BEPS update ~OECD、マレーシア、台湾、スイス及び英国~

BEPS update ~OECD、マレーシア、台湾、スイス及び英国~

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EY 税理士法人

2017年11月22日
カテゴリー BEPS

Japan tax alert 2017年11月22日号

本BEPS updateでは、EYグローバルから発行されているタックス アラートから各国のBEPS最新情報を抜粋してお知らせします。なお、各国の詳細情報については、英語の原文を参照ください。

OECD

2017年10月24日、OECDは、クロスボーダー販売にかかる付加価値税(VAT)/物品サービス税(GST)の徴収に関する実施ガイダンスを公表しました。同ガイダンスは主に、課税管轄地に所在しない事業者(国外事業者)がサービスや無形資産を販売する場合にかかるVATやGSTの徴収に焦点を当てています。

報告書では、OECDの国際 VAT/GST ガイドライン及びBEPS行動1「電子経済に係る税務上の課題への対応」に関する2015年の最終報告書における提言に沿って、簡素化された登録ベースの徴収制度の一貫した実施を支援するためのガイダンスが示されています。

マレーシア

2017年10月29日、マレーシアは、2018年度予算案の発表に併せて、多くのBEPS勧告の導入と税務当局間の自動的情報交換に取り組む考えを明らかにしました。注目すべきは、マレーシアがBEPSに基づくアーニングス・ストリッピング・ルールの導入を提案したことです。マレーシアでは、過少資本税制が2009年1月1日に所得税法に規定されたものの、実際には適用されていませんでした。マレーシアが提案するアーニングス・ストリッピング・ルールでは、関連者間ローンが重視される見通しで、関連者間の利子損金算入は所定の比率に制限されます。比率はEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)又はEBIT(利払い・税引き前利益)の10%~30% になると思われます。アーニングス・ストリッピング・ルールが導入された場合、2019年1月1日からの適用開始となります。今後は、アーニングス・ストリッピング・ルールの導入に向けて、所得税法が改正され、新たなガイドラインや通達が発表されると思われます。

台湾

2017年9月20日、台湾政府は、外国子会社合算税制(CFC税制)の実施細則を発表しました。台湾のCFC税制において、CFCとは、 低税率国・地域に所在し、台湾企業及びその関連者が直接又は間接的に保有する株式の割合が50%超、もしくは経営を実質的に支配している外国企業と定義されています。低税率国・地域であるか否かの判定は、法定税率に基づいて行われますが、特定の地域や産業に対する特別な税率や制度も考慮されます。さらに、テリトリアル方式を採用している、あるいは国外所得に対する課税が送金ベースである国・地域も低税率国・地域とみなされます。

CFCを有する台湾の納税者は、納税者及び関連者のストラクチャー図、CFCに対する持株比率、CFCの財務諸表、CFCの過去10年間における欠損金繰越控除、CFCによる投資所得の分配等の情報の提供が義務付けられます。

CFCが真正な事業活動に従事している場合、又は、CFCの投資所得(配当、利子、ロイヤルティ、賃貸所得、譲渡所得等)が総事業所得の10%未満の場合には、CFC税制の実施細則は適用されません。低税率国・地域において開発された知的財産に対して受領するロイヤルティは、基準となる10%を計算する際に含まれません。また、低税率国・地域において取得した有形固定資産からの賃貸所得も除外されます。

スイス

2017年10月18日、スイス連邦参事会は、多国籍企業の国別報告書の自動的交換に関する連邦法の施行日を2017年12月1日とすることに合意しました。国別報告書の自動的交換に関する権限ある当局による多国間合意(Multilateral Competent Authority Agreement on the Exchange of Country-by-Country Reports、以下「CbC MCAA」)も2017年12月に発効する予定です。

スイスの多国籍企業グループは、2018年1月1日以降に開始する事業年度を対象初年度として国別報告書の作成が義務付けられます。スイスは、2020年に2018年度の国別報告書を交換する方針です。スイスの多国籍企業グループは、2016年度及び2017年度の国別報告書を自主的に提出することもできます。スイス連邦税務局は、自主的に提出された国別報告書の交換については、2018年以降に行うとしています。

スイスは、CbC MCAAの署名国又はBEPS包摂的枠組みの参加国である全ての国と国別報告書を交換する意向です。しかし、スイスと相手国の間でCbC MCAAが適用されるのは、相手国が対象国リストにスイスを含めた後、すなわち、交換関係(exchange relationships)が発効した後になります。自主的に提出された2016年度の国別報告書をスイスが他国と交換するには、2017年の終わりまでに両国間でCbC MCAAを発効させる必要があります。

英国

2017年9月26日、OECDは、BEPS行動14(紛争解決メカニズムの有効性向上)ミニマムスタンダードの実施状況に関する英国のピアレビュー(相互審査)報告書を発表しました。英国はまた、OECDに対し、行動14のベストプラクティスを採用したことに関するフィードバックを提供するよう要請していたため、OECDは、ベストプラクティス報告書も併せて発表しました。

報告書は、英国が行動14ミニマムスタンダードの要素のほぼ全てを満たしていると結論づけています。一方、英国歳入関税庁は、相互協議手続に関するガイダンスの更新を行っており、行動14のミニマムスタンダード及びベストプラクティスの要素に関する追加情報を示すとともに、OECD税務長官会議の相互協議フォーラムにおいて作成されたガイダンスにより沿ったものにする予定です。更新されたガイダンスは、2017年の終わりまでに公表される予定です。

詳細:OECD releases the United Kingdom peer review report on implementation of Action 14 minimum standards, dated 26 October 2017(英語)

国別・行動計画別のBEPSデータベースへ(国別にアラート情報を検索可能です)