入し、自家利用のみならずグリッドに供給する消費者も珍しくなくなりました。EVの普及で自家発電による充電や、電力価格が安い時間帯に充電し、場合によっては電力価格が高い時間帯に自家利用やグリッドに供給するといった取り組みも始まっています。単なる消費にとどまらない消費者の行動変化を敏感に察知し、柔軟かつスピーディーに対応していくことが、これからのサービス事業者には求められるでしょう。

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EY ストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
エネルギーセクター アソシエートパートナー 椎橋 航一朗

EY ストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
カスタマーエクスペリエンス・トランスフォーメーション ディレクター ⼩阿瀬 孝俊

政府の政策、消費者トレンド、テクノロジーという大きな波が三拍子そろった今、再生可能エネルギーへの移行が加速しています。しかし、エネルギーの移行を語るとき、話題の中心は再⽣可能エネルギーのテクノロジーやインフラですが、本当に大事なのはやはりヒトです。今後は消費者がエネルギーの移行を主導し、エネルギーを提供する側はその道を照らす存在にならなければなりません。そのためには、エネルギー事業者は持続可能な世界の構築に向けて消費者に⼒ときっかけを与えると同時に、顧客満⾜度を⾼め、新たな収⼊源の確保やコスト削減に取り組んでいく必要があります。

EYでは世界17カ国3万4,000人のエネルギー消費者を対象に調査を行い(PDF)、変化し続ける消費者のニーズ、価値観や期待、また消費者エンゲージメントについて調査しました。調査では、現在の顧客体験に不⾜しているものが判明したと同時に、エネルギー事業者の改善と差別化の機会となる6つの重要な消費者トレンドが明らかになりました。 

EYの調査から、エネルギー事業者が6つの戦略的重要課題に集中的に取り組むことにより、ヒトを中心に据え、テクノロジーを活用し、消費者を引きつけるような事業へと再構築することが可能となることが見えてきました。

  • 調査対象について

    世界17カ国から多様性に配慮して抽出した18歳以上の住宅⽤エネルギー消費者3万4,000⼈を対象に実施しました。幅広い消費者の視点を取り⼊れるため、料⾦を⽀払っているかどうかにかかわらずあらゆる世代・所得レベルの⼈を抽出して調査対象としました。

(Chapter breaker)
1

第1章

無理のないエンゲージメント

重要な瞬間の手間をなくすことが期待と満⾜の差を埋めます。

⼿頃な価格と信頼性に次いで、手間(エフォート)は顧客体験に関する満⾜度を決める重要な要因であり、全体的なサービス満足度の90%を占めます。しかしながら基本的なサービスですら、顧客体験における手間を減らすための技術、プロセス、⼈材、考え⽅に対しエネルギー事業者の多くが苦慮しているのが現状です。エネルギー体験のしやすさに満⾜している顧客は半数をわずかに上回る程度(58%)です。しかもEYの調査では、顧客の期待はもはや基本的なサービスにとどまらず、選択肢の拡充や⾃分の価値観との⼀致、シンプルで分かりやすいサポートなど、さらに多くのことをエネルギー事業者に求めるようになっていることが⽰されています。

エネルギーの移行がさらに進むにつれ、顧客の期待に応えることはますます複雑化することが今回の調査からうかがえます。多様化する新たなエネルギー商品・サービスを採用する消費者は増加し、これら商品・サービスの多くはエネルギー事業者と顧客のこれまでの関係を根本から変えることになります。市場や技術や社会の変化に押され、今まで受動的だったエネルギー利⽤者は、より積極的で能動的な「オムニシューマー(omnisumer)」に道を譲っていくでしょう。オムニシューマーとは、多数の場所、ソリューション、事業者にまたがるダイナミックなエネルギーエコシステムに参加する⼈たちのことです。オムニシューマーが求めるシンプルながらも洗練されたエンド・ツー・エンドの顧客体験は、エフォートレス・エンゲージメントの新たな基盤となるでしょう。

オムニシューマーにとって、シンプルながらも洗練されたエンド・ツー・エンド体験は、エフォートレス・エンゲージメントの新たな基盤となるでしょう。

重要な瞬間における手間をなくすことに焦点をあてることで、改善の基礎を築くことができます。消費者にとっての重要な瞬間とは、利用・購⼊契約、新サービスや新機器の利⽤開始、引っ越し⼿続き、初回の請求やサービス停⽌時のサポートなどが含まれます。データとアナリティクスを通してこれらに関する消費者インサイトを得られれば、消費者⾏動の全体像を把握でき、それによってプロセスの強化や責任体制の確立、継続的な改善を行うためにポジティブなフィードバックループの構築が可能となります。

(Chapter breaker)
2

第2章

業務のアジリティ

「削減、簡素化、合理化」を業務のモットーに。

トランスフォーメーションの成功にはアジリティ(機敏性)が不可欠ですが、 EYデジタルトランスフォーメーションと⼈材に関する調査(英語版のみ)によると、エネルギー事業者のほとんどは組織の行動スピードが課題だと答えています。不確実かつダイナミックなエネルギーの移行を目前に控え、スピーディーかつ機敏に行動できる企業が最も成功する確率が高いでしょう。このスピードとアジリティを組織全体に浸透させるには、まずリーダーが明確なビジョンを持ち、プロセスや方針、手順、顧客チャネル、提供サービスの削減・簡素化・合理化に取り組むことから始めなければなりません。

デジタルトランスフォーメーションと人材に関する調査

94%

のエネルギー事業者が、機敏に行動できるかが課題と回答しています。

アジリティを⾼めるには、エネルギー事業者は組織のフラット化と⺠主化をさらに進めなければなりません。それには⼩規模の⾃律型チームに権限を持たせ、それぞれが顧客志向の⽬標を持って問題を解決し、解決策を共有していくような体制づくりも必要です。サポートサービスを⼀元化すれば、ナレッジやツール、トレーニングに加え、このような新しいチーム型の顧客中⼼モデルに合った新たなKPI(重要業績評価指標)を基にした進化も可能です。

アジリティはコールセンターやバックオフィスに限った話ではありません。マーケティングや営業、フィールドサービスやIT部⾨において迅速な対応を浸透させることも、⾰新的な新商品・新サービスのテストや展開を拡大する際には⾮常に重要となります。

(Chapter breaker)
3

第3章

デジタルの可能性

デジタルとヒトを融合させたシームレスな体験を構築します。

テクノロジーを望むときにはテクノロジーに、そうでないときはヒトに対応してほしい――消費者がエネルギー事業者との関わりで求めるのはこういうことです。EYの調査によると、消費者はエネルギー事業者とのやり取り10項目のうち8項目についてはデジタルの⽅を望むことが分かりました。この中でこれまで言われていた世代間の情報格差(デジタルデバイド)はもはや忘れてください。デジタルチャネルを使⽤すると答えているのは、ベビーブーム世代では67%、Z世代は56%です。

しかし、エネルギー事業者が提供するデジタル体験にはまだ⼤きなギャップが存在しています。62%の消費者が、エネルギー事業者のデジタルサービスを利用中に困ったことがあると回答し、信用していないと答えた人は37%です。Z世代ではこの数字は50%に増えています。

消費者はクレームの報告、サービス停⽌や緊急時の対応、問題解決といった⼀部の状況においては、やはりヒトによる対応を望んでいます。デジタル体験の向上が必須とはいえ、やみくもにデジタルに移⾏しても消費者ニーズには応えられません。それよりも複数チャネルでのやり取りを細かく全⽅位的に捉えて、デジタルを活用したセルフサービスやバーチャルエージェントから実際のヒトへとシームレスに橋渡しするオムニチャネルジャーニーを構築すれば、消費者が望んだ時に望んだものを提供できるでしょう。

デジタルツールやデジタルテクノロジーの社内での活用は、従業員体験の向上につながり、働き方改革を加速化できます。顧客向けにインテリジェントなチャットボットを提供している場合、同じようなバーチャルエージェント機能を活⽤すれば、フロントオフィスとバックオフィスのナレッジマネジメントを向上させる従業員アシストツールが作成できます。⾃動化によって時間・コスト・労⼒を削減できるため、従業員はより価値の⾼い業務に集中する時間が確保できます。

顧客や業務関連テクノロジーへの投資で具体的な成果を生むには、新しいデジタルアーキテクチャとクラウド戦略が必要です。エネルギー事業者が直面する状況は多種多様であり、進むべき道は1つではありませんが、今よりも高度で柔軟なデジタルプラットフォームが必要になることに変わりはありません。

(Chapter breaker)
4

第4章

変化に適用できる人材

従業員の満足度は、顧客の満足度と同じです。

変化に適応できる⼈材をそろえることはエネルギー事業者にとって⻑年の検討事項でしたが、今やかつてないほどの緊急の課題です。デジタル化が劇的に進んで顧客との単純なやり取りがなくなり、業務の⾃動化やセルフサービスへの移⾏が進んでいます。顧客体験にまつわる課題の克服に必要となるのは、新しい従業員体験によって⾼い意欲を持ち、積極的かつ柔軟で、テクノロジーに精通した⼈材です。

従業員体験に焦点を当てることは単に従業員満⾜度を向上させるだけではなく、エネルギー消費者の進化し続ける期待に応えるためにも不可⽋です。従業員満足度が上位4分の1に⼊る企業は、他社の2倍⾰新的で収益性が25%⾼く、ネット・プロモーター・スコアも2倍高い水準です。なお、ネット・プロモーター・スコアとは、顧客が友⼈に企業や商品をどの程度勧めたいかを測る指標のことです。

また、今日の従業員が望んでいることは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって働き方に対する従業員の期待もリセットされ、今までとは根本的に異なります。54%の従業員がスケジュールや働く場所に柔軟性がなければ仕事を辞めると答えており、ミレニアル世代ではこの数字はベビーブーム世代の2倍となっています。

2021 Work Reimagined Employee Survey(2021年働き方改革に関する従業員調査)

54%

の従業員が、働き方に柔軟性がなければ仕事を辞めると回答しています。

エネルギー市場全体の劇的な変化や消費者と従業員の期待が意味することは、これまでのやり⽅は今後通⽤しない、つまり全くの新しい業務モデルが必要だということです。新型コロナウイルス感染症のパンデミックの際に導⼊されたハイブリッド⽅式やリモートワークでの働き⽅については、このまま定着していくものとみられ、働き⽅改⾰を加速させていくでしょう。また、その結果として分散する従業員へのサポートや従業員体験の向上に必要な業務⾯やテクノロジー⾯へ投資することは、いずれ⼤きな実を結ぶでしょう。デジタル対応のトレーニングを採⽤すれば、スキルアップの機会を従業員にコスト効率よく提供することも可能です。ハイブリッド式のワークモデルでは、⼈材の選択肢が広がってリモートへの移⾏やギグワーカーの採⽤もさらに容易になるでしょう。そうした働き⽅の変⾰により、オフィス⾯積の縮⼩や業務コストの削減も可能になるかもしれません。

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(Chapter breaker)
5

第5章

革新的な成長

顧客ニーズに集中することによって、守りながら成⻑できます。

ここ10年間、特に⼀部の市場で競争が激化したこともあり、エネルギー事業者が成⻑するには苦しい状況でした。成⻑を取り戻すためには、どのように顧客志向のアプローチを取ればよいでしょうか。その答えの1つは基本に⽴ち返ることにあります。デジタルテクノロジーや顧客インサイトを活⽤して、インテリジェントで節度ある、価値に基づいた「守りながら成⻑する」戦略をしっかりと⼟台から⽀えることです。

「守り」とは、マーケティングやセールスのプロセスの中で、データに基づく適切な顧客インサイトを適切なタイミングで使⽤することです。マーケティングやセールスのプロセスはスマート化・⾃動化により、契約更新を⼿間がかからない形とし、離反した顧客の再獲得戦略を強化し、競合他社に狙われている顧客を臨機応変に守るものでなければなりません。

再生可能エネルギーへの移行に関する消費者調査

50%

の消費者が、新しいエネルギーソリューションの導入を考えるとき、まず既存のエネルギー事業者を検討すると回答しています。

オーガニックな成⻑を一段と推し進めるには、戦略的かつ⼤胆な⾏動を通じて新たな収益を獲得する必要があります。エネルギー事業者は社内で取り組むだけでなく、パートナーとのエコシステムを活用することも含めて新しい商品やサービスの開発・育成に注⼒しなければなりません。いずれににせよ、利益を生み出すことができるのは今⾏動する事業者です。新しいエネルギーソリューションを導入しようとするとき、消費者の50%は既存のエネルギー事業者を検討します。そうした消費者が興味を持っている商品やサービスには次のようなものがあります。

  • 前払い契約︓消費者全体の42%、Z世代では50%以上がこの⽅式を希望している。
  • ⾃家発電︓86%の消費者が関⼼を持ち、26%が今後3年以内の導入を検討している。
  • 電気⾃動⾞(EV)︓消費者の25%が今後3年以内の購⼊を検討している。

リモートワーカーというセグメントが拡⼤していることから、このセグメントをサービス対象にすることでエネルギー事業者は新たな機会を発⾒できるかもしれません。EYの調査では、在宅勤務している消費者の64%が⽉に⼀度はエネルギー消費量をチェックしており(平均より12%⾼い)、70%がエネルギー効率の⾼いソリューションに関⼼を持っている(平均より8%⾼い)ことが明らかになっています。このようにエネルギーに高い関⼼を持ち敏感に反応する消費者層は広がりを⾒せており、そのニーズへの対応はまだこれからです。

在宅ワーカーは、エネルギーに高い関⼼を持ち敏感に反応する消費者層として拡⼤しており、そのニーズへの対応はまだこれからです。

(Chapter breaker)
6

第6章

サステナブルな企業

消費者にとって環境への配慮は大切ですが、それが全てではありません。

消費者はエネルギー事業者にサステナブルなソリューションを求めるだけでなく、業務の「グリーン化」をも「有⾔実⾏」することを期待しています。幸いなことに消費者の3分の1以上(36%)は割⾼であってもサステナブルな商品やサービスを購⼊したいと考えています。⼀⽅で現在契約しているエネルギー事業者が提供しているサステナブルな商品やサービスに満⾜していると答えた⼈はわずか54%です。

エネルギー事業者がサステナビリティを軸に消費者の関⼼を引くことで新たな収⼊源の創出や、エネルギー効率・管理プログラムの利⽤者の増加を⽬指すのであれば、それ以外の購買動機についても同時に対応する必要があるでしょう。EYの調査によれば、消費者が新しいエネルギー商品やサービスに高い関⼼を持つのは、そのメリットとしてお⾦の節約、時間の節約、地球環境への配慮という3つの⼤きな要素がそろっているときです。

再生可能エネルギーへの移行に関する消費者調査

36%

の消費者は、割高であってもサステナブルな商品やサービスを購入したいと考えています。

エネルギー事業者に対して消費者が期待することには、地域および世界のサステナビリティ活動への⽀援や業務のグリーン化など、サステナビリティに総合的に取り組む姿勢を⽰すことも挙げられます。エコカーの活用はその第一歩であり、リモートワーク化も事業者が不動産の合理化とCO2排出量の削減・コスト削減を実現することから、サステナビリティへの取り組みとなるでしょう。ITのグリーン化もそのような取り組みの一つとなります。クラウドを活用したソリューションを採用することで、CO2排出量をおよそ80%を削減できます。また、ペーパーレス化など従業員の⾏動を変えることでもコスト削減や、従業員参加型の各種サステナビリティプログラムへの貢献が可能でしょう。

(Chapter breaker)
7

第7章

今すぐに始める「悔いを残さない」ための5つの行動

「あとで」では遅すぎです。今⽇から始めましょう。

⾮常に多くの優先事項に複雑化する物事、次から次に到来するチャンス。どこに労⼒やリソースを集中させるべきかの判断は難しいものです。ここに挙げる5つの「悔いを残さない」⾏動は、将来のエネルギー体験を構築するために今すぐに始められることです。それによって、顧客の期待に応え、短期的な営業⽬標の達成と⻑期的価値の創造を実現するエネルギー体験を構築できるものとEYは考えています。

どう始めるか
  1. 顧客にとって重要な瞬間を特定し、対応を強化します。そのためにはカスタマージャーニー全体を通して削減・簡素化・合理化を図り、デジタルとヒトの良いところを組み合わせて、エフォートレスな消費者体験を構築します。
  2. 業務モデルを再構築して最適化します。そのためにはアジリティのある体制の確⽴、従業員エンゲージメントの向上、不確実な未来において成⻑していくために必要な新しい役割やキャリアパス、スキル、パフォーマンスを管理する⽅法を策定します。
  3. 消費者に提供しているエネルギー商品やサービスを今すぐ簡素化し、将来に向けた準備を始めます。そのためには現在の料⾦や料⾦体系、エネルギー管理プログラム、商品やサービスのポートフォリオの見直しと最適化を図ると同時に、将来の成⻑につながるイノベーションを奨励する⽂化を醸成します。
  4. 企業全体でサステナビリティに取り組むことを業務上の重要課題とし、企業のパーパスやブランドプロミス、商品・サービスやオペレーションの見直しを⾏います。サステナビリティというレンズを通して⾒ることは、顧客や販売チャネル、職場環境、ITへの取り組み、フィールドサービスの変⾰に役に⽴ちます。
  5. オムニシューマーの未来に向けたロードマップの作成に着⼿し、マルチプロダクト、マルチチャネル、マルチプロバイダーによるエネルギー体験がどう進化していくか、またそうしたエネルギー体験によって現在の業務上および戦略上の構成要素の優先順位がどうなるかを評価します。

再生可能エネルギーへの移行に関する消費者調査

世界各国の家庭用エネルギー消費者の視点についてまとめています。エネルギー事業者にとって重要な知見を得るには、こちらからご一読ください。

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サマリー

加速化する再生可能エネルギーへの移行。それを主導しているのは消費者です。エネルギー事業者にとっては、より持続可能なエネルギーの未来を先取りし、収益拡⼤とコスト削減のための新たな⽅法を⾒つける機会でもあります。そのためにはエネルギーを利⽤する顧客の体験を変⾰して、より積極的なオムニシューマーからの期待に応えなくてはなりません。

EYが世界中のエネルギー消費者を対象に調査した結果、6つの戦略的重要課題が浮かび上がりました。これらは顧客体験の変⾰や短期的営業⽬標の達成、⻑期的価値創造の基礎の確⽴に向けたヒト重視かつテクノロジー活⽤のアプローチを取り⼊れる際の一助となるでしょう。

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執筆者 Greg Guthridge

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