ニュースリリース

2020年12月15日

コロナ禍後の世界でネットゼロ目標を達成するには技術進歩の活用が不可欠

新型コロナウイルス感染症後の世界で温室効果ガス排出の実質ゼロ(ネットゼロ)目標を達成するには、水素や人工知能(AI)などの技術進歩が重要な役割を担うことがEY再生可能エネルギー国別魅力指数(RECAI)第56号の公表で明らかとなりました。

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  • 年次指数から、水素と人工知能が再生可能エネルギーの規模拡大に重要な役割を担うことが判明
  • 安定した送電網の確保が進歩の障壁
  • 米国と中国は上位2位を維持、オーストラリアは初の3位にランクイン

新型コロナウイルス感染症後の世界で温室効果ガス排出の実質ゼロ(ネットゼロ)目標を達成するには、水素や人工知能(AI)などの技術進歩が重要な役割を担うことがEY再生可能エネルギー国別魅力指数(RECAI)第56号の公表で明らかとなりました。同指数は低炭素化への移行を加速する場合、気候変動と再生可能エネルギーが引き続き世界の最重要課題になると強調する一方、より迅速に再生可能エネルギーを選択するには送電網の安定性確保が大きな障壁になっていることも指摘しています。

コロナ禍対策として2020年始めにロックダウンが実施されると、電力需要の減少、事業費の削減、規制による送電網への優先的アクセスを背景に、エネルギーミックスで使用する再生可能エネルギーの割合は多くの市場で急増しました。同時に、世界中の多くのリーダーが経済回復に言及する際、ネットゼロ目標への新たな推進力となるグリーン(環境調和型)成長に重点を置くようになりました。

EY Global Power & Utilities Corporate Finance Leader兼 編集長のBen Warrenは次のように述べています。

「ここ数カ月間の化石燃料消費の減少によって環境汚染レベルは劇的に低下し、グリーンな成長と回復への関心がいっそう高まっています。さらに、世界経済への影響はネットゼロに向けた動きを加速させると見られ、投資家心理は環境・社会・企業統治に関する検討課題と、投資ポートフォリオでいかにレジリエンスを維持するかを再び重視しているようです。これは再生可能エネルギーの非常に大きな可能性を浮き彫りにしており、安定した送電網の確保が主要障壁として浮上しているものの、この課題は技術革新によって対応可能でしょう」

再生可能エネルギーの選択はさらに増えることが予想されますが、安定した送電網を支えるには水素とAIが不可欠であることが指数によって検証されています。再生可能エネルギーの余剰電力を水素に変換する技術、つまり大容量化学蓄電池が開発されれば、これまでの流れは一変するはずです。その一方、モノのインターネット(IoT)の活用を通じ、センサーやビッグデータ、AIアルゴリズムは需要予測と資産管理を通じて予測能力を向上させ、中央送電網の安定化につながり、給電効率は高まります。

主要国・市場のランキング

米国はRECAIのランキングで首位を守りました。国レベルの措置は再生可能エネルギーセクターのコロナ禍からの回復を支えており、近い将来、景気刺激策や懸案のパリ協定への復帰に向けた取り組みも進められる見通しです。中国はパンデミックにもかかわらず、好調な太陽光発電セクターが追い風となり2位を維持しました。2020年は最初の5カ月で前年比16%増の59ギガワット(GW)の発電容量を達成する太陽光パネルを製造し、今年中に太陽光発電能力をさらに35~45GW増加させると予想されています。

オーストラリアはRECAIで初めて過去最高の3位に入りました。これは主に、オーストラリアの再生可能エネルギーセクターで新たな成長を牽引しているディベロッパーと投資家によるものですが、市場もグリーンエネルギーの輸出計画に意欲的です。政策の不透明感や、送電網の安定化と価格変動に関する課題はあるものの、指数はオーストラリアがグリーンエネルギーの主要輸出国になると示唆しています。

インドは前回の7位から4位へ順位を上げました。太陽光発電(PV)の設置容量はここ数年で急増し、最近は35GWを超えています。経済的に魅力のある太陽光発電は過去最低値の入札価格を実現しており、市場では再生可能エネルギー設置容量の目標を2022年の172GWから2030年までに510GWへと拡大しています。

6位にランクインしたドイツは、洋上風力セクターとグリーン水素(再生可能エネルギーを利用して水を電気分解することで生成される、温室効果ガスを排出しない代替燃料)への支援で大きく前進しました。ドイツは2038年までに石炭火力発電を全廃する取り組みも進めています。

アイルランドは新たな再生可能エネルギー電力支援スキームオークションの導入を強くアピールしましたが、大幅な進展を見せたチリ(11位)や韓国(13位)におよばず、2つ順位を落とし14位となりました。一方、ポルトガル(22位)とパキスタン(39位)は大きく順位を伸ばしました。

EY Global Renewables LeaderのArnaud de Giovanniは次のように述べています。

「コロナ禍からの回復はエネルギー業界にグリーンで持続可能な成長機会につながります。短期的には間違いなく試練となるでしょうが、再生可能エネルギーにはチャンスをつかむための環境が整備されています。エネルギー分野のリーダーは業界を超えた共同の取り組みでリーダーシップを発揮し、技術革新を活用して持続可能な未来の実現を目指すべきです」

また、EY Japan Energy Market Segment Leader/Power & Utilities Sector Leaderの白羽龍三は、次のように述べています。

「社会の成長を支えるエネルギー資源の変遷を振り返ると、資源の安定的な確保を維持しながら、環境に適応した資源を求めてきました。これから中心となる再生可能エネルギーを更に拡大できるかは水素とAIや蓄電池の技術革新が鍵となると考えられます。あらゆる国におけるトップ課題には、低炭素社会の実現に向けた課題である気候変動と再生可能エネルギーがとりあげられています。各国のリーダーは経済の回復の原動力として“グリーン成長”に期待しています。ESG投資が注目される中で、再生エネルギーの動向に益々目が離せなくなっています。我々は、世界の潮流に向き合いながら、あらゆる場面でカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを推進することが求められています。EYはカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを支援し、よりよい社会の実現に貢献していきます。」

 

再生可能エネルギー国別魅力指数のトップ40の全詳細と、世界の最新の再生可能エネルギー開発の分析についてはhttps://www.ey.com/en_gl/recaiをご覧ください。

※本プレスリリースは、2020年11月24日(現地時間)にEYが発表したプレスリリースを翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。

英語版プレスリリース:
Technological advancements need to be harnessed to reach net zero targets in a post-COVID-19 world

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再生可能エネルギー国別魅力指数について

再生可能エネルギー国別魅力指数(RECAI)は世界各地の40の市場を、再生可能エネルギーの投資・導入機会の魅力度でランキングしたものです。順位には市場が持つ魅力や世界の市場トレンドに対するEYの評価を反映しています。今回のレポートでは、コロナウイルスによるロックダウン措置を背景に未来のエネルギー業界の姿を垣間見る結果となり、エネルギー需要の大幅な減少が多くの地域で再生可能エネルギーの割合を急増させることが示唆されました。

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