ソーラーパネルの前に立つ少年
ケーススタディ
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ビジネス界とZ世代が協力して気候変動に取り組むには

EYのチームは、気候変動対策に関する生涯学習を促進し、Z世代の声とビジネス界を結び付けています。

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未来のリーダーたちは、今、気候変動に取り組むために何ができるでしょうか?

気候変動の緊急課題に対応するためには、世代を超えた意思決定が不可欠です。

2015年、パリ協定では、不可逆的な環境破壊を防ぐために高い目標を掲げました。それから数年が経過しましたが、自らが合意した目標を大多数の国や企業が達成できず、かつてないほど多くの自然災害に見舞われています。こうした中、特にZ世代の間で、気候変動に対する懸念は高まる一方です。

Z世代は、他のどの世代よりも、気候変動対策の必要性に関するオンラインコンテンツに触れてきました。回答者の37%が気候変動を個人的な関心事の第1位に挙げ、32%が過去1年間に気候変動に対して個人的に行動を起こしています。この割合はミレニアル世代やX世代、ベビーブーマー世代よりも高く1 、Z世代の4分の3超が、学校で環境リテラシーについて学ぶことを望んでいます。2

グレタ・トゥーンベリ氏に代表されるように、Z世代は気候変動の危機に懸念を抱いていますが、それと同様に、政治家の無策ぶりに幻滅しています。パンデミック発生以降、若者間の幻滅は急激に広まっており、80%がうつや不安、幻滅などの症状を訴えています。3 Z世代の3分の2超(67%)が、ここ数週間のうちに少なくとも1度は気候変動対策の必要性について発言しており、多くの若者が「私たちの言うことを聞いてくれる人はいるのだろうか?」と疑問に思っています。1

EY Global Corporate Responsibility LeaderのGillian Hindeは、次のように述べています。「Z世代は、気候変動に対して過度の負担を負うことになりますが、ビジネス界が彼らとの接点を十分に持っていないため、有意義な方法で変化に影響を与えることができないと感じています。環境サステナビリティを加速させるためには、今、将来リーダーとなるZ世代の意見を聞き、彼らのエネルギーとアイデアを生かしていく必要があります」

カリキュラムの変更

77%

のZ世代が、学校で環境リテラシーについて教えてほしいと考えています。

環境サステナビリティを加速させるためには、将来リーダーとなるZ世代の意見を聞き、彼らのエネルギーとアイデアを生かしていく必要があります。
Gillian Hinde
EY Global Corporate Responsibility Leader
テーブルでノートパソコンを使う女性
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未来のリーダーたちのサステナビリティアジェンダの設定を支援する

EY Future Skills WorkshopsとClimate Ideation Clinicsは、環境サステナビリティを支援しています。

EY Climate Ideation Clinicsは、EY Ripplesの取り組みの1つであり、未来のリーダーたちを巻き込み、サステナビリティに関する実社会のビジネス上の課題に新しい考え方を提供することを目的としています。

このクリニックでは、大学生が新たな視点で気候変動の緊急の課題を検証したり、気候変動危機に対する懸念を表明したり、建設的に協力して実行可能な計画を立案したりすることができます。また、気候変動が特定のセクターにどのような影響を及ぼすのか、また、企業が気候変動の緊急の課題にどのように対応しているのかを学びます。少人数のグループでセクター固有の環境問題に対する解決策を考え、それを発表して最も優秀な解決策を投票によって決定します。その結果をEYのインサイトに反映させ、クライアントとの協働に役立てています。

EY Climate Ideation Clinicsは、2021年までに、英国、イタリア、オランダ、カナダ、米国およびシンガポールにおいて数百人の若者を巻き込み、多くのアイデアを生み出しました。

  • 金融サービスセクターに向けたZ世代のアイデア

    金融機関はすでに、企業の低炭素化への移行の支援から、一定の環境基準を満たした物件に低金利の住宅ローンを提供するなどの新しい金融商品の開発まで、気候変動リスクに対応する取り組みを実施しています。Z世代の参加者からも以下のような提案がありました。

    • クレジットカードのグリーンインセンティブや報奨プログラムの実施、サステナブルな企業との提携による推進と支援。
    • ローン金利と融資先の炭素排出強度を関連付ける、あるいは融資先にグリーンテック企業の支援を求める融資条件を導入するなど、環境プロジェクトを支援するインセンティブの導入。
    • 利息の再投資によるクリーンエネルギーやサステナブルな製品の支援。
  • 消費財セクターに向けたZ世代のアイデア

    消費者はブランドおよび、特にブランドが販売する製品に関して、環境に良い取り組みを先導することを期待しています。Z世代の参加者から以下のような提案がありました。

    • 製品バリューチェーン全体でサステナビリティ指標を記録するデジタルデータ収集システムを構築し、提供されたデータの質に応じた報酬やインセンティブを提供する。
    • 家電製品や製品の再利用回数など、製品やその部品の循環性を追跡するアプリを開発し、サステナブルな製品廃棄に関する情報を提供する。
    • サプライチェーン全体からの排出量、環境倫理、製品やその部品の再利用性など、製品のライフサイクルのサステナビリティを測定し伝えるために、交通信号システムを活用する。

より若い世代向けには、EY Future Skills Workshopsにおいて、5歳から24歳の児童や学生を対象に、変化する世界を生き抜くスキルの取得を支援しています。そこでは、環境問題についての対話を促し、若者が気候変動の問題解決に積極的な役割を果たす自信を深められるようにしています。「Energy for change」(変革のためのエネルギー)や「Conscious consumption」(意識的消費)などのトピックは、日々の行動を通じて、環境にプラスの変化をもたらす力を与えてくれます。また、EYのメンバーが、第三者や課外プログラムと連携し、積極的にZ世代の参加者のアイデアや反応、リアクションを得ながら、知識交換や経験の共有の場としてセッションを進行しています。

発足以来、100人超のEYのメンバーがこのワークショップを運営し、ホンジュラス、コスタリカ、エルサルバドル、パナマ、日本、ジンバブエおよびイタリアで、1,150人を超える人々の生活にプラスの影響を及ぼしてきました。

未来のリーダーに力を与える

82%

のEY Climate Ideation Clinicsに参加した若者が、気候変動の緊急の課題においてビジネス界が果たす役割について理解を深めたと感じています。

近代的な環境都市を走る車とバス
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次世代の気候変動対策を加速させるための支援

EY Ripplesは多様なステークホルダーに対して長期的価値を生み出しています。

EY Global Vice Chair —SustainabilityのSteve Varleyは、次のように述べています。「より良い未来をデザインし、サステナビリティから価値を生み出すスキルについて教育することで、次世代がグリーン経済に参加できるよう支援することが極めて重要です。これらのEY Ripplesのセッションに参加した若者やEYのメンバーが、その活動が有意義で刺激的だったと報告してくれるのは、とても喜ばしいことです」

若者たちの報告によると、セッション後、環境サステナビリティに対する理解は74%から87%に高まりました。ある大学のキャリアコーチは、「学生が実社会の問題に触れることができる」と高く評価しています。最後に、EYのファシリテーターからは、「参加できたことを誇りに思う」、「EYのエクスペリエンスに大いに貢献する」、「環境問題に関し、EYの同僚やクライアントに伝えるべき新しい洞察を得る素晴らしい機会」といった声が寄せられています。

こうした成果は、サステナビリティを推進するためには、次世代に対し、これまでとは異なる教育を提供する必要があることを示しています。それは、環境リテラシーを高めると同時に、批判的推論や問題解決、創造性や革新性、コミュニケーションや協調性などのスキルを育むような教育です。気候変動と社会的不平等という相互に関連した課題に対するより良い答えを導き出し、実現するためには、これらのスキルを統合することがますます重要になります。

重要なのは、教室内でのこのような問題への取り組みは、未来の問題解決のためだけではない、ということです。今、気候変動のリテラシーを身に付けられるようZ世代を支援することは、彼らの幻滅や不安を和らげ、すぐに気候変動の緊急課題に対して有意義な行動を起こすための道筋を示すことになります。

国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)で、世界が気候変動の緊急の課題に取り組み、新たな公約を打ち出そうとしている中、EY Ripplesの取り組みは今後も、世代を超え、サステナビリティに関する生涯学習を提供し、最も気候変動の影響を受ける人々の声を広げていきます。

EYのネットゼロに向けたコミットメント、どのようにクライアントとともにサステナビリティに取り組んでいるか、そして、長期的価値とサステナブルでインクルーシブな成長を生み出しているかをご紹介しています。

採用情報について。

より良い未来をデザインし、サステナビリティから価値を生み出すスキルについて教育することで、次世代がグリーン経済に参加できるよう支援することが極めて重要です。

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