旬刊経理情報 連載『女性リーダーからあなたへ』 ー 第50回 女性も活躍する職場の作り方

石原 亮子
株式会社Surpass 代表取締役CEO

Entrepreneurial Winning Womenの企画・協力で、旬刊経理情報に『女性リーダーからあなたへ』を連載しています。2021年5月1日増大号に掲載された記事をご紹介します。

こんにちは。私は株式会社Surpassの代表取締役CEOの石原亮子と申します。


弊社は、女性の視点を生かした法人向けセールス&マーケティングアウトソーシング事業を展開しており、社員の約8割が女性、創業して今年で13年目になります。


たまたま大手生命保険会社の営業に採用され、20歳から生保の仕事を始めました。
知人から「すぐダメになると思うけど」などと言われカチンときた私は、黙々と営業活動に励み、1年目にして営業部でトップクラスの成績を収めるようになりました。退職後はさらに約8業種の法人営業を経験しました。


私はその経験の中で、法人営業に従事する女性の少なさと、多くの企業が女性営業の採用や定着に悩みを抱えていることを知り、28歳で起業しました。


しかし起業してから2~3年は本当に失敗だらけ。資本力もない、マネジメント経験もほとんどない、とにかく営業現場で売ることしか知らなかった私は、高い営業スキルを持つ女性達を集めれば、会社がうまくいくと思っていたのですが、当時10人以上いたスタッフは半年間で全員退職し、経営どころではありませんでした。


その後、試行錯誤を繰り返していく中で、彼女たちから「素直さ」や「愚直さ」の尊さを教わり、時に自分の常識を疑いながらここまでやってまいりました。そして女性ならではのいくつかの特徴に気づきます。

まず、日本の多くの女性は年齢や性別による役割意識、風習などにより「◯◯しなければならない」や「〜してはダメ」という否定的な言葉の影響を大きく受け、自分の可能性を信じることができなくなっていること。

次に、他人の価値観や常識に必要以上に縛られているということ。それゆえ自分を見失ってしまったり、自身を過小評価しがちです。この現象をエレファントシンドロームと呼びますが、これを解くことができると飛躍的に能力もマインドも成長します。

そして「なぜやるのか=Why」があることを好むこと。
サイモンシネックが提唱しているゴールデンサークルという概念では、Whyが明確でありさらにWhyを起点にストーリーがあるものに多くの人が共感するとされています。女性は特にそれを好むということに気づきました。

 

突き詰めると、女性たちが活躍するためには、こうしたことを理解し、トップダウンで職場環境を整える必要性があります。たとえば、女性の中には真面目にコツコツやることが得意な方が多いです。その能力には大きなポテンシャルを秘めています。それを発揮させられるか否かは、もちろん本人次第のところもありますが、職場環境の適度な心理的安全性を確保することが不可欠です。

そのうえでどのように仕事を任せるかも大切です。コツは、どんなに小さなことでも「役割」「責任」「期限」を明確にして任せること。曖昧な指示ではなく、できるだけ数字を入れた明確な指示とやり取りをすること。そうして経験を通して成長させることで、誰もが仕事がしやすい職場になるはずです。ぜひ、意識して実践してみてください。

石原 亮子


石原 亮子(いしはら・りょうこ)
株式会社Surpass 代表取締役CEO

略歴
1979年、東京生まれ。20歳から大手生命保険会社でトップセールスとして活躍。一部上場企業からベンチャー企業まで100業種以上の営業実績を持つ。2008年8月「女性営業の力を社会的意義のある事業に生かしたい」と いう思いで株式会社Surpassを創業、代表取締役社⻑に就任、現在に至る。営業を通して、女性のエンパワーメントの向上に努める。LTV(永続的な信頼関係と売上の構築)を重視した女性による営業アウトソーシングのパイオニア。