顧客中心のデジタルプラットフォームは、データ交換をどのように変えるでしょうか?

執筆者

Hamish Thomas

EY EMEIA Payments Leader and UK Advisory Banking Technology Leader

Transformation leader in payments and open banking. Passionate about technology’s potential to create opportunity and manage risk. Optimistic runner. Film enthusiast.

3 分 2019.02.15

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顧客を中心に構築されたデータ交換プラットフォームにより、安全で追跡可能な顧客データの交換が行えます。

銀行と金融機関(以下「FI」)は、長い間、顧客のデータを一度にはっきりと、一貫性のあるかたちで見ようと奮闘してきました。多くの銀行やFIがシングル・カスタマー・ビュー(以下「SCV」)プログラムとシステムに投資してきましたが、データの品質と組織全体での共有性に関する問題が依然として残っています。では、顧客に自らのデータ交換を管理させることで問題が解決し、より広範なメリットがもたらされるとしたらどうでしょうか?

企業全体に散らばる分断した情報

単純なことが大きな問題を引き起こす場合があります。顧客が住所変更のために銀行に連絡した場合、その変更の情報は日々の当座預金担当者、事業融資担当者、そして法人クレジットカード担当者にも伝えられると考えます。ところが、デジタルシステムの普及にもかかわらず-あるいはそれゆえに-、顧客データの最も単純な変更さえも、それが事業全体に反映されているようにするために四苦八苦している銀行や金融機関が多くあるのです。

顧客に(FIを変えようと思わせるような)まずい経験をさせてしまうことはさておき、この問題は、銀行の営業費用を増加させ、データ品質や顧客確認(ノウ・ユア・カスタマー:KYC)コンプライアンスを脅かすほか、銀行は、アップセリングやクロスセリングを効果的に行うための正確で一貫性のある顧客プロフィールを活用できなくなってしまうのです。

そして、データ保護規則が進化するにつれて、顧客データの保護、管理、共有の方法をしっかりと把握できていないことが、深刻で高額な違反を引き起こす可能性があります。一貫した、監査可能な、かつ堅牢なデータ交換プロセスを開発することは、すべての銀行とFIにとって今日必須課題となっています。

データ交換に対する新たなアプローチ

これを行うために、多くの組織は、SCVテクノロジーシステムを実施しています。しかし、現在に至るまで、大半のSCVがまだその約束を果たせていません。これらのシステムは通常高額で、ごく限られた期間の削減効果しかもたらさず、操作するのに特殊なスキルが必要で、さらに別のデータストアを管理しなければなりません。また、批判的に言うと、SCVはテクノロジー主導であり、顧客とのインタラクションはほとんど、あるいはまったくありません。

データの収集と共有に顧客自らを関わらせれば、FIと相互に有益な関係が構築できます。FIは、一般データ保護規則(GDPR)などの規制要件に従うにとどまらず、アプリケーション・プログラミング・インターフェース(以下「API」)によるコネクティビティの真の実力を活用することができ、より良い、より有益な関係を顧客と築くことができます。

これを念頭に置いて、EYは、データ交換に対し顧客中心のアプローチ、すなわち、直接企業のオンライン・チャンネルに実装できる、顧客情報の安全で追跡可能な交換が可能な、顧客自らが管理するプラットフォームを金融機関が採用する必要性が高まっていると考えます。

以下に、顧客主導のデータ交換プラットフォームが、マックスが所有するような小企業にどのように役立つかを図解しています。

デジタルパスポートの典型的なカスタマージャーニー

データ管理者としての顧客

このような顧客主導のデータ交換プラットフォームの主要な利点は、顧客が自らの個人情報に関してデータ管理者となることを支援し、顧客は、安全で監査されたデジタル交換を通じたそのようなデータの使用に対し許可を与えることができるということです。運用面からは、プラットフォームは、FI内のルーターの役割を果たし、組織内の複数のソース間(例:事業分野間、国際間)で顧客の許可したデータの交換を円滑に進めることができます。

データ作成とデータ系列は、いつ、どこで、だれがデータにアクセスし、データを使用しあるいは修正したかがわかるように、追跡、保存することができます。このソリューションでは、組織内でどのようなデータ属性が保存されているか、またどこにあるのかを教えてくれるメタデータ・マップを保有することができます。したがって、データを集計し、データ間の不一致を特定することができ、そのようなデータの不一致は顧客に戻して解決してもらうことが可能です。データ変更は、顧客の許可によって複数のデータソースに配信することができ、組織が正確な顧客データを維持する手助けをします。

正確なシングル・カスタマー・ビューを作成するためにしばしば見過ごされてきた当事者がいます。

顧客主導のデータ交換プラットフォーム-すべての商品の成功を左右する重要な要因-の採用を強く促すのは、相互に利益をもたらすこのような能力なのです。進化するデータ規則はデータ交換に対して顧客の同意を得る新たなアプローチを要求していますが、オープンなバンキング・コネクティビティは新たなデータソリューションを必要としています。従来のSCVは期待に届きませんでしたが、新たな顧客中心のプラットフォームに、企業の従来の弱点に働きかけ、顧客の期待に応える解が見つかるかもしれません。競争環境が激化し、オープンAPIコネクティビティが金融情勢を再形成するなか、顧客主導のデータ交換プラットフォームは銀行とFIがコンプライアンスを維持し、資産を開放し、新たな価値を開発し、将来の成功を決定する圧倒的な顧客体験を生み出すためにまさに必要なものなのです。

執筆者:Robyn Easton, EY Digital Passport Product Owner
Mark Torpey, EY Digital Passport Product Manager
Martin Jones, EY Digital Passport Product Director

サマリー

データ交換における顧客の役割を見過ごすことが、従来のシングル・カスタマー・ビュー最大の落とし穴になるかもしれません。顧客は自身のデータを誰よりも把握しています。適切なインセンティブが、顧客にとってデータを最新に保つための動機づけになり得ます。

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執筆者

Hamish Thomas

EY EMEIA Payments Leader and UK Advisory Banking Technology Leader

Transformation leader in payments and open banking. Passionate about technology’s potential to create opportunity and manage risk. Optimistic runner. Film enthusiast.