ニュースリリース

2021年3月2日 東京, JP

EY調査、経営層はM&Aや投資でコロナ後の成長に備え積極的な戦略を描いている

「第23回EYグローバル・キャピタル・コンフィデンス調査(CCB)」によると、企業の経営層は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大という未曽有のディスラプションにおいて、感染拡大防止対策と経済活動再開対策とのバランスに加え、ワクチンの普及などで舵取り成功の兆しを見い出せるようになった現在、積極的な成長戦略にシフトしています。

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第23回EYグローバル・キャピタル・コンフィデンス調査(CCB)

  • 企業の経営層は収益が 2021年から2022年にはコロナ前の水準に戻ると予想
  • M&Aへの意欲は旺盛で日本企業の経営層の88%が海外の買収先を模索

「第23回EYグローバル・キャピタル・コンフィデンス調査(CCB)」によると、企業の経営層(※1)は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大という未曽有のディスラプションにおいて、感染拡大防止対策と経済活動再開対策とのバランスに加え、ワクチンの普及などで舵取り成功の兆しを見い出せるようになった現在、積極的な成長戦略にシフトしています。これは、経営者がビジネスの持続的な成長をポストコロナ時代の世界で確実なものとするために、M&Aおよび投資に関する戦略が守りから積極的な攻めに転じるまでに回復していることから読み取れます。

ビジネスリーダーの自社業績に対する意識は、前回の調査(2020年3月)と比較すると改善しました。今回の調査に回答した日本企業の経営層の14%が2021年に、48%が2022年に、収益がコロナ危機以前のレベルに回復すると見込んでいます。また、同時にどの地域の、どの事業分野に成長機会があるかを見極めるため、事業分野ごとに世界の拠点において市場調査を進めています。

日本企業の経営層は、将来の成長を脅かす要因として、依然、新型コロナウイルス感染症の影響をトップに挙げています(19%)。そのほかの脅威としては世界の経済環境の変化(13%)や気候変動(15%) が挙げられています。また、日本企業の経営層の大半(88%)は、地政学上の問題に起因して、過去1年間で戦略的投資計画の見直しと、事業ポートフォリオとその業績やオペレーションの改善機会の包括的な精査・見直しを行ったと回答しています。

日本企業の経営層にとっては、これらの見直しが計画外であったこと、特に、従来の戦略的な計画より早いタイミングで見直す必要性に迫られたこと、日々変化する事態への直接的な対応として必要であったことが、本調査結果から分かりました。この数字はグローバル全体(※2)の数字(65%)と比べても高いことが分かっており、日本企業の経営層は日々変化する環境に迅速に対応してきたといえます。

EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 代表取締役 梅村 秀和は次のように語っています。
「多くのビジネスリーダーにとって、新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴う経済的なショックは、自社に対する大きな脅威となりました。彼らは、トランスフォーメーションに焦点を置きながら、戦略を修正し、広範な変革を行うことで、こうした状況に対応してきました。このような大胆にそして積極的に動くことによって、経営層の心理は一層将来に向いており、戦略アジェンダは成長機会を捉えることにフォーカスするものとなってきています。企業は、業績レベルを回復させることだけではなく、自社の将来を持続可能なものとするよう再構築するために必要な投資を行うことも計画しています」

企業経営層はM&Aと投資による成長戦略を描いている

2020年のM&Aを振り返ると、前半に落ち込みがあったものの、2020年後半にはM&Aの取引額が、全世界合計で2兆3,200億米ドルという過去最高額となりました。2020年の取引件数も、上半期と比較して下半期には123%増となり、活況を取り戻しました。

本調査結果から今後もM&A市場の活況が続いていくことが予想されます。実際日本企業の経営層の半数以上(57%)が、今後1年間に事業を買収する計画があると回答しています。これは過去11年間の平均値(46%)を超える水準です。さらにそのうち88%の日本企業の経営層が、成長に必要な自社のケイパビリティと製品を拡充させるため、クロスボーダーのM&Aを行う計画があると回答しています。最も高い買収意欲を示している業種(インダストリー・セクター)は、ライフ・サイエンス(79%)、金融(71%)、テクノロジー(61%)、アドバンスド・マニファクチャリング(53%)、自動車・モビリティー(43%)となっています。

企業経営層がM&Aを計画する理由として挙げているのは、事業経営のレジリエンス(適応力)の工場と関税や貿易フローに対する新たな懸念への対応( 25%)が最も高く、次いでテクノロジー、人材、新たな製品やケイパビリティ、イノベーティブなスタートアップなどを買収することで成長を確実なものにしたいという意向( 24%)、およびマーケットシェア獲得のための異業種融合の影響(20%)と続いています。このような理由から、今後も戦略的買収が加速していくことが予想されます。

経営層の多くが、ポストコロナ時代のM&A市場で重要な焦点になると考えているのが、変化の激しい環境の中でスピーディーに新規市場開拓できる可能性(17%)や、買収先企業が有するデジタル戦略やテクノロジー戦略(16%)、企業の合併によるマーケットシェア拡大の可能性(15%)です。
戦略的な必要性による事業獲得の競争は今後も激しくなることが予想されます。回答した日本企業の経営層の75%が、事業投資をめぐる競争がより熾烈になると予想しており、55%の経営層は、競争相手がプライベート・エクイティ・ファンド業界とそのポートフォリオ事業を含むプライベートキャピタルになると予想しています。

投資計画を見てみると、企業経営層にとっての最大の戦略的優先事項は依然としてコロナ禍による経済停滞の長期的影響の緩和であるとグローバル全体の23%が回答したのに対し、同じ項目を選択した日本企業の経営層はわずか9%でした。同じ質問に関して、日本企業の経営層は人材の確保が最優先事項と回答しています(25%)。また、グローバル全体の回答の63%がテクノロジーとデジタルのケイパビリティ―、57%が顧客エンゲージメントに対してそれぞれ投資を増やすと回答しています。同じ質問に関して日本企業の経営層は事業の安定(54%)と新たなリスクに対してリアルタイムに適応しながら地域や社会に関わる投資を増やす(各49%)と回答しています。

EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 シニア・パートナー ストラテジー・アンド・トランザクション日本マーケッツ統括の田村 晃一は次のように述べています。
「日本企業の経営層は人材の確保やリスクに対する素早い対応など、グローバル全体に比べてより具体的な戦略を描きながら戦術を打ち出し実行して、長期化する新型コロナウイルス感染症の影響に対してリアルタイムに適切に対応していると言えるでしょう。これは経営者とビジネスリーダーがビジネスの存在意義を改めて経営戦略の中心に置く“パーパス経営”に意識的にシフトをしている表れではないでしょうか。M&Aと投資をめぐっては引き続き、低金利、資本市場の好材料、プライベート・エクイティ・ファンド業界とその事業ポートフォリオを含むプライベートキャピタル等の潤沢な資本という大変に有利な条件が揃っています。経営層が目指しているのは、デジタルトランスフォーメーションやイノベーションを加速させ世の中にある課題(社会課題を含む)を解決するビジネス機会を捉えるM&A や投資であり、イノベーティブなスタートアップやAI、データ・アナリティクス等の成長分野は格好のM&A ・投資対象となっています。このような買収によって、より顧客と顧客の抱える課題に寄り添う存在となることができ、さらにロックダウン期間中に社会全体にとって無くてはならないことが証明されたデジタル媒体やタッチポイントそして、その膨大なデータをより活用・利用出来るようになるからです」

また、梅村は次のように述べています。
「持続的なビジネスと社会に向けての回復を実現し、地理的な拠点拡大を継続するためには、企業は世界規模で活動しなければならないことを認識しています。そのため、企業は引き続き、世界中のマーケットで戦略的に必要なアセットを獲得すること、および進出先を広げることに力を入れています。特に日本企業の経営層の回答からは、ポストコロナ時代に向けて、人材確保やリスクに対して迅速に対応することなど、より具体的な対策へと経営層の意識がシフトしていることがうかがえます。日本企業が注目している今後の魅力的な投資先として1位に挙げたインドは、最近の重要クライアントとの会話の中でも必ず挙がるM&Aの有力候補地です。RCEPの交渉からは一度離脱したインドですが、発行後に参加する可能性もあり、そうなれば若年層の人口の多さのみならず、その市場の多様性は日本企業にとっても大きな成長の機会をもたらす最重要地域となるでしょう」

より詳細な情報はey.com/ccbをご覧ください。

 

※1:日本企業=今回の調査で回答のあった企業のうち、日本に本社を置くグローバルで展開している企業
※2:グローバル全体=上記※1日本企業を含むグローバルでビジネスを展開している企業の回答者。本調査では全回答者がこれに該当する

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EYグローバル・キャピタル・コンフィデンス調査について

「グローバル・キャピタル・コンフィデンス調査」は、経済見通しに対する企業の信頼度を数値化し、経営層がキャピタルアジェンダ(企業による戦略的な資を目的としたEYフレームワーク)を管理している傾向と手法を特定するためのものです。本調査は、世界の大企業の経営層を対象に、ユーロマネー・インスティテューショナル・インベスター社のソート・リーダーシップ・コンサルティングが定期的に行っているものです。
本調査は、世界中のEYクライアントの中から選ばれた企業、およびソートリーダーシップ・コンサルティングと契約して定期的に記事を寄稿している経営層を対象にしています。2020年11月から2021年1月にかけて、ソート・リーダーシップ・コンサルティングがEYの代理として、52カ国2,400名以上の経営層を対象に調査を行いました。うち82%がCEO、CFO、その他の最高責任者レベルの経営層でした。

  • 回答者のセクターは次の通りです:金融サービス、テレコム、消費財・小売、テクノロジー、メディア・エンターテイメント、ライフサイエンス、病院・ヘルスケア提供者、自動車・運輸、石油・ガス、電力・公共事業、鉱業・金属、工業、先進的製造業、不動産・ホスピタリティ・建設。
  • 調査対象企業の年間の全世界売上別構成は次の通りです:5億米ドル未満(25%)、5億-9億9,990万米ドル(26%)、10億-49億米ドル(25%)、50億米ドル以上(24%)
  • グローバル全体の内訳は次の通りです:上場企業(60%)、株式非公開企業(40%)

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