会計制度委員会研究報告第12号「臨時計算書類の作成基準について」の改正について」のポイント

会計情報トピックス 吉田剛

日本公認会計士協会(会計制度委員会)が平成21年12月8日に公表

平成21年12月8日に、日本公認会計士協会(会計制度委員会)より「会計制度委員会研究報告第12号「臨時計算書類の作成基準について」の改正について」(以下、改正研究報告)が公表されています。改正研究報告では、関係する会計基準等の公表・改正、およびこれに伴う関係法令(会社計算規則など)の改正等に伴い、その見直しが行われています。

なお、本改正に係る公開草案に対しては、平成21年11月27日(金)までコメントが募集されていました。



1. 主な改正内容

(1)金融商品取引法の制定による四半期報告制度の法定化および企業会計基準第12号「四半期財務諸表に関する会計基準」(以下、四半期会計基準)等の公表による文章の修正または基準の明確化(改正研究報告 4.(3)など)

四半期会計基準では、一部に簡便な会計処理の採用が容認されていますが、臨時計算書類の作成に当たっては、分配可能額の算定に影響を及ぼすことを重視し、評価に関して厳格な手続きを実施する必要があることが明示されました(改正研究報告 5.(1)②)。

臨時決算における有価証券の減損処理に関して、その後の年度決算での洗替処理が無条件に認められるわけではなく、原則として市場価格のある株式に限定されるとの記述が削除されています。その一方、臨時決算で一定の有価証券について減損処理を行った場合、その回復が明らかであると考えられるケースを除き、その後の決算で戻入処理することに慎重であるべきとの記述(「金融商品会計に関するQ&A」Q31)を参照する形としています。これは、時価を把握することが極めて困難と認められる株式等の洗替処理の考え方が、前述のQ&Aで示されたことによるものと考えられます(改正研究報告 4.(4))。

(2)臨時決算と年度決算の関係や臨時決算が複数回行われた場合の処理の考え方(改正研究報告 4.(4))

臨時決算後の年度決算や臨時決算が複数回行われた場合における2回目以降の臨時決算では、従来と同様、会計期間全体を対象として改めて会計処理すること(いわゆる累計方式を採用すること)が示されています。その理由として、従来も述べられていた分配可能額が洗替えで算定されると考えられることに加えて、年度の決算数値が臨時決算の有無やその頻度により左右されることは想定されていないと考えられる旨が新たに示されています。

(3)継続企業の前提に関する開示(改正研究報告 5.(2)④)

従来、継続企業の前提に関する評価期間は、臨時決算日が属する事業年度末日までと思われるとされていましたが、臨時決算日の翌日から1年間を経営者が評価すべき期間とすることが示されました。これは、臨時決算により分配可能額が影響を受けることから、原則として年度決算に基づいて会計処理が行われるべきであるという考え方で改正研究報告がまとめられており、この考え方との平仄(ひょうそく)を合わせるものです。また、四半期決算でも、経営者による評価期間が1年であると示されたこととも整合するものと考えられます(改正研究報告 5.(2)④)。

注記例が監査基準の改訂等に合わせて修正されました(注記例 1.)。

2. 適用時期

研究報告という性格から、適用時期は特に示されていません。



本稿は「会計制度委員会研究報告第12号『臨時計算書類の作成基準について』の改正について」の概要および主な論点を記述したものであり、詳細については、以下の公認会計士協会のウェブサイトをご参照ください。


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