サステナビリティの維持とトレンド
環境に配慮した生活をすべきという機運や圧力が高まっているにもかかわらず、消費者のそうした努力は、生活費の高騰によって阻害されています。世界の回答者の67%が、サステナブルな商品や製品の価格高騰により、購入が非常に難しくなっていると回答しています。しかし、2021年5月と比較すると、サステナブルな製品から低品質を連想したり(2021年5月:67% vs 2022年5・6月:58%)、耐久性が低いと連想する(58% vs 50%)回答者が減り、製造企業によるサステナブルな製品の情報を信頼する回答者が増えており(信頼性の不足は59%から51%に減少)、サステナビリティに対する消費者のセンチメントは改善されています。より積極的に中古品を購買すると回答した回答者が36%と2022年2月の30%から増加し、回答者の87%が食品を無駄にしないように心がける新しい意識的な消費方法を求めています。
アフォーダビリティ(値ごろ感)が求められる現在の需要を背景に、消費者は不要な支出を控え、今あるものをより持続可能なものにする代替品を模索しています。世界の回答者の64%が季節のファッショントレンドを追求する必要性を感じなくなったと回答し、さらに多くの回答者(69%)が持ち物を買い替えるのではなく修理しようと試みており、ファッション意識の高い消費者をターゲットとするファストファッション小売業の課題となっています。また、回答者の60%が、自信を高めるために美容や化粧品に頼ることが少なくなったと回答しています。この結果は2021年10月から7%の増加です。
Rogersは次のように述べています。
「消費者は生活費の高騰に対応するための工夫を模索していますが、企業はサステナビリティへの取り組みの歩みを止めてはなりません。消費財企業は、買い替えの回数やブランドの環境負荷を減らす修理保証を提供するなど、顧客維持のための新しい機会を提供する必要があります。消費者はサステナビリティに妥協しているのではなく、自分たちの価値観を実現するための代替方法を模索しており、企業はそうした機運を支援しなければなりません。経済的困難が緩和されれば、消費者は信頼できる企業や同じ価値観を持つ企業を支持するようになるでしょう」
オンラインデータ保護に躊躇する消費者
本調査では、新しいデジタル体験の探索に関心を持つ回答者が、少数ながら増加していることが明らかになりました。回答者の約10人に1人(12%)がデジタル通貨を利用し(ミレニアル世代では18%、Z世代では15%)、メタバースを体験したり(9%)、バーチャル商品の購入を経験しており(8%)、主に若年層と富裕層の消費者がそうした動向を牽引しています。
しかし、デジタルの世界が広がるのに伴って、消費者は自分のデータを共有することに非常に慎重になってきています。世界の回答者の86%が個人情報の盗難/詐欺が心配であると回答し、72%がウェブサイト/アプリ上で個人情報を共有する際に不安を感じていると回答しています。また、80%がアプリによる行動追跡を懸念しており、すべての世代でその傾向が強くなっています。
Rogersは次のように述べています。
「パンデミックによるロックダウンの際にデジタルを活用した行動を学んだ消費者が、再び節約の手段としてデジタルを活用しています。より新しい形態のデジタル製品やサービスの採用は、ビジネスのすべての要素においてサイバーセキュリティへの投資を確保し、ブランド体験の差別化、革新、より多くの消費者データの取得、デジタルでの製品テスト、デジタル製品ラインの構築などのチャネル開発に投資する新たな機会を企業にもたらしています。
小売業界は、再び岐路に立たされています。企業は、将来の消費者に備え、持続可能なイノベーションとデータ保護の双方を戦略の基盤に組み込む必要があります。消費者は家計をコントロールし、インフレ率の上昇を乗り切ろうとしていますが、ブランドはロイヤリティの維持と信頼を構築し、顧客の可処分所得が増加して消費が戻ってきた際に、利益を確保する必要があります」