EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
米国では、人口動態の節目「Peak 65」を迎え、今年65歳になる人が400万人以上に達し、今後10年間それが続くとみられています3。しかし、すべての人が定年退職するわけではなく、65歳を過ぎても働き続ける人は増えています。ジョンズ・ホプキンス大学が行ったある調査では、1946年以前に生まれたサイレント世代が米国の労働力全体の2%ほどを占めると推計しています4。企業の経営トップにも、高齢化の波が押し寄せています。フォーチュン500企業のCEOの平均年齢は59.2歳ですが、そのほぼ半数(47.6%)が60歳以上であり、70歳以上も5%以上います。45歳未満の若手CEOは、大手テクノロジー企業やグリーンエネルギー企業、新興オンライン企業に集中する傾向にあります。労働人口全体で定年を延長すれば、短期的な人材不足対策にはなりますが、それは若い世代を犠牲にして、現状を維持する閉塞状況を招きかねません。企業は、シニア世代がスキルアップし、新しいテクノロジーツールを活用できるようにしながら、若い世代への知識移転を促す必要があります。
今、こうした世代間の流れが滞る兆しが見られます。多くのZ世代が就業しておらず、北米や西欧では、いわゆるニート(NEET:not in education, employment or training)が増える傾向にあります。国際労働機関(ILO)のデータによると、世界の15歳から24歳の約5分の1がニートです5。国別で特に多いのは、スペイン(50万人)や英国(300万人)などです。社会から孤立した状態が原因で、若い世代(18歳から24歳)はミレニアル世代とは比べものにならないほど強いストレスと不安感を抱くようになっています6。
職場のジェンダーギャップも課題です。これまでも組織から女性の人材の流出が続いていることが指摘されてきました。Lean Inの「10th Workplace Report (2024)」では、この10年間、ジェンダー課題への取り組みが進められてきたものの、女性の職場体験が向上していないことが示されました。女性は、専門分野における判断を疑問視される確率が男性に比べてはるかに多く(女性38%、男性26%)、はるかに低い役職と間違えられる人が多く(女性18%、男性10%)、発言に割り込まれたり、発言を遮られたりする確率も2倍多くあります(女性39%、男性20%)7。また、ジェネレーションギャップも広がっています。ジェンダーダイバーシティに対する関心が最も低いのは若い男性で、最も高いのは若い女性です。シニアリーダーに限ると、男性の79%が女性の存在感は十分に増していると考えているのに対して、そう考える女性はわずか55%です。