ニュースリリース

2021年6月1日 東京, JP

EY調査:デジタルホームサービスの普及拡大と伴に、ウェルビーイングとデータプライバシーに関する消費者の不安が増大

デジタルホーム(デジタル機器をホームネットワークに接続して構成したホームシステム)の活用が進む中、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を契機に人々のオンライン行動が急増しています。

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  • 調査回答者の41%がインターネットがもたらすウェルビーイングへの影響をコロナ禍以前よりも懸念しています
  • 47%の回答者がデジタル疲れを癒すためにインターネット接続機器から積極的に離れる時間を模索しています
  • 42%の回答者が、コンテンツの価値に魅了されて出費がかさんでいると感じています

デジタルホーム(デジタル機器をホームネットワークに接続して構成したホームシステム)の活用が進む中、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を契機に人々のオンライン行動が急増しています。しかし、オンラインサービスの利用の増加に伴い、消費者の間でデジタルウェルビーイング(デジタルの世界におけるウェルビーイング)に関する不安が募っていることも確かです。このような状況に鑑み、デジタルサービスプロバイダーは早急に戦略を改める必要性に迫られています。これは、EYがデジタルコネクティビティ、テクノロジー、コンテンツ消費に対する消費者態度を評価するために、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、英国、および米国で実施した調査「第1回Decoding the digital home(デジタルホームを解き明かす)」で明らかになりました。

本調査によると、国・地域によって多少の違いはあるものの、各家庭ではロックダウン(都市封鎖)を機にオンラインの諸サービスを利用し始めたようです。最も多く利用されたのはビデオ通話サービス(25%増)です。次にオンライン医療サービス(20%増)、オンライン教育サービス(18%増)が続き、いずれも急激に利用が増加しました。そして、全調査対象国の回答者の44%がインターネットに接続する必要性が増したと述べています。

これと同時に注目すべき点として挙げられるのが、インターネットの利用拡大が消費者の不安感の増大を招き、そのことが消費者のオンライン活動の勢いにブレーキをかけているということです。41%の回答者がインターネットがもたらすウェルビーイングへの影響をコロナ禍以前よりも懸念しています。更に、39%の回答者がインターネット上で個人情報を開示することに極めて慎重な姿勢を示しています。年齢層別では、18~34歳の回答者のほうが、45歳以上の回答者よりも個人データの開示に慎重になっています。(前者は43%、後者は36%)

EY グローバルのテレコミュニケーションリーダーであるTom Loozenは以下のように述べています。

「コロナ禍によって、家庭が消費する製品とサービスの在り方が劇的に変化しました。他方、デジタルインクルージョンについても改善が見られます。これは、社会経済活動の支えとなる重要なプラットフォームを提供するインターネット接続プロバイダーやコンテンツプロバイダーの取り組みによるものです。しかし、自宅で長時間インターネットを利用する消費者は、オンライン世界への依存に疑問を感じ始めています。サービスプロバイダーは、データ保護や消費者の不安に関する警鐘に目を背けてしまうと、新しい製品やサービスを提供しても消費者を惹きつけることは難しいでしょう」

オンライン利用に対する需要と不安の相関関係は、子供のいる家庭で最も顕著に表れています。本調査に参加した子育て中の回答者の60%(全回答者の平均:44%)がインターネットに接続する必要性が増加したと回答している一方、52%の回答者(全回答者の平均:41%)がインターネットの利用によるウェルビーイングへの影響をより慎重に考えているようです。

コンテンツ過多と不信感

多くの家庭がすでにデジタル飽和状態に陥っていることが本調査で明らかになっています。回答者の47%がスマートフォンやインターネット接続機器から離れて心身ともにリフレッシュする時間を模索し、25%が現在使用しているストリーミングプラットフォーム数を減らしたいと考えています。同様に、回答者の43%が利用可能なインターネット接続サービスやコンテンツが多すぎると感じています。

さらに、「消費者の信頼」に関する懸念材料も本調査で明らかになっています。回答者の3分の1以上(35%)がネット利用中に有害なコンテンツに遭遇する可能性を危惧しており、ほぼ半数(49%)の家庭がインターネットに厳しい規制を敷くことを支持しています。また、5Gモバイルの利用についても、政府が危険性を否定しているにもかかわらず、35%の回答者が利用に不安を抱いています。

家計の節約志向の高まりが、前向きな消費意欲にブレーキ

場合によっては、コロナ禍が消費意欲を高めるきっかけとなっています。実際、調査参加者の25%がコロナ禍を機に5Gへのアップグレードを前向きに捉え始め、20%がスーパーHDの高画質を利用するためにプレミアム料金を払うことに抵抗を感じなくなったと回答しています。しかし、節約志向がアップグレード意欲に勝っているという現状があり、回答者の42%が、コンテンツにお金を使いすぎてしまっていると感じています。また、53%が、通信費を最小限に抑えることが家計の最優先事項であると述べています。概して、全調査対象国の回答者の42%が、ブロードバンドプロバイダーは最安値を保証するための十分な努力をしていないと感じています。

EY グローバルのテレコミュニケーション・リード・アナリストであるAdrian Baschnongaは以下のように述べています。

「デジタルサービスプロバイダーは、コロナ禍で育んだ消費者との良好な関係を当たり前のものだと思ってはいけません。インターネット接続とコンテンツに対する需要が高まっている一方で、消費者の心に深く根付いた「価値追求」願望とデジタル疲れの兆候が需要の高まりに影を投げかけています。プロバイダーは新しい時代を勝ち抜いていくために、消費者のデジタル飽和感を軽減できるようなシンプルで直感的なサービスや、購買意欲を高められるようなより良いサービスを提供する必要があります。お互いに協力してデジタルウェルビーイングの課題解決に取り組むプロバイダーは、市場のリーダーとなるでしょう。」


EY  Japan TMT コンサルティングリーダーの尾山哲夫は以下のように述べています。

「日本ではコロナ禍により消費生活におけるデジタル化への期待は高まっていますが、一方でデジタル格差、セキュリティ上の問題、オンライン世界への不信感なども高まっています。この状況下で企業は自社利益中心主義から脱却し、消費者に信頼される企業としてデジタルサービスを提供することが「勝ち筋」になっていくと考えています」

 


※本プレスリリースは、2021年5月6日(現地時間)にEYが発表したプレスリリースを翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。

英語版プレスリリース:
EY survey: digital home services boom fuels anxiety around well-being and data privacy

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本調査について

「Decoding the digital home(デジタルホームを解き明かす)」は、消費者が家庭内のデジタルコネクティビティ、テクノロジー利用、およびコンテンツ消費をどのように考えているかを探るEYの年次調査です。本調査では、ブロードバンドやインターネットへの接続性、テレビ、スマートホーム技術、カスタマー・サポート・エクスペリエンスに対する消費者動向と、各種プロバイダー(テクノロジー、接続性、コンテンツ)から提供されるサービスへの信頼度を評価します。世界6か国(カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、英国、米国)の合計1万7,500世帯を対象に、オンライン調査を実施して得た洞察は、現在のデジタル世帯を詳しく理解する手掛かりを提供します。

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