OECDがBEPS行動計画7に基づく、PE認定の人為的回避の防止に関する最終レポートを公表

OECDがBEPS行動計画7に基づく、PE認定の人為的回避の防止に関する最終レポートを公表

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EY 税理士法人

2015年11月25日
カテゴリー その他

Japan tax alert 2015年11月25日号

経済協力開発機構(OECD)は、2015年10月5日、税源浸食と利益移転(BEPS:Base Erosion and Profit Shifting)の行動計画7(恒久的施設(PE)認定の人為的回避の防止)に関連する最終レポートを公表しました。本レポートは、BEPS行動計画全15項目の最終レポートの一貫として公表されたものです。

行動7の最終レポート「PE認定の人為的回避の防止」は、外国企業が他国でPEを構成せずに事業を遂行することを可能にすると思われる、以下のアレンジメントの使用を防止するため、OECDモデル租税条約(以下、「モデル条約」)第5条に基づくPEの定義の変更を提案しています。

  • コミッショネア・アレンジメントや類似の戦略
  • 特定の準備的又は補助的活動の例外規定の使用(「統一したまとまりのある」(cohesive)事業活動をいくつかのより小さな営業活動へと分割して、分割した各活動について準備的又は補助的例外規定を利用できるようにするといった、人為的な細分化が含まれます)

最終レポートは、建設契約に関し、密接に関連する企業(closely related enterprises)間で契約を分割する戦略に対処するため、行動6において推奨されている主要目的テスト(PPT)を使用すること、又は、これに代わって12カ月基準を計算するにあたり、密接に関連する企業が同じ建築現場や建設・据付プロジェクトにおいて費やした期間を自動的に合算することという規定をモデル条約のコメンタリー案(以下、「コメンタリー案」)に含めることを提案しています。

おわりに

行動7の最終レポートは、モデル条約第5条第4、5、及び6項を変更する具体的な修正案を定めるとともに、新たな規則に関するガイダンスを規定したコメンタリー案の修正案も提示しています。

これらが実施されれば、現行の営業モデルが他の国々で新たなPEを生じる可能性があり、行動7の最終レポートの修正案は、企業が今後グローバルビジネスをどのように運営していくかに影響してきます。新たなPEは、新たな申告義務をもたらし、税務論争が生じる可能性も高くなるでしょう。さらに、これらのPEへの帰属所得問題がビジネス上重要な課題であるにもかかわらず、この問題に対する取り組みが行われていません。

企業は、今回の修正案のグローバルビジネスへの影響を吟味するとともに、その事業や投資を行っている国々での動向、並びにPE帰属所得の問題について継続して取り組んでいるOECDの動向を今後注視する必要があります。

※本アラートの全文は、PDFでご覧いただけます。

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