BEPS update ~OECD、シンガポール、メキシコ及びスイス~

BEPS update ~OECD、シンガポール、メキシコ及びスイス~

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EY 税理士法人

2017年10月20日
カテゴリー BEPS

Japan tax alert 2017年10月20日号

本BEPS updateでは、EYグローバルから発行されているタックス アラートから各国のBEPS最新情報を抜粋してお知らせします。なお、各国の詳細情報については、英語の原文を参照ください。

OECD

2017年9月20日、OECDは、BEPS行動13における国別報告書の交換及びBEPS行動5における税務ルーリングの交換を支援するための、最新のITツールと指針を発表しました。

新たなITツールは、受領した国別報告書及び税務ルーリングの情報について、構造化されたフィードバックを提供するために開発されました。国別報告書のXMLスキーマによって提供される情報は、ファイルの作成に不備がある場合または記録情報が不完全もしくは不正確な場合、エラーが含まれる可能性があるため、OECDは、国別報告書及び税務ルーリングの交換に関するステータスメッセージのXMLスキーマを開発しました。その結果、OECDのXMLスキーマによって国別報告書や税務ルーリングを受領した税務当局は、送付元の税務当局に対し折り返し報告が行えるようになります。また、このステータスメッセージのXMLスキーマを用いることにより、頻繁に発生するエラーについて、構造化されたフィードバックを送付元の税務当局に提供できるようになります。

さらに、OECDは、多国籍企業グループが無国籍法人(stateless entities)や無国籍所得(stateless income)である場合の表示、並びにこうした多国籍企業グループの法人名の記載を可能にするため、国別報告書のXMLスキーマ及びユーザーガイドを更新しました。また、国別報告書及び税務ルーリングの交換のためのXMLスキーマ並びにユーザーガイドにおいて、修正機能についての一定の明確化が図られました。

シンガポール

2017年10月2日、2017年度所得税改正法案(以下、「同法案」)が議会で可決されました。同法案には、税源浸食及び利益移転(BEPS)を防止するための租税条約関連措置を実施するための多数国間条約(Multilateral Convention to Implement Tax Treaty Related Measures to Prevent Base Erosion and Profit Shifting:MLI)に基づくシンガポールの義務を履行する命令を財務相が発出することを認める条項が含まれています。つまり、同法案が官報に公告されれば、シンガポールにおけるMLIの批准への法的な道が開かれることになります。しかし、シンガポールにおけるMLIの批准についての実際のスケジュールは、現時点では明らかにされていません。

メキシコ

2017年9月21日、メキシコの納税者オンブズマン(名称:PRODECON)は、移転価格(TP)情報申告書、すなわちマスターファイル、ローカルファイル及び国別報告書に関するガイドラインとよくある質問(FAQs)を公表しました。これらのガイドラインとFAQsは、メキシコにおいてTP情報申告書を提出する際に必要となる3つの要素のうちの2つです。残りの一つは、TP情報申告書の提出に用いるプラットフォームですが、2017年10月末までにメキシコ税務当局が公開する見通しです。

情報申告書の提出期限は、報告年度の翌年の12月31日です。メキシコ納税者の外国支配法人によるマスターファイルと国別報告書の提出期限が2017年12月31日より後の場合、メキシコ納税者はその旨を2017年12月31日までに情報申告書により通知する必要があり、その後の適用開始日より情報申告書の提出が義務付けられます。 

スイス

2017年6月16日、スイス議会は、多国籍企業の国別報告書の自動的交換に関する新たな連邦法を採択しましたが、同法を国民投票に付す期限が2017年10月5日に失効しました。2017年9月29日、スイス連邦参事会は、スイスにおける国別報告書の導入に関してより明確な詳細を提供するため、同法に関連する条例を制定しました。この条例は、2017年12月1日に施行される見通しです。

スイスにおける国別報告書に関する規則の主な内容は次の通りです。(1)連結収益が少なくとも9億スイスフランあるスイスの税務上の居住法人は、国別報告書の作成と提出が義務付けられます。(2)当該基準を満たすスイスの税務上の居住法人は、2018年1月1日以降に開始する事業年度より国別報告書を提出しなければなりません。(3)2016年度と2017年度については、スイスの最終親会社による自主的な提出が可能です。(4)国別報告書の表1と表2の内容は、BEPS行動13におけるOECDの指針と一致しています。(5)パートナー国との国別報告書の交換は2020年より開始します。(6)財務省国際金融担当事務局に対し、国別報告書の自動的交換の停止を要請できる場合があります。 

 

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