- 車購入意向者の52%がEVを希望
- EV購入意向者が初めて50%を超える。わずか2年で22ポイントの上昇
- ヨーロッパおよびアジアの国々がEV購入をリード
EYは、電気自動車(EV)の購買動向に関する最新の調査「EY Mobility Consumer Index(MCI)」を発表しました。本調査によると、EVの販売が世界中で急激に拡大する転換点(ティッピングポイント)に達しました。車購入意向者の52%がEV(プラグイン電気自動車[PEV]、水素自動車を含む)の購入を希望していることが、本調査で判明しました。この数字が50%を超えたのは今回が初めてで、わずか2年間で22ポイントも上昇したことになります。
日本や米国、英国を含む世界の18カ国から13,000名が参加した本調査の結果によると、EV購入意向者の割合が高かったのがイタリア(73%)、中国(69%)、韓国(63%)でした。一方、EV購入意向者の割合が最も低かったのが米国(29%)で、オーストラリア(38%)がそれに続きました。
本調査の回答者は、EVを購入した主な理由として、「環境への配慮(38%)」を挙げていました。一方で、今回初めて「内燃機関(ICE)自動車に対するペナルティの増加(34%)」が主要な関心事として取り上げられました。
また、EV購入意向者は、EVオーナーとなるために喜んでプレミアム(付加価値分を上乗せした割増金)を支払うことが本調査で判明しました。88%の消費者が、自ら進んでプレミアムを支払うと、35%の消費者が、20%以上のプレミアムを支払う意思があると回答しており、これは2021年調査で見られた傾向と同様です。
EYグローバル自動車セクターリーダーのRandy Millerのコメント:
「これはまさに、世界の自動車購入マーケットにおけるティッピングポイントです。本調査を開始して以降初めて、EV購入を希望する世界の消費者が半数を超えました。ここに至るスピードもまた、目を見張るものがあります。わずか2年で、22ポイントも上昇したからです。世界の燃料価格の高騰が、ICE車の維持費上昇を招くことは疑う余地もありませんが、消費者が引き続きEV購入理由のトップに挙げているのが、環境への配慮です。消費者はまたこれまで以上に、社会的責任と環境保護への意識を高めています。消費者はそのための出費をいとわないため、この需要に応えるかどうかは、今や自動車業界にかかっています。自動車業界は今すぐこのトレンドに対応しなければ、流れに乗り遅れてしまい、後から全力で追いつかなくてはならなくなります」
2度目はさらに良いEV:
EVの現所有者が「航続距離」や充電インフラをあまり心配していないことも示しています。買い替えでEVを選ぶ人が、購入理由のトップに挙げていたのが、「航続距離がこれまでより伸びているから」という理由でした。一方、充電インフラに対して懸念を抱いているのは、EVの現所有者のわずか27%ほどでした。EVを現在所有していない消費者では、この数字は36%となりました。
Randy Millerは次のようにも述べています。
「これまでのEVの航続距離および充電インフラに対する懸念は、しばらくすれば払しょくされるでしょう。車で出かける大半の人は、比較的短距離であり、充電インフラも増え続け、EV用バッテリーの性能も向上し続けているため、私たちは航続距離や充電インフラへの懸念が解消されていくのを実感し始めています。また、EVの現所有者は、航続距離や充電インフラを心配する必要がないことを既に知っていることが、調査結果の数字からも明らかです。彼らはより航続距離の長い新モデルを吟味しており、EVを買い替える場合の際の最大の理由としてこれまでより長い走行距離を挙げています。EVの現所有者は、自身の経験から、充電インフラは必要な時にすぐ見つかることを知っています。EVの購入者が増え、こうしたことを実体験から知る人が増えている今、航続距離に対する懸念がこれまで以上に解消されていくことが期待できます」
EY Japan 自動車・モビリティ・運輸・航空宇宙・製造・化学コンサルティングリーダー 早瀬 慶(はやせ けい)のコメント:
「価値観や関心・意識、また、費用や規制等の違いはあれ、「環境」がEVシフトの動機である点は疑いの余地がありません。いわゆるアーリーアダプターに訴求し、さらに次のステージに突入するためには、充電時間やTCO(Total Cost of Ownership)など、国や地域、また利用形態(乗用・商用)によっても異なる、その他懸念材料にも真摯に取り組まねばなりません。従って、自動車業界に閉じることなく、エネルギーや金融など、複数業界と手を組み、社会やユーザーにとってベストな座組を構成する必要があります」