18 分 2022年12月22日

The 11th wave of the global study explores the emerging priorities that will shape future consumption patterns.

多様な民族的背景をもつ拡大家族のために食事を用意する若い男性の写真

Future Consumer Index: 5つの消費者セグメントを理解する

執筆者 Kristina Rogers

EY Global Consumer Leader

Global leader for consumer industries. Marketing strategist. Worked in 20 countries. Harvard MBA. Photographer. Scuba diver. Canadian fiction reader. Mother of two.

投稿者
EY Japanの窓口

EY Japan 消費財・小売リーダー EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 パートナー

国内外のM&Aトランザクションに関わるファイナンシャルアドバイザリーサービスを提供。 CPRマーケットセグメント リージョナルリーダーとして、CPRセクターにおけるEYの活動を主導。

18 分 2022年12月22日

第11回となる今回のグローバル調査では、将来の消費パターンを形づくる消費者の新たな優先事項を探ります。

要点
  • 世界的に商品価格に対して関心が集まっているが、多くの消費者はサステナブルな生活や健康的な生活を送りたい、または価値のある体験をしたいという願望を抱いている。
  • デジタルは成長を続けているが、信頼性やコストの問題、また、依然として実店舗をはじめとする物理的チャネルが好まれるという傾向は残っている。
  • 消費財メーカーは消費者全体の共通点に焦点を当てる必要がある。あるいは、ターゲットとする消費者セグメントの要望に沿った価値提案、製品、サービスを作り上げなければならない。
Local Perspective IconEY Japanの視点

「日本においても、昨今の物価上昇や将来に対する不安から生活防衛に走る消費者が多く、消費行動において価格を優先するという傾向が強く表れています。その回答割合(「価格優先」)は41%とグローバルの25%を大きく上回っており、物価上昇に賃金の上昇が追い付いていない国内経済の状況を反映していると言えそうです。その一方で、環境を重視すると回答した消費者は12%にとどまり、世界で最も消費行動において環境を重視しない国となっています。また、日本における「健康優先」の消費者割合は24%と世界で最も高く、依然として健康に対する消費者の高い関心が伺えます。さらに、「顧客体験優先」の割合はわずかながら上昇傾向にあります。生活防衛のために支出を抑えながらも、健康に配慮した商品・サービスを選択し、時には、必需品以外の商品、サービス、アクティビティなどにもお金を回すというのが、今の日本の消費者像と言えます。

グローバル展開を目指す日本の消費財メーカーには、日本国内の消費者動向に加え、各地域、国ごとに異なる消費者動向を捉え各地域、国ごとに異なる商品、サービスを提供するのか、または、グローバルに共通する消費者志向にフォーカスした商品、サービスを提供するのか、または、その両方の戦略を同時に選択するのか、判断が求められます。この判断に際しては、自社のリソースのみに依拠するのではなく、外部パートナーとの協業、外部リソースの獲得も視野に入れた柔軟な発想が重要です」

 

EY Japanの窓口

平元 達也
EY Japan 消費財・小売リーダー EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 パートナー

世界中の消費者が対処しなければならない変化の甚⼤さを考えると、消費者がこれほどまでにレジリエンス(回復力)を発揮し続けていることは驚くべきことです。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミックの脅威がようやく薄れつつあると多くの⼈々が感じている⼀⽅で、インフレ率の上昇、エネルギー危機、歴史的な低⾦利政策の転換など、懸念は数多くあります。

今、世界中の⼈々が経済的に厳しい状況にあり、今後その状況がさらに深刻化する可能性があります。しかしながら、価格がすべての消費者あるいは⼤半の消費者にとっての最重要事項ではないことも事実です。消費者の⽀出とライフスタイルの選択に主な影響を与えているのは、価格以外の要因です。

EY Future Consumer Index(以下、「本調査」)は2020年3⽉以降、消費者⼼理を追跡しています。第11回となる今回の調査は、⼈々が依然として、⻑期的には⾃⾝の⽣活を楽観的に考えていることを⽰しています。しかし、今後の生活に対する期待は変化し続けています。74%が「ノーマル」な⽣活に戻ることを待ち望んでいますが、47%は⽣活の変化を好ましく思っており、2年前とまったく同じ⽣活には戻りたくないと考えています。また、54%は、昨年1年間で価値観や⼈⽣の捉え⽅が変化したと回答しています。

このような消費者の考え⽅の変化から⽣み出される機会と課題に企業が対応できるよう、本調査では消費者を5つのセグメントに分類してきました。それぞれのセグメントの規模ならびに相対的な重要度は、時間の経過とともに着実に変化しています。価格は常に多くの消費者にとって最優先事項であり続け、その⼀⽅で、健康と⽐較して今まで抑制されてきたエクスペリエンス(顧客体験)に対する優先度が⾼まっています。また、地球環境を重視する消費者の⽐率が上昇しています。

本稿では、5つの消費者セグメントを詳細に分析し、現在、消費者は何を重要視しているのかを考えていきます。企業は、今日現在の状況に対応をする⼀⽅で、将来の需要やニーズを予測することも求められています。これらの消費者セグメントは次の特徴により定義されています。

  

スーパーでレシートを確認する女性の写真
(Chapter breaker)
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第1章

「価格優先」の消費者

倹約を生き方として受け入れる

「私は⾃分の収⼊と予算の範囲内で⽣活するつもりです。本当に必要なもの以外は買わないようにします。本当に必要なものがあるときには、⼀番割安なものを探します。購⼊商品のブランドにはこだわりがありません。商品が私のニーズを満たしていればそれでいいです」

「価格優先」の消費者はコストと価格を⾮常に重視しています。居住国の経済の先⾏きと⾃⾝の家計の⾒通しを悲観している⼈が多く、40%が今後3年のうちに⽣活が悪化すると予想しており、来年の休暇旅⾏を計画しているのはごく少数です。彼らの⽀出の対象は主に必需品で、76%は最新のファッショントレンドを⾝に着ける必要性を感じていません。71%は既に持っているものを修理できるのであれば、新製品を購⼊しようとは考えません。

この節約志向は他の⾏動に影響しています。「価格優先」の消費者はサステナビリティを重視しますが、多くの場合、それはエコバッグの使⽤や家庭でのエネルギー節約など、コストの節約になる形で表れます。出費を伴う⾏動を取ることには消極的で、サステナブルな製品の購⼊はコストがかかりすぎると考える⼈は60%に上ります。

買い物習慣は保守的です。その多くが実店舗で買い物をすることを好み、52%はオンラインで⾷料品を購⼊したことがありません。個人データの提供に対する不信感が強く、たとえその提供により製品を割安で購入できるとしても、⼤半の⼈はそれを望みません。⽣活必需品が主な関⼼事であるため、デジタルテクノロジーにはあまり関⼼がなく、36%が動画配信サブスクリプションへの⽀出の削減を予定しています。

ホリデーシーズンには、実⽤的なプレゼントを購⼊し、外出や飲⾷への⽀出を減らす予定です。

贈られて嬉しいプレゼントは、節約と環境への負荷軽減に役⽴つソーラーパネルです。

  • 「価格優先」の消費者の分布

    「価格優先」は、「環境優先」と並ぶ最⼤の消費者セグメントであり、世界各地の消費者の25%を占めます。このセグメントに属する消費者の割合は⽇本(41%)やフィンランド(39%)で⾼くなっていますが、⽶国(26%)では低くなっています。ナイジェリア(11%)、中国(6%)、インド(4%)ではさらに少数です。通常、これらの消費者は低所得層に属しており、教育に費やす時間が少なく、都市よりは郊外や農村地域に住む傾向が⾼くなっています。

「価格優先」の消費者を顧客にする3つの⽅法

  • ポートフォリオ、SKU(在庫管理の最⼩単位)や分類を合理化し、価格の最適化と選択肢の簡素化を図る。必需品のブランド提案価値の⼀環として、低価格の代替品の提供を拡⼤する(⼩売企業の場合はプライベートブランドを拡張する)。
  • 複雑なデジタルのロイヤルティプログラムではなく、実店舗のレジカウンターでの割引価格を設定する。
  • 省エネ電⼦機器や低温洗剤など、消費者の全体的なコストを削減できるサステナブルな製品を開発して消費者に情報を提供する。修理や再販など、製品寿命を延ばすためのサービスを提供する。

  

苗木の保護のために庭で使用される古いペットボトルの写真
(Chapter breaker)
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第2章

「環境優先」の消費者

より良い未来のためにサステナブルな選択をする

「私は⾃分の⾏動と、それが世界に与える影響をより意識します。⾃分と同じ価値観を共有する仲間を探し、私の信念を反映するブランドの商品を購⼊します。廃棄物の削減や環境資源の消費削減のために、⾃分ができることをします。将来の世代のためになるのであれば、たとえ買い物の選択肢が狭まることになっても構いません」

「環境優先」の消費者もインフレを⼼配していますが、他のセグメントほどではありません。このセグメントを特徴付けているのは、サステナビリティとの関わり⽅です。経済的な⼼配が少ないため、彼らの⽇常的な⽬標である、よりサステナブルな⽣活のため以外では、⽀出削減の傾向は低くなります。

彼らはよりサステナブルな⽣活をするために、多くの点で⽣活様式を変えています。プラスチック製⾷器を断るなど負担の無いものから、⾃家⽤⾞を公共交通機関に切り替えるなど、より努⼒を要するものもあります。また、サステナビリティ推進のためであればより多くを⽀払うことをいとわず、58%がよりサステナブルな⽅法で⽣産されている製品には、より⾼い価格を⽀払ってもいいと回答しています。また、30%は、よりサステナブルに⽣活するために、全体的に購⼊を減らそうと考えています。

「環境優先」の消費者は、他の⼈々の⾏動に影響を与える責任があると感じており、⾃⾝が購⼊を決定するために、より多くの情報を欲しています。

しかし、サステナブルな⽣活に対するコミットメントが、必ずしも⾃⾝の⾏動に反映されているわけではありません。⼤多数は依然として、最新のファッションやテクノロジーのトレンドを追いかけたいと思っています。また、必要としているからではなく幸福感を得るために買い物をする傾向が、他のセグメントよりも⾼くなっています。

「環境優先」の消費者はデジタルに精通しており、デジタルチャネルを通じた買い物に前向きであり、実際に52%がオンラインで⾷料品を注⽂しています。また、動画配信などのデジタル体験への関⼼も⾼く、30%が実体験型のバーチャルイベントへの参加経験があります。「環境優先」セグメントよりもこの割合が⾼いのは「顧客体験優先」セグメントだけです。

サステナビリティへの配慮は、ホリデーシーズンでの選択にも影響するとみられます。彼らは実用的な物を購⼊するよう⼼がけ、サステナブルな⾷品や国産の商品を優先的に購入する予定です。37%がローカルで⽣産・製造された物をプレゼントとして購⼊すると回答しています。

贈られて嬉しいプレゼントは、植え直すことで森林再⽣と⽣物多様化に貢献できる、地元で栽培されたクリスマスツリーです。

  • 「環境優先」の消費者の分布

    「環境優先」の消費者は、中国(35%)とメキシコ(34%)で最⼤のセグメントを形成しています。また、イタリア(32%)、ドイツ(29%)、スペイン(28%)でも割合が⾼いですが、⽶国(21%)ではそれほど⾼くありません。世界的にみて若い世代から中年層にかけての消費者が多く、ベビーブーマー世代では19%に過ぎません。⼤多数は都市の中流階級に属しており、教育と雇⽤の⽔準は平均的です。

「環境優先」の消費者を顧客にする3つの方法

  • バリューチェーンに沿ってトレーサビリティを確⽴し、インパクトを明確に報告することで、顧客のロイヤルティを⾼める。
  • 包装資材の使⽤量削減につながるサステナブルで再利⽤可能なソリューションや、再販を促すプラットフォームの開発に投資する。
  • このセグメントの消費者はファッションなどのトレンドについていきたいと思っており、さらにサステナビリティのためであればより多くを⽀払うつもりであることを念頭に置く。

  

ピンクのフラミンゴ型の浮き輪に乗って湖に飛び込む女性の写真
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第3章

「顧客体験優先」の消費者

明日ではなく、今日のために生きる

「私は⼈⽣を豊かにしてくれる時間と体験を求めます。買い物の際には、新商品を試して楽しみます。また、私にぴったりのもの、私のニーズに合っていると感じる製品やサービスを探します。私が購⼊するブランドが、私の⼈となりを語るのです」

「顧客体験優先」の消費者は、平均以上の教育を受け、収⼊を得ているため、他のセグメントほど家計を引き締める必要はありません。3⼈に1⼈は、屋外での娯楽や休暇旅⾏への⽀出を増やしたいと考えています。半数近くが今後6カ⽉以内の休暇旅⾏を予約しており、48%は休暇旅⾏に今までより多くのお金をかける予定です。

彼らはまた、外出して楽しむことに意欲的で、63%がパンデミックの間にできなかったあらゆる体験を取り返したいと思っています。彼らが住んでいる都会には、その機会が豊富にあります。

同時に、他のセグメントと⽐較して屋内での体験も楽しんでいます。彼らはオンラインサブスクリプションを契約する傾向が⾼く、例えば、41%がゲームのサブスクリプションを契約しています。このセグメントの半数は、幸福感を得られるのであれば必需品ではなくても製品やサービス、体験を購⼊したいと考えています。

「顧客体験優先」の消費者は、他のセグメントよりもデジタルテクノロジーを受け⼊れています。3分の1以上が、デジタルスキンなどのバーチャルな製品の購⼊や、Robloxなどのマルチユーザープラットフォームを通じたバーチャルな交流の経験があります。また、半数近くがソーシャルメディアから直接商品を購⼊したことがあります。

しかしながら、家から出て他の⼈と共に体験を楽しみたいと望んでいるにもかかわらず、実際のところ最も経済⾯に不安を感じているのはこのセグメントです。⽀出を抑えない傾向があるように見えても、41%は家計の負債を強く懸念しています。その⼀⽅で、最も楽観的でもあるので、心配事を忘れて⼈⽣を楽しむことができるのです。このセグメントも環境に感心を持っていますが、他の消費者と⽐較して、サステナビリティのために⾃⾝の⾏動や消費を抑制することには消極的です。

ホリデーシーズンには⽀出を増やす予定で、特に⼦供へのプレゼントの予算を増やそうと考えています。5⼈に2⼈はプレゼント用の電化製品の⽋品を⼼配しているため、オンラインでの購⼊を増やしたり、購⼊時期を早めたりしており、販売開始前に予約注⽂することさえあります。

贈られて嬉しいプレゼントは、⽬新しい、ワクワクするような都市での短期休暇です。

  • 「顧客体験優先」の消費者の分布

    「顧客体験優先」は、アジア全域において最⼤のセグメント(28%)で、⽶国では2番⽬に⼤きいセグメント(23%)です。欧州では⽐較的少数で、英国(13%)、スウェーデン(12%)、イタリア(15%)では最⼩のセグメントです。⽐較的若い世代に多く、3⼈に2⼈は都市に住んでおり、平均よりもわずかに⾼い教育と収⼊水準です。

「顧客体験優先」の消費者を顧客にする3つの⽅法

  • このセグメントは環境のために品質を犠牲にすることを望まないため、サステナビリティに関する情報を伝える際には、製品の品質と差別化に重点を置く。
  • 製品に関連したサービスの提供を通じてユニークな体験を創出し、製品の購⼊だけにとどまらない価値と体験を付加する。
  • デジタルチャネル上でゲームの要素を取り⼊れた⾰新的なツールを使⽤することで独自性や楽しさを伝え、ブランドエンゲージメントを高める。

  

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第4章

「健康優先」の消費者

自身のウェルビーイングを重視する

「私は最優先で、⾃分⾃⾝と家族の健康を守る選択をします。⼈⽣において重要だと思うことや、⻑期的に正しいと感じることをこれまで以上に⼤切にし、安全性に関して信頼できるブランドや製品を選びます。不要なリスクを最⼩限に抑え、実店舗よりもオンラインでの購⼊を選びます」

「健康優先」の消費者は、⼼⾝のウェルビーイングを重視します。健康とウェルビーイングが、気候変動問題と並んで、社会にとって最重要な問題であると考えています。「健康優先」の消費者の54%が、今後の購買⾏動を決定付ける要素として健康とウェルネスを挙げています。

健康を重視しているにもかかわらず、他のセグメントと比較して、⾃⾝の健康について特に心配していません。この結果は意外に思えますが、それは彼らが健康維持に積極的に取り組んでいると感じているからかもしれません。しかし、インフレについては懸念しており、インフレによって⽣活が脅かされると感じています。例えば、61%の⼈々が⾷料品価格の上昇を強く懸念しています。

彼らは物価上昇が⻑期化することを恐れており、必需品以外のもの、特に健康への影響が懸念される製品への⽀出を⼤きく抑制しています。44%がアルコール飲料の⽀出を減らすと回答しています。また全体的に、⾃国の経済の先⾏きについてやや悲観的であり、コストの増加を⾮常に不安に感じています。このように感じている人の割合は、「価格優先」の消費者に次いで2番目です。

「健康優先」の消費者は、オンライン注⽂や動画配信などの確⽴されたデジタルサービスを使用することに抵抗がありません。しかし、健康を重視しているにもかかわらず、オンラインのフィットネスや健康サービスに加⼊する傾向は低くなっています。また、他のセグメントと⽐較して、最新のデジタル資産を試すことにあまり積極的ではなく、74%が⾮代替トークン(NFT)やデジタルスキンなどのバーチャル製品の購⼊経験がありません。「価格優先」セグメントに次いで、2番目に消極的なセグメントです。

「健康優先」の消費者は、健康⾯の理由からホリデーシーズン中はなるべく⼈混みを避けるつもりです。しかしその他の点では、ホリデーシーズンの買い物の計画は他のセグメントと差はありません。

インフレの懸念とパンデミックがもたらした根強い不安感により、他のセグメントよりもホリデーシーズンの旅⾏予約を躊躇しています。旅⾏するとしても、⾃家⽤⾞で移動し、⾃国にとどまることを選択します。

贈られて嬉しいプレゼントは、健康に良く、パーソナライズされたミールキットの年間購⼊契約です。

  • 「健康優先」の消費者の分布

    世界全体の「健康優先」セグメントに属する消費者の割合は低下しています。2020年6⽉には5つのセグメントのうち、上から2番⽬に位置していましたが、現在では4番⽬となっています。⼀部の国では、このセグメントに含まれる消費者はごくわずかで、イタリアでは15%、ベトナムでは13%、デンマークでは10%です。「健康優先」の消費者は居住地域、教育、年齢分布の点で概ね平均的である傾向があります。フルタイムで雇⽤されているのは半数未満で、このセグメントよりも雇⽤⽔準が低いのは「価格優先」セグメントのみです。

「健康優先」の消費者を顧客にする3つの方法

  • 認知力向上や強壮効果などの機能性成分を活⽤して、精神的ウェルビーイングと⾝体的健康の両⽅にメリットのある⾰新的な製品を開発する。科学的に裏付けられた健康上の利点を明確に表⽰し、健康効果の信憑性を高める。
  • 健康商品の提供に加え、⾷事や運動についてのアドバイスなどの健康関連サービスを提供する。
  • タッチレスや⾮接触型の決済・配送機能を搭載したデジタルサービスを構築し、物理的な接触の必要性を減らす。

 

  

フードバンクでテーブルに寄付された食料を並べるボランティアの写真
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第5章

「社会優先」の消費者

コミュニティのためになる選択をする

「私には、皆が公共の利益のために⼒を合わせるべきだという信念があります。誠実で透明な事業運営を⾏っている企業から購⼊し、企業が社会やコミュニティのニーズを⾃社の利益と同等にみているという証を求めます。また、感染症の拡⼤防⽌のためにデータを提供するなど、社会に有益なことをしたいと思います」

「社会優先」の消費者は⽣活費の上昇に対する懸念が最も低いですが、いずれにしても⽣活費削減のために習慣を変えており、より低価格のブランドを選択したり、必需品のみを購⼊しています。彼らは痛みを伴わない範囲で⽀出を削減しており、37%が⽣活費を削減するために新しいブランドを試しています。このように必需品以外のものへの⽀出を減らすことで、⾃⾝が重要だと考えるものにより多くの資⾦を充当しています。

彼らの主な関⼼事は社会の健全さですが、健全な社会には健全な地球が必要であることを理解しています。そのため、エシカル製品への関⼼が⾼く、56%がサステナブルな製品により多く⽀払うと回答しています。プラスチック製⾷器を断るなどの⼩さな取り組みにも⾮常に積極的ですが、⾶⾏機での移動を控えるなど、より⼤きな⽣活様式の変化も受け⼊れます。

「社会優先」の消費者は、企業がよりサステナブルになるよう積極的に働きかけたいと考えています。70%は、購⼊の検討や決定の際に企業⾏動の倫理⾯を考慮しますが、同時に、3分の2の消費者は、サステナブルな選択を⾏うためにはより多くの情報が必要であると考えています。必要な情報を得るためであれば、積極的に電⼦メールやチャットボット、またはソーシャルメディアを使って企業に問い合わせを実施します。

友⼈に対して、よりサステナブルな⾏動をとるよう促す責任があると感じており、3⼈に2⼈は地球に優しい製品を友⼈に勧めます。

このような連携とアクティビズムの精神は、彼らのデジタル⾏動にも反映されています。他の消費者よりもデジタルテクノロジーを活用する傾向は低くなっていますが、⼈との交流には積極的にデジタルテクノロジーを活用しており、55%が最近ビデオプラットフォーム上で友⼈や家族と交流したと回答しています。

ホリデーシーズンは彼らにとって、買い物を通して自らの社会的価値観を積極的に表明できる重要な機会です。

贈られて嬉しいプレゼントは、地域のコミュニティや慈善団体の会員権です。

  • 「社会優先」の消費者の分布

    「社会優先」の消費者は、全地域および⼤半の国々で最⼩のセグメントです。最も割合が⾼いのは、中国(18%)、ナイジェリア(18%)、ベトナム(17%)です。男性が若⼲多い傾向があり、平均よりわずかに⾼い⽔準の教育を受けています。

「社会優先」の消費者を顧客にする3つの方法

  • ローカルで調達・販売される製品を中心に製品ポートフォリオを構成し、サプライチェーンの透明性を図る。
  • 政策決定者と協⼒し、企業の活動や取り組みがコミュニティにとって有益なものになるよう徹底する。
  • ⾃社の製品・サービスの消費を、地域のテーマや目標と結びつける。
  • 調査方法

    EY Future Consumer Indexは、グローバル市場を対象にさまざまな期間にわたって変化する消費者のセンチメントと⾏動を追跡し、台頭しつつある新たな消費者セグメントを識別するものです。このIndexは、どの変化がコロナ渦への⼀時的な反応で、どの変化がより根本的な転換なのか、そしてコロナ禍後の消費者⾏動がどのようになるかについて、通常の経年的指標と独⾃の観点を提供します。第11回EY Future Consumer Indexでは、2022年9⽉23⽇から10⽉14⽇までの期間に、⽶国、カナダ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、チリ、英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、デンマーク、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、オーストラリア、ニュージーランド、⽇本、中国、インド、インドネシア、タイ、サウジアラビア、南アフリカ、ベトナム、ナイジェリア、オランダの21,000⼈の消費者を対象に、調査を実施しました。

サマリー

現在、商品価格は世界中の多くの消費者の関⼼を集めています。しかし、価格だけが⼈々の消費行動を決定しているわけではなく、また、一部の消費者にとって価格は主な関⼼事ではありません。5つの異なる消費者セグメントの行動原理を理解することで、企業はすべてのセグメントに共通するニーズ、および各セグメント固有のニーズの両方に対して、最善のサービスを提供する方法を見い出すことができるでしょう。

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執筆者 Kristina Rogers

EY Global Consumer Leader

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