外国法人による米国法人税申告と費用控除

外国法人による米国法人税申告と費用控除

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EY 税理士法人

2018年3月8日

US tax alert 2018年3月8日号

米国で事業活動(US Trade or Business)に従事している外国法人は、米国で申告法人税の対象となることから、法人税申告書(Form 1120F)を提出後、ネット課税所得を申告し、法人税を納める必要があります。租税条約の適用があるケースでは、US Trade or Businessよりも対象範囲が狭い恒久的施設(PE)に帰属する所得を同様に申告する必要があります。また、US Trade or Businessに従事していても活動がPEに至らない、又はPEに帰属する所得が存在しない場合には、条約ポジション適用の開示が求められます。

法人税の申告が求められる外国法人が一定期限内に申告書を提出しない場合、課税所得算定の際に費用控除が認められず、総所得がそのままネット課税所得扱いになるという厳しい規定が存在します。当規定上の一定期限は「申告書通常提出期限の18カ月後」又は「IRSが申告書提出を求めるNoticeを発行した日」のいずれか早いタイミングとなります。

期限内に申告書の提出ができなかった場合、遅延に合理的な理由があり、納税者が誠実に対応していることを立証できれば、IRSに費用控除の許可申請を行えるという免除規定があります。

この度、IRSの大規模・多国籍事業者部局(The Large Business and International (LB&I) Division)は、当免除規定の適用審査を公正に、首尾一貫して、また、迅速に行うことを目的としてIRS内の指針(ガイダンス)を策定・公表しました。ガイダンスでは、遅延の理由、申告義務の認識に至る経緯、過去の申告実績、等6ポイントを免除適用の判断基準としています。また、納税者が未申告を是正しようと自ら名乗りでたケースと税務調査でIRS側が未申告を指摘したケースで異なる取扱いを適用すると規定しています。

日本企業にも、米国事業活動に従事するパートナーシップ投資からK-1を受け取っている、又は長期にわたり日本親会社の従業員が直接米国で事業活動に従事しているにもかかわらず、過去に米国法人税申告書を提出していないようなケースがまれにみられます。また、US Trade or Businessが存在するかどうかの判断が不確実な場合には、ブランクの申告書(Protective Return)を提出することで費用控除の権利を留保できるばかりでなく、時効期間の開始を確立することが可能です。

今回のガイダンスの詳細については、2018年3月2日付、EY Global tax alert「US IRS issues examination guidelines on Form 1120-F filing deadline waivers」(英文のみ)をご参照ください。

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