新たなデータベースツールやテクノロジーによって、医療と健康へのより個別化されたアプローチが可能となります。個別化ヘルスエコシステムの出現をけん引する5つのトレンド(pdf)から分かるように、今ほどこの個別化アプローチが必要とされているときはありません。
企業や組織は、健康の形を変え得るデータ活用の可能性をこれまでも認識していましたが、その変革を促す「切迫感」がありませんでした。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックおよびその後の混乱により、データを中心にしたデジタルビジネスモデルに対し、より柔軟に機敏にそして革新的に対応する機会が生まれました。
今回のパンデミックは永続的な形で世界を変えています。あるCEOがフォーチュン誌に語ったように、「危機の出現は『重大な再出発』ではなく『重大なリセット』とみなされるべき」なのです。
今回の危機は、コストの高騰、未整備のインフラ、高齢化、疾病人口といった構造的な問題を医療機関に突き付けました。これら課題に対処するには、パンデミックへの対応と同様に、ステークホルダー間の緊密な協働、共通目標、データを共有・活用する相互運用システム構築へのコミットメントが必要です。
特に、このデータ中心の未来のために組織が注力すべき5つの分野があります。
トレンド1:健康管理データの急増により、治療に手頃にアクセスできる、個人を中心とした新たなエコシステムが求められています
私たちは今、前例のない健康データ急増の時代を迎えています。2018年、ヘルスケア業界は1,218エクサバイトのデータを生成したと推計されています。人は一生のうちに膨大な量のデータを生み出します。しかし、そうしたデータは多数のサイロに分散されるため、そこから読み取れるのは個人の健康に関する孤立した「スナップショット」でしかありません。これらのデータを統合することで断片的なスナップショットは連続した動画となり、患者の健康についての見通しや課題、ニーズをより深く、完全に理解することが可能となります。これら豊富なデータ活用を中心に構築したシステムで、より良いアウトカムが得られる未来が予測できるでしょう。
しかし現在、こうした情報はサイロ化されてしまっています。組織には、データを所有し収益化することから、それをつなぎ、組み合わせてヘルスケアを一変させることのできる価値ある考察を導き出すことへのシフトが求められます。
患者の生活や健康を改善することができるイノベーションを加速する最良の方法は、データに対する保護主義を止めることです。代わりに、患者個人の健康に関する個人データをすべて統合できるような、まったく新しいヘルスケアエコシステムを検討する必要があります。この未来のエコシステムの中心に立つことで、患者個人が医療と健康に対する高度に個別化されたアプローチの焦点となります。