米国、過少資本税制最終規則下の文書化要件撤廃

米国、過少資本税制最終規則下の文書化要件撤廃

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EY 税理士法人

2018年9月25日

Japan tax alert 2018年9月25日号

2018年9月21日、米国財務省は内国歳入法385条にかかわる規則草案を公表し、2016年10月21日に最終化されていた「Debt/Equity Classification」(俗称「過少資本税制」)財務省規則(以下、「最終規則」)の一部を構成していた「文書化要件」を撤廃しました。

最終規則の文書化要件は、通常の関連者間ローンばかりでなく、グループ内キャッシュプーリングを含む広範な関連者間取引を対象としており、また、強固な返済可能性および債務不履行時の法的措置実行記録など、必ずしも従来の関連者間ローンでは網羅されていない内容にも及んでいました。さらに、最終規則の要件に準じる文書化が整備されていない場合には、その事実のみをもって借入を自動的に資本とみなす事実推定が規定されていました。これらのことから、最終規則下の文書化要件は納税者側の対応負荷が高く、新政権発足を機に廃案又は簡素化が期待されていました。文書化要件は2018年1月1日以降の関連者間ローンに適用される予定でしたが、その後、Notice 2017-36により適用開始日が2019年1月1日に延期され、さらに今回の廃案に至っています。

今回公表された規則草案の前文では、将来的に新たな文書化要件を規定する規則が策定される可能性が示唆されていますが、その際には、より簡素化した内容とするとしています。なお、最終規則下の文書化要件は撤廃されましたが、判例ベースの過少資本税制下で従来から必要とされている文書化要件には影響はなく、関連者間ローン、特に借り手が比較的大きなレバレッジを利かせている場合には、引き続き強固な文書化を整備しておく必要があります。また、文書化要件と並び、最終規則の主要規定の一つであった「Funding規定」(一定額以上の配当、グループ内株式譲渡、資産取得型適格組織再編などの一定の事実関係により、負債を米国税務上、資本同様と取り扱うみなし規定)はそのまま存続しており、すでに法的な効果を有しています。