カーボンニュートラル投資促進税制を活用していますか?~CN税制の対象となる設備投資~

EY税理士法人では10名以上のチーム体制で、長年、各種税額控除の支援を行ってきており、これまでに10件以上のお客様に対して「カーボンニュートラルに向けた投資促進税制(以下、「CN税制」)(注1)」の適用を受けるためのサポートをしてまいりました。

私たちが支援を通じて感じたことは、2022年3月23日配信のメルマガでも触れたように、DX投資促進税制など他の産業競争力強化法の認定と比較すると、CN税制は適用要件の項目数が少なく、比較的容易に事業適応計画の認定を受けることができる点に特徴があるということです。また税額控除率も最大で投資額の10%と、他の税額控除制度よりも高い税額控除率が措置されています。これは、日本政府としても、企業の脱炭素化投資を強力に後押ししていくという決意の表れと考えられます。

これから3回に分けて配信するメールマガジンを通じて、どのような場合にCN税制を検討できるのかについてお伝えしたいと思います。少しでも皆様のCN税制適用に対するきっかけとなり、投資コストの負担を軽減に資するとともに、皆様の温暖化対策ならびにカーボンニュートラル実現に向けた取り組みの一助となれば幸いです。

さて、第1回目の本メールマガジンでは、どのような設備投資がCN税制の対象になっているのかについて解説します。下記グラフは公表されている認定事例をベースに作成したものです。

カーボンニュートラル投資促進税制 設備投資一覧

新設備は、旧設備と比較すると、消費電力やCO2排出量が大幅に改善されていることが多いため、「新設ライン導入・既存ライン合理化」、「空調設備」、「ボイラー」など、新しい設備の導入や、既存設備の買替えを計画する場合には、CN税制の検討も併せて行うことが重要です。

また、脱炭素に資する特定の設備という観点からは、「太陽光発電設備」や「LED照明」が挙げられ、認定事例も多く見受けられます。「太陽光発電設備」は化石燃料を使用しない発電設備であるため、CO2の削減に大きく寄与します。さらに、「太陽光発電設備」により発電した電気を貯めるために購入する「蓄電池」もCN税制の対象として検討することができます。なお、PPA(パワー・パーチェス・アグリーメント)など、税務上、資産計上されないものは対象外になりますので、この点はご承知おきください。

「LED照明」は、蛍光灯や白熱電球と比較して消費電力が1/4から3/4ぐらいになることから、CO2の削減に大きく貢献することができます。ただし、LED照明費用について、税務上、損金算入している場合はCN税制の適用はできないことになりますので、ご留意ください。

さらに、CN税制は製造業のみならず、小売業や金融保険業などのサービス業においても認定を受けている事例が多数ある点にも注目です。

上記に挙げた設備投資を予定されている場合は、税務チームのみならず、経営企画室、カーボンニュートラル推進室間で連携の上、ご検討いただくことを推奨します。

 

(注1)CN税制は、2050年カーボンニュートラルの実現という目標達成に向けて、脱炭素化投資を企業に促すために、令和3年度税制改正で導入された制度です。経済産業省のホームページにおいて、45件(2022年7月19日時点)の認定事例が公表されています。https://www.meti.go.jp/policy/economy/kyosoryoku_kyoka/nintei_cn.html

お問い合わせ先

manabu.yajima@jp.ey.com 矢嶋 学 アソシエートパートナー

akira.miyazaki@jp.ey.com 宮嵜 晃 シニアマネージャー

メールで受け取る

メールマガジンで最新情報をご覧ください。

登録する