インフレで難易度を増すコスト削減

長年にわたり続いたデフレ環境下では、サプライヤーの競争環境醸成が主なコスト削減活動でした。しかし、近年はインフレ環境に戻ってきており、コストを抑制するためには、価格妥当性の検証、あるいは調達内容の見直し、代替手段の検討といった、より難易度の高い発注者側のマネジメントが重要となってきています。

 

EYのコストトランスフォーメーションチームは、さまざまな状況下において妥協を許さず成果にコミット

コストトランスフォーメーションチームはメンバー全員がコスト領域のプロジェクトを数多く経験してきたプロフェッショナルです。私たちはコスト削減が容易でない状況下においても、広範な角度からアプローチを検討し、クライアントの課題に応じた最適解を導出することで、これまで多くのプロジェクトで圧倒的な削減率を実現しています。

 

サービスメニュー

コストトランスフォーメーションチームでは大幅なコスト削減、および抜本的なコスト構造改革に向けたサービスメニューを幅広く取りそろえています。

調達コスト削減

一般的な間接材だけでなく、難易度の高い専門材の他、IT、設備投資、工事も含めた幅広いコストの削減を、多面的なアプローチから支援します。インフレの時代においても▲3割を超える削減率を目指します。


組織・機能強化

調達・購買ケイパビリティのコアとなるソーシング機能を中心とした組織・プロセス設計、およびグループ全体最適化に向けた機能子会社の改革を支援します。


オペレーション構築・効率化

一時的にコスト体質を強化してもそれが企業に根付かなければ、いずれ元に戻ってしまいます。そうさせないために、守るべきルールを作り、またそのルールを順守させるオペレーション・インフラを構築することで、筋肉質なコスト体質を維持・継続させる支援を行います。


支援実績

コストトランスフォーメーションチームのメンバーは幅広い経験と実績を有しています。

支援実績

テーマ

概要

全社コスト削減・構造改革
(製造業)

  • クライアントは増収基調ながらも利益率は低減傾向にあり、コスト体質の抜本的な改善が課題となっていた。特に固定費を大幅に引き下げるべく代表取締役主導で、間接材コスト削減を中心としたコスト体質強化プロジェクトを開始。
  • プロジェクトチームは当初6カ月間のサンプル的な取り組みにより、年間約20億円にのぼる固定費の削減効果実現にめどを付けた。一方、これらの検討過程で、大幅なコスト削減ポテンシャルの背景に調達・購買プロセス全体が機能不全状態である課題が判明。調達構造改革を行うこととなった。
  • まず、主管部門が片手間で担うソーシング機能については専門組織を創設して陣容を強化。プロジェクトによるOJTで人材育成を行い、ケイパビリティを蓄積。自走できる組織へ成長した。さらに調達を統制するルール自体が未整備だったため、アイテム別のガイドラインを整備し、調達の中身まで踏み込んだ統制を実施できるようにした。
  • また、調達代行を担う機能子会社はグループ収益改善の大きな足かせとなっており、個社の収益拡大ではなくグループの効率化に寄与する組織への構造改革が求められた。検討の結果、グループ向けサービス内容の見直し、および外販事業からの撤退など事業内容の大幅見直しやそれらに伴う組織の役割・目標(KPI)の変更等をすることとなった。

グループ横展開(製造業)

  • クライアントは固定費削減を推進していく中、一部のアイテムでは販売会社や事業子会社など子会社の調達規模が大きく、ばらばらに各社が調達している状態から集中調達に移行する必要性を認識した。
  • 販売会社は必ずしも100%出資の子会社ではなく、50%未満の関連会社もあったため、集中調達化や標準化を本部から強制することは困難であった。
  • 経営企画部を中心としたプロジェクトチームでは、統制しやすい子会社から集中調達化の検討を着手し、併せて各社ばらつきの大きかった仕様の標準化を検討した。
  • 子会社によっては激しい反論も受けたが、経営企画部自らが販売会社全社と丁寧な対話を続けたことにより、約1年間でグループ集中調達化および仕様標準化の合意形成を実現した。

工事調達コスト削減・調達プロセス高度化

  • クライアントは工事調達に際し、不正取引の排除などコンプライアンス・社内ルールの順守を重視していた。このため伝統的に調達の目的を経済合理性の追求としておらず、大きなコスト削減余地が見込まれ、経営トップから調達改革の支援要請を受けた。
  • 過去のサンプル案件を基にした各種調査の結果、過去の慣習によって競争の形骸化、安値調達に対するインセンティブの欠如、主管部門および機能子会社のスキル・リソース不足等の課題が明確化した。
  • プロジェクトチームは、新たな調達プロセスの構築、運用支援ツールの整備、および機能子会社の位置付け・役割見直しを通じて、経済合理性を主目的とした調達プロセスへの変革実現を支援した。

店舗端末のリプレース支援

  • クライアントは店舗端末の一斉リプレースを計画。インフレ環境下のため機器部材や作業員など物価上昇が見込まれ、極めて高額な投資になることが想定された。さらに、仕様面については老朽化対応など最低限必要な対応に加えて、インバウンド対応など高機能化も求められており、価格上昇要因が複数内在されていた。これらの機器仕様・調達の最適化に向けて担当役員より支援要請を受けた。
  • プロジェクトチームでは、まずフレームワークに基づく機能要件の棚卸しを実施。優先順位の低い機能は大幅な見直しをすることとなった。
  • 調達面においてはコストアイテムに分解の上、サプライヤー間の単価差要因を分析。価格交渉の材料を抽出し、サプライヤーと交渉の結果、▲数十億円のコスト削減を実現。
  • 加えて、ライフサイクルでのトータルコスト可視化の結果、ランニングコストがイニシャルと同水準であることが判明。個々のコストアイテムを調査してみると、イニシャルコストを上回る規模の過剰マージンが含まれていることが推計された。本件を契機に、以降システム運用コスト全体を見直すこととなった。

IT投資診断・予算策定支援

  • クライアントでは各部門からのIT投資コスト要請が大幅に膨らみ、投資内容の精査による抑制が急務となり、経営企画部より支援要請を受けた。
  • 個別案件の中身を精査すると、投資目的が曖昧、見かけ上の投資目的と実態が乖離(かいり)、既存ベンダーありきの調達スキームなどが散見され、大幅な投資支出抑制の余地があることが判明した。
  • しかしながら、現行プロセスでは調達審査が発注直前で、調達上の問題点改善策は実施できず手遅れになるため、予算策定段階で案件の中身への斬り込みができるようにプロセスを大幅に見直した。新しいプロセスでの運用を並走支援し、まずは調達パッケージの見直しを行うことで十分な競争環境醸成が可能となり、▲2割のコスト削減効果を実現できた。


書籍のご案内

コストトランスフォーメーションチームでは『究極のコスト構造改革 ケースで学ぶ 調達・投資・企業体質の強化』を出版しました。

デフレからインフレ時代への転換に伴いコスト改革の中身が変化を迫られ、コスト削減の難易度も増してきています。厳しい環境で成果を出していくためには、教科書的なアプローチだけでは歯が立たず、よくある一般論を安易に適用するとかえってコスト高を招いてしまうこともあります。このため、コストやサプライヤーに関する本質的な理解とともに状況に応じた解決法が求められます。

本書では、コスト構造改革の正しい方法論と、改革を実行しようとしたときに前線で何が起き、どのように対処したのかを示す実戦的なケーススタディを紹介します。
 

究極のコスト構造改革
ケースで学ぶ調達・投資・企業体質の強化

著者:EYストラテジー・アンド・コンサルティング 倉田 博史
出版社:東洋経済新報社
発売日:2025/5/14



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