上半期の活動を特徴付けたのは、ほぼ大規模なテイク・プライベート(上場企業の非公開化)取引と小規模なボルトオン投資のみでした。 月日の経過とともに公表の範囲が拡大し、セカンダリー、カーブアウト、プライベート・ツー・プライベートなど種々の取引が含まれるようになりました。市場参加者は、2024年もこれらの取引タイプの多くが存続すると予想しています。テイク・プライベート取引は第1四半期にピーク到達後、減少に転じていますが、魅力的なターゲットのとして注目に値する企業は依然として残っています。第4四半期には、昨年公表された最も大規模な取引の1つである、ブラックストーン社によるアデビンタ社の買収(買収額は150億米ドル)をはじめ、多くのテイク・プライベート取引が公表されました。
金利の上昇により資金調達は難しくなっていますが、投資家は、2024年には金利上昇が特定のタイプにおける取引の追い風になり得るとも考えています。米国では、レバレッジドローンのデフォルト率は長期平均(約1.4%)を下回っています。しかし、金融システム各所で圧力が高まっています。S&PのWeakest Link Index(格付けがB-以下で、見通しや予想が否定的な発行体により構成される)は、過去12カ月間で50%超上昇しています。また、調査会社ピッチブックピッチブック社のLeveraged Commentary and Dataによると、インタレストカバレッジレシオは、昨年の5.6倍から3.8倍へと着実に低下しています。このような情勢は、不安定なマクロ経済環境を乗り切る助けとなるドライパウダー(投資待機資金)と適切な専門的知見を備えたPE企業にとって機会となり得ます。
EYが11月下旬から12月上旬にかけてPE投資家を対象に実施した調査では、回答者の63%が今後1年間にディストレスト取引が増加すると予想していました。また、回答者はセカンダリーバイアウトの増加も予想しています。PE企業は新規取引資金として利用できる約1兆3,000億米ドルのドライパウダーを保有しており、イグジットを求める出資者から企業を買収し、次の成長段階へと導くことができる立場にあります。 ある調査回答者は次のように述べています。「2024年には、プライベートエクイティ市場に、高インフレ、金利上昇、マクロ経済減速の可能性に起因する逆風が吹くと予想しています。それでも、弱い企業を淘汰していく環境の中で、投資資金を有するPE企業は、特にディストレストアセットの分野に投資機会を厳選して見いだす必要があります」