経済協力開発機構 (OECD)が税源浸食と利益移転(BEPS)プロジェクトに係る最終レポートを公表

経済協力開発機構 (OECD)が税源浸食と利益移転(BEPS)プロジェクトに係る最終レポートを公表

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2015年10月8日
カテゴリー その他

Japan tax alert 2015年10月8日号

経済協力開発機構(OECD)は、2015年10月5日、税源浸食と利益移転(BEPS:Base Erosion and Profit Shifting)に対する行動計画における15の重点分野について、最終レポートを公表しました。OECDは、同時に発表された解説文書において、BEPSに関する作業の次のステップを説明しています。これには、技術的な事項に関する追加的作業とBEPS推奨事項の実施に関するモニタリングの計画が含まれています。本レポートの公表に併せて、OECDは最終的なBEPS成果物の概要を伝える記者会見と技術的な説明会を開催し、ウェブキャストで配信しました。

OECDは、最終レポートは、以下の異なる区分に分けられる推奨事項からなるものであると述べています。

  • 合意した最低基準: 有害な税制上の慣行(行動5)、租税条約の濫用防止(行動6)、国別報告書(行動13)、及び紛争解決(行動14)についての推奨事項
  • 強化された国際基準: OECD移転価格ガイドラインの改訂(行動8-10)及びOECDモデル租税条約の改訂(行動7恒久的施設の認定を含む)
  • 国内法の共通アプローチとベスト・プラクティス: ハイブリッド・ミスマッチ・アレンジメント(行動2)、外国子会社合算税制(行動3)、利子損金算入制限(行動4)、及びアグレッシブな税務プランニングの開示(行動12)
  • 分析レポート: 電子経済についての課税上の課題(行動1)、BEPSに関するデータ及び分析(行動11)、並びに条約に基づく推奨事項実施のための多国間協定(行動15)

OECDはまた、「BEPS以後の環境」について手短に説明していますが、そこではBEPSの推奨事項を首尾一貫して実施することへの注力と、二重非課税、二重課税双方への影響をモニターすることの重要性を強調しています。解説文書はOECDとG20諸国が、2020年まで協調して活動を継続することに合意したとしています。これは「BEPS最終レポートの実施を支援しモニターする、より包括的な枠組」の構築を目指すものであり、G20諸国は2016年2月の会合までに、そのような枠組の提案を行うよう求めています。その間OECDは、移転価格に関する後続プロジェクトを含むいくつかの行動計画に関する追加的作業を終了させることになります。

最終レポートは、2015年10月8日にペルーのリマで開催されるG20財務相会議に提出され、そこでの検討後、11月15日、16日にトルコのアンタルヤで開催予定のG20サミットにおいて、G20首脳の承認を得ることになります。

各行動計画に関する最終レポートの詳細分析は、順次EY税務速報でお伝えして行く予定です。

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