EY税理士法人は、経済産業省(METI)の委託を受け、「令和2年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業調査報告書」(以下、「本調査報告書」)を作成し、本調査報告書がMETIのウェブサイト上で公開されましたのでお知らせいたします。本調査報告書については、下記サイトからご覧ください。
本調査報告書は、大きく2つのパートから構成されております。前半はBEPS2.0(経済のデジタル化に伴う税制上の課題)に関する、OECD、EU、米国、英国、ドイツ、フランス及びカナダにおける議論の状況と直近で出された報告書の概要について、そして後半は日本、米国、英国、ドイツ、フランス及びカナダにおける法人税制の比較について解説しています。
なお、2つのパートの詳細は、次の通りです。
- 前半に関して、BEPS2.0は国際的な課税権配分ルールの見直し(Pillar 1)と大規模多国籍企業に対する最低税率課税の導入(Pillar 2)から構成され、本年7月又は10月を目途に一定の国際合意が結ばれるものと想定されています。いずれも合意された場合には、現在の国際課税環境、日系多国籍企業の税務コンプライアンスに大きな影響を与えるものと考えられます。本調査報告書では、その設計図(ブループリント)の概要を解説しているほか、各国の議論の状況をまとめています。
- 後半に関して、本調査報告書では、5つの観点(課税標準、法人間二重課税への対応方法、国外源泉所得に係る源泉地国との二重課税の排除方法、タックスヘイブン対策税制及び研究開発税制)から各国税制の比較を行っています。これは、BEPS2.0が既存の各国税制の枠組みを踏まえて設計されていることや、今後の税制改正の基礎資料として各国制度比較が必要とされることを踏まえて実施しています。
EY Japan タックスポリシーリーダーの関谷浩一は、次のように述べています。
「BEPS2.0に係る新たな申告納税義務は、限定されたテクロノジー企業だけの問題ではありません。Pillar1は、米国の新たな提案により、すべての事業を対象とすることが議論されています。Pillar2は、国別報告事項(CbCR)を提出するすべての企業への適用が議論されています。BEPS2.0は日本の多国籍企業の税務コンプライアンスに大きな影響を与えます。現在までも、CbCRの導入やタックス・ヘイブン対策税制(J-CFC)の改正により、税務に関する情報収集の負担が高まっているところ、Pillar 1及びPillar 2の導入、その他の税制改正により、更なる負担の増加が想定されます。また、税負担額の観点からは、特にPillar2の最低税率次第(米国提案では21%)では、大幅な増税となる可能性があります。
EYでは、引き続きBEPS2.0に係る最新の情報を収集し、日本企業への影響を分析していきます。また、これらの知見を基礎として、各企業における影響分析、テクノロジーを用いたコンプライアンス体制の構築等のアドバイスを行っており、すでに多くのお客様よりお問合せをいただいております」