株式上場にあたり、審査上問題になることが多いのはどのようなものがありますか?

Question

株式上場にあたり、審査上問題になることが多いのはどのようなものがありますか?

Answer

上場会社は、一般投資家保護のため会社の発展性、永続性を保持しなければならず、組織的経営が求められ、内部管理体制を整備する必要があります。内部管理体制に関連し上場審査の際に問題となることが多い事項として次のものがあげられます。

① 子会社と関係

  • 赤字子会社の存在:赤字である原因、今後の対応策、申請会社の業績に与える影響など。
  • 役員の一族が出資する子会社の存在:出資の経緯、理由、その出資に合理性など。

② 役員やその一族、また役員が所有する個人的な会社と申請会社と取引の存在

  • 当該会社の事業内容や申請会社との関係において、役員個人に対し有利な決定を行っていないかどうか。

③ 反社会的勢力等(株主、販売先、仕入先、顧問、外部委託先、その他の取引先)との関係がないかどうか。

④ 未払残業代、サービス残業、名目だけの管理職など、雇用に関連した問題がないかどうか。

⑤ 不適切な会計処理を行っていないかどうか。

⑥ 会社法で定める業務の適正性や、内部統制報告制度(J-SOX)への対応が十分に行われているかどうか。

⑦ 内部監査について、十分な能力を持つ人員によって有効に行われているかどうか。

⑧ 監査役監査について、十分な能力を持つ人員によって有効に行われているかどうか。

⑨ 社内の職務権限について、横の兼任(例:営業部長兼経理部長)など齟齬をきたしているものがないかどうか。

⑩ 予算管理体制について、予算と実績の差異が大きくないか、差異が生じた場合の分析が適切に行われているかどうか。

⑪ 適時開示体制が構築されているかどうか。

これらは、規程が整備され、実質的にその運用が行われ、コーポレート・ガバナンスが構築されていることを確認される過程において審査されることになります。また人的関係、出資関係の見直しや解消など、時間と手間がかかることが予想される内容については、主幹事証券会社や監査法人の助言を得ながら早期に対応することが望まれます。