長期的価値を創出するという目標をどのように行動に移しますか?

8 分 2021年9月14日

EY Value Realizedでは、環境・社会・ガバナンス(ESG)に関するEYのグローバルな取り組み、グローバルインパクトの2021年の進捗状況を報告しています。

執筆者
Carmine Di Sibio

EYグローバル会長兼CEO

カーマイン・ディ・シビオ / クライアント、そしてEYのグローバルな組織が持つ力に情熱を注ぐ。成長とイノベーションの推進者であり、良好な人間関係の構築者。スポーツ愛好家。

EY Global

Ernst & Young Global Ltd.

8 分 2021年9月14日

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EY Value Realizedでは、EYのグローバルな取り組みとその影響に関する2021年の進捗状況を報告しています。EY グローバル会長兼CEOからのメッセージをご一読ください。


EYでは、ステークホルダー資本主義を信念としています。企業は株主だけでなく、クライアント、従業員、サプライヤー、コミュニティのために価値を創出すべきであるという考えです。企業の目標を社会の目標と一致させることで、長期的に見た企業の価値が高まり、長期にわたって発展できるようになると信じています。それによって、世界の最重要課題への対応が、私たち全員にとって、より身近なものとなっていくはずです。

私たちはEmbankment Project for Inclusive Capitalism(EPIC:統合的な目線による新たな資本主義社会の構築に向けた取り組み)の下、この目標の達成に向けて動き出しました。EPICは、EYが他の30社およびCoalition for Inclusive Capitalismとともに、企業が価値を創出する方法を再定義し、測定することを目指す取り組みです。2019年には、EYのパーパス(存在意義)に沿った戦略と目標を掲げたNextWaveを立ち上げました。これは、クライアントやEYのメンバー、そして社会のために⻑期的価値を創出するという戦略であり、EY自身の変革に活かされています。今年は、EYが生み出す価値の測定と報告をどのように実施するか、取り組みを進めているところです。

Building a better working world(より良い社会の構築を目指して)を指針として、長期的価値の創出、保護、測定に注力することが、目的ある成長には不可欠です。この考えの下、EYは監査を実施し、成果を提供し、戦略を再構築し、イノベーションと変革を実現し、企業が税務および規制上の要件に対処できるよう支援を行っています。クライアントがステークホルダーに対してより良い成果を出せるようなサービスとソリューションの開発、クライアントの⽀援向上を⽬的としてEYのメンバーが新たなスキルを獲得するための投資、⽣活や仕事の場であるコミュニティへの還元にも、重点的に取り組んでいます。現在のように困難な時期においても、困難を乗り越えたその先でも、この指針を胸に、ステークホルダーのニーズに焦点を当てて取り組みを続けていきます。

説明責任を果たすために

CO2排出量のネットゼロ(実質ゼロ)の実現、人材の多様性・公平性・インクルーシブネス(包摂性)の向上、事業を展開しているコミュニティの発展を目指した貢献など、長期的なコミットメントを実行するにあたっては、達成に向けた改善策や行動計画の成果を測定することが非常に重要です。測定してこそ、進捗状況を適切に評価し、意思決定と説明責任を向上させ、信頼を高めることができます。

EYは、世界経済フォーラムの国際ビジネス評議会(WEF-IBC)のメンバーとして協調的な取り組みに加わり、一貫性のある比較可能な方法で環境・社会・ガバナンス(ESG)の課題を報告すること、さらに、ビジネスがどのように価値を創出し、また価値を保護しているかを理解する共通指標の重要性を、⺠間セクターの意⾒として届けました。この取り組みは、EYだけでなく、測定基準の開発やサポートに携わる多くの企業に、未来へのコミットメントを示す機会となりました。その未来では、クライアントの成果の向上に加え、あらゆる人々が参加する繁栄した社会、保護された環境、自分の能力を発揮できる健全な人材——これらを実現できるかどうかがビジネス成功の鍵となります。

実現させた価値

本年度の報告書ではWEF-IBCのステークホルダー資本主義指標を用い、EYの事業戦略にESGパフォーマンスを組み込むための重要な一歩を踏み出しました。同時にEYのCO2削減目標における7つのアクションを進めています。この行動は、事業の運営方法を継続的に見直すというEYのコミットメントを反映したものです。国連グローバル・コンパクト(UNGC)の報告に加え、国連の持続可能な開発目標(UN SDGs)の重要性を認識したものでもあります。EYは誇りを持ってUNGCへの参加を続けており、本報告書では、その10原則に対するコミットメントを再確認しています。

報告書全文(当ページからダウンロード可能)では、昨年行った取り組みの一部を紹介しています。EYのメンバーに対する支援、ネットゼロの未来に向けたコミットメントの進展、EY Ripplesを通じて10億人の人々の生活にポジティブな影響を与える活動の継続、世界の資本市場における信頼と信用形成を促進するための継続的な活動、EYのクライアントが変革を行うための支援など、さまざまな取り組みを行いました。

今後に向けた展望

本レポートでは、EYが昨年行った活動を紹介していますが、もっとできることがないかも常に探っています。企業は今後1年間にわたって、複雑に相関する課題に直面することになります。具体的には、気候、多様性と社会的平等への取り組み、業務におけるレジリエンス、信頼性、透明性の向上、信頼できるさまざまな新しい方法でデータやAI、ブロックチェーンなどのテクノロジーを活用する、といった課題です。そうした中で、顧客の期待と体験を見直し、買収と売却を実施し、人材やリソースへの投資を続けるでしょう。世界中のコミュニティもまた、回復、再編、適応に目を向けることになります。

今、行動を起こそうという動きが強まっています。課題を議論すれば、その先にはチャンスがあります。回復を促し、俊敏性を向上させ、価値ある成長をもたらすと見込まれる分野に新たに投資して重点的に取り組む時期が来ています。こうした状況から、NextWaveの下でEYの組織に今後3年間で100億米ドルの投資を行うことを決定しました。

今回の投資によって監査の品質が強化され、資本市場の信頼性向上に寄与するでしょう。不正行為を検知・防止するためのリスク対応手続および監査手続におけるテクノロジーを駆使したイノベーションも投資対象としています。この投資計画には、今後3年間で25億米ドルのテクノロジー投資を盛り込んでおり、AI、データ、破壊的技術を特に重視しています。また、EYパルテノンやサステナビリティサービスを拡大し、クライアントやEYのメンバーが最先端のテクノロジーを活用できるよう投資を行います。こうした計画は、継続的な戦略的買収や世界的規模のEYのアライアンス・エコシステムによって支えられています。

私たちにはまだできることがあります。これからも、より良い社会の構築を共に目指しましょう。


            Carmineの署名

今年実現させた価値と次なる目標

以下の4つの見出しをクリックして、NextWave戦略の4つの柱における価値創出をどのように測定しているかをご確認ください。

研修

59時間

従業員1人当たりの平均

スキル

160,000

EYバッジの取得個数

第1期生

25

ハルト・インターナショナル・ビジネススクールとの提携によるEY Tech MBAの修了人数

ジェンダーバランスの改善

48%

職場の女性比率

パートナーランクにおけるジェンダーバランスの改善

36%

パートナー昇格者中の女性比率

ウェルビーイング

70

メンタルヘルスに重点を置いたウェルビーイングプログラム数

表彰歴

23年

フォーチュン誌「働きがいのある会社ベスト100」への連続選出年数

次なる目標

スキル目標

200,000

2022年度までのEYバッジの目標取得個数

ハルト・インターナショナル・ビジネススクールとの提携によるEY Tech MBAの修了人数

200

2022年までの目標修了人数

CO2排出量の削減

60%

削減量の割合

水と土地の利用

第1回

世界中のEY全体で使用状況の評価を実施

EY Ripples

2,000万人

2021年度にポジティブな影響を与えた人数

コミュニティ支援

1億1,900万米ドル

コミュニティへの投資額

インパクトアントレプレナーシップ

7,000以上

50カ国で国連のSDGsに取り組むインパクトアントレプレナーへの支援数

コミュニティ支援

837,000時間

支援時間数

次なる目標

サステナビリティ

ネットゼロ

2025年までの達成目標

サステナビリティ

100%

2025年までのEYのオフィスにおける再生可能エネルギー使用目標

EY Ripples

10億人

2030年までにポジティブな影響を与える目標人数

アシュアランス

150,000件

全世界で実施した監査件数

データ分析

1 兆

テクノロジーベースのソリューションを駆使した財務分析データ数

持続可能な監査品質

高品質な監査

Big 4においてPCAOB欠陥スコアが最小

AI

116,000件以上

AI対応製品を使ったエンゲージメント件数

サイバーセキュリティ

63カ所

世界150カ国に広がるサイバーセキュリティセンター

次なる目標

今後3年間の投資額

100億米ドル

監査品質、戦略、テクノロジー、人材に重点的投資

グローバル全体の収益成長率

7.3%

米ドルベース

総収益

400億米ドル

全てのサービスラインとエリアで増収を達成

サービスライン別の収益と成長率

エリア別の収益成長

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  • グローバルな取り組みとその影響に関する報告書全文をダウンロードする|EY Value Realized

サマリー

EYは Building a better working world(より良い社会の構築を目指して)をパーパスとし、クライアント、EYのメンバー、社会のために長期的価値を創出し、資本市場における信頼を構築するためのサポートを行っています。150以上の国・地域で30万人以上の多様な人材がデータとテクノロジーを駆使しながら協力し合い、アシュアランスを通じて信頼を提供するとともに、クライアントの成長・変革・事業展開を支援しています。

EY Value Realizedでは、これからもより良い社会の構築を目指していく中で私たちがどのようにパーパスを実践しているか、またその進捗状況、2021年の活動の影響、今後さらに何をなすべきかを紹介しています。

この記事について

執筆者
Carmine Di Sibio

EYグローバル会長兼CEO

カーマイン・ディ・シビオ / クライアント、そしてEYのグローバルな組織が持つ力に情熱を注ぐ。成長とイノベーションの推進者であり、良好な人間関係の構築者。スポーツ愛好家。

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