4 分 2020年4月30日
デジタルインフォメーションの画面を指差す社員

企業が新型コロナウイルス感染症に立ち向かう、3つの方法

執筆者

Ryan Burke

Global EY Private Leader

Global leader helping companies grow and profit in this transformative age. Passionate about eradicating child illiteracy and raising neurodiversity awareness. Father of two.

4 分 2020年4月30日

企業は今、これまで経験したことのない事態に対応しながら、その先を見据え、将来に向けた準備をしています。

Local Perspective IconEY Japanの視点

コロナ禍は、人々の生活に急減な変化をもたらしました。スタートアップ企業を初めとする日本企業も選別の波にさらされており、変化に対応できない企業が出る一方、この変化をチャンスと捉え次の波に備えた独自の戦略を打ち出している企業もあります。「偉大なスタートアップは不況の中で生まれる」と言われるように、今まさに変化をうまく捉えた企業が、より大きな飛躍を遂げる時期を迎えています。

一方、投資目線では、国内事業会社によるスタートアップ投資が減速見込みとなっていますが、一時期過熱していたバリュエーションが落ち着きを見せている今、私たちはむしろチャンスと捉えています。過去景気低迷期に運用を開始したVCファンドが好成績を残しています。この社会生活の変化を捉え、課題の解決を目指す成長企業にむしろ積極投資をすることが、ファンドのみならず社会全体の観点でも5~10年後の大きな果実を得ることができるのではないでしょうか。

 

 

担当窓口

高木 健治
EY Private Leader; Partner, Assurance, Ernst & Young ShinNihon LLC
青木 義則
EY ストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 EYパルテノン マネージングディレクター&パートナー

今なお世界中で何億という人々が自粛生活を余儀なくされ、生産工場は稼働停止のまま、空港は閑散としています。このような情勢の中、EYでは企業の経営幹部1,145名を対象にグローバル・キャピタル・コンフィデンス調査(pdf)(英語版のみ)を実施しました。この最新の調査によると、企業はすでに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がもたらす影響を短期的および長期的に捉え始め、目の前の危機に対応しながら次の段階に備え、さらにその先へと将来を見据えていることがわかります。

Now

企業の経営幹部は、新型コロナウイルス感染症が流動性、サプライチェーン、収益、収益性に与える即時の影響に、全力で対処してきました。多くの企業(87%)が、すでにサプライチェーンの再構築を始めている(46%)、あるいはサプライチェーンの早急な見直しが必要(41%)と回答しています。新型コロナウイルス感染症は世界の株式市場にも大きな打撃を与え、極端な変動を引き起こしています。回答者の過半数(57%)は資金調達が困難になることも懸念しており、さまざまな経済対策の活用や、他の資金調達手段、現金留保の検討を始めています。

サプライチェーンの再構築

87%

サプライチェーンの再構築をすでに始めている、または見直していると回答した企業の割合。

Next

多くの組織が、新型コロナウイルス感染症によって苦境に立たされています。しかし企業は将来を見据え、次の段階に備える必要があります。

そうした中、企業の3分の2以上(71%)は、すでに変革に向けて着手しています。新型コロナウイルス感染症の拡大により、計画の中断や遅れがあったかもしれません。しかし、こうした計画は重要度と緊急度を増して再開されるでしょう。企業の4分の3が、今後は戦略とポートフォリオの見直しをもっと定期的に実施するとしており、戦略的な対応を柔軟に行う企業の例も、すでに見受けられます。

例えばある中国の電気自動車メーカーは、政府から受けたマスク増産の指示を、コンプライアンス業務としてではなくビジネスチャンスとみなしました。そのメーカーは直ちに新たな製造ラインを立ち上げ、わずか7日のうちにマスク製造装置の研究開発と実用化を完了させ、今では世界最大規模のマスクメーカーとなっています。

徐々に「日常」が戻ってくると、企業の経営幹部たちは不況の先を見据え始め、景気回復の促進とステークホルダーへの長期的な価値創出に向けた事業の再考、再建、再編をすみやかに進めるでしょう。

Beyond

新型コロナウイルス感染症が収束した後は、コロナ危機前の戦略を迅速に再開する企業が優位に立つでしょう。しかしながら、収束後の新たな市場環境や競合状況の変化を把握することが不可⽋となり、そのためにデータの更なる有効活⽤が求められます。また同時に買収や売却を通じた資産ポートフォリオのリバランスの積極的な実施も必要となるでしょう。

トランザクションについては、企業はコロナ危機前の計画に変更はないと回答しています。ほとんどの企業が新型コロナウイルス感染症の拡⼤は世界経済に深刻な影響を与えると予測しているものの、半数近くの企業(48%)は今後1年以内にM&Aを積極的に実施していくと述べています。これは、昨年の同時期よりも⾼い割合です。

M&Aに対する意欲

48%

今後1年以内に積極的にM&Aを行っていくと回答した企業の割合。

危機の中にあってもM&Aへの意欲が⾼いという事実は驚くことではありません。トランザクションによる変⾰は、今日においてはCEOがよく⽤いる戦略手法の一つです。2008〜10年の⾦融危機後の不況は、景気回復時に更なる成長を後押しする優良資産の買収など、⼤規模な変⾰を実施する機会であったことをデータは⽰しています。

一方で、M&Aを推し進めるには資⾦調達に際して創造⼒と柔軟性が必要となるでしょう。有望な財源となるのは、プライベートエクイティ(62%)、⻑期融資(52%)、IPO(52%)です。しかし、上場を目指す企業は限られた期間内に早急にIPO完了の準備を整えなければなりません。さらに、リモート環境でのロードショウの実施といったオプションの検討も必要です。また、投資家が全体の資産配分を再評価する中で、より慎重なIPO評価への対応や、必要に応じて他の資⾦調達⽅法の検討も必要となります。

企業の経営幹部たちからは、難局を乗り切り目標を成し遂げるには、将来計画に⼗分な時間をかける必要があるとの声も上がっています。多くのことが見送りを余儀なくされている今だからこそ、重要な変⾰を推進することに時間を割くには絶好の機会と⾔えるでしょう。

サマリー

要約すると、世界が新型コロナウイルス感染症と向き合う中、企業の経営幹部たちが取り組むべきことは⽬の前の難題(Now)に対処するだけでなく、次(Next)に向かって積極的に計画を⽴て、さらにその先の将来(Beyond)を⾒据えることなのです。

この記事について

執筆者

Ryan Burke

Global EY Private Leader

Global leader helping companies grow and profit in this transformative age. Passionate about eradicating child illiteracy and raising neurodiversity awareness. Father of two.