オーストラリアで2016年7月1日より新たな移転価格指針が適用開始 グローバル・バリューチェーンの利益配分に影響

オーストラリアで2016年7月1日より新たな移転価格指針が適用開始 グローバル・バリューチェーンの利益配分に影響

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EY 税理士法人

2016年6月20日

Japan tax alert 2016年6月20日号

エグゼクティブ・サマリー

オーストラリアは、2016/17年度連邦予算案の中で、経済協力開発機構(OECD)の改正移転価格ガイドライン(以下、「CTPG」)を導入し、2016年7月1日から適用を開始すると発表しましたが、これには早急な対応が必要となります。CTPGは、税源浸食と利益移転(BEPS)に関するプロジェクトの行動8-10に基づき、移転価格の結果とバリューチェーンの整合を取るとし、リスクが高いとみなされる関連者間取引についてのガイダンスを提供しています。

グループ内で以下の取決めがある納税者は、CTPGによって多大な影響を受ける可能性があります。

  • グループ内企業間のリスク負担及びそれに関連する利益配分は契約に基づいたものであり、リスク管理活動を行っていない「リスクが限定的な企業」等がグローバル・バリューチェーンに存在する
  • コモディティ取引におけるマーケティング拠点について、独立価格比準法(CUP法)に基づく価格設定をしていない、又は独立価格に対して大幅に割安な価格設定をしている
  • 無形資産を移転したが、過去の5年以内の期間を見直してみると、無形資産の譲渡価格がその無形資産に帰属する実際の利益と一致していない
  • 無形資産により得られる利益の配分が、無形資産の「開発、改良、維持、保護及び活用」(DEMPE)活動と一致していない

CPTGと今までに決定された次のような主な変更の結果、多国籍企業を取り巻く環境は様変わりしています。

  • 2016年1月1日より国別報告書の提出を義務化
  • 2016年1月1日に多国籍租税回避防止法を施行
  • 2016年度より税の透明性規範の自主的導入を奨励
  • 迂回利益税を2017年7月1以降に開始する課税年度より導入
  • 2016年後半から二重課税防止条約の改正へ向けた多国間枠組みを構築
  • オーストラリア税務当局の作業部会および資金調達の強化。目標は4年間で37億豪ドルの税収増
  • 罰則の強化

これら全てがあいまって、多国籍企業が世界的なバリューチェーンと事業体制を見直すきっかけとなっています。

アラートの全文は、EY Global Tax Alert 2016年6月8日号(英文のみ)をご覧ください。

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