当面は原油市場の供給不足が予想されており、特に投資拡大をすでに発表している企業にとっては、上流事業への設備投資計画は大きな注目を集めるものでした。投資の増額分を短期プロジェクトと長期プロジェクトにどう割り振るのかが焦点となりました。
例年のこの時期と同様に、2022年の企業の設備投資計画と予想される成果に関心が寄せられていました。アナリストは高止まりする原油価格への対応について質問し、業績予想の上限にどの程度の変動を見込んでいるかを測ろうとしていました。当面は原油市場の供給不足が予想される(予想が現実となりつつある)中、特に投資拡大をすでに発表している企業にとっては、上流事業への設備投資計画は大きな注目を集めるものでした。
石油・ガス事業の長期的な見通しが定かでないため、増額分を短期プロジェクトと長期のプロジェクトにどう割り振るのかも焦点となりました。コスト上昇は重要なポイントであり、人件費と原材料費が収益に与える影響に質問が集中しました。またこれに関連し、2022年に計画されている設備投資の増額が、事業の活発化とインフレのどちらによるものなのかをアナリストは探っていました。取引面では、国際ガス市場が流動的なことを踏まえ、当四半期の企業収益にどの程度影響を与えたか、それが一時的なものかどうか、また今後取引実績がどう推移するかについて質問がなされました。

脱炭素化は依然として最も重要な戦略テーマです。EUのグリーンタクソノミーが今年導入されると、欧州の投資家の環境、社会、ガバナンス(ESG)戦略の指針になるとされ、アナリストは各社がどのようなスコアになるか関心を寄せています。現在の地政学的緊張に対する企業の対応は、投資家が非経済的要因に注目していることを浮き彫りにしています。アナリストはさらに、資産または地域レベルで炭素集約度を開示するよう強く求め、特に業界ベンチマークを満たさないプロジェクトについて、資産収益と排出量の関係を明らかにしようとしました。
M&Aについては、再生可能エネルギー企業の買収と既存事業の成長とのどちらに意欲を示しているかが探られました。狙いは、こうした事業を育てたいという企業の熱意と、ゼロから事業を起こす能力があるかを把握するためと思われます。これと並行し、商品価格の高騰がバリュエーションに影響する場合、すでに発表された資産処分計画に加えてさらに対応するつもりがあるのかをアナリストは確認しようとしていました。また例年通り、商品価格についても企業の見解が問われました。
経営に関するテーマとしては、2022年の生産見通しが最も注目されました。アナリストは、2022年の生産増加が事業の活発化と効率化のどちらによるものになるのか見極めようとしていました。短期的には企業がどの程度柔軟な対応を見せるのか不明ですが、長期的な投資計画や生産計画は、最近の情勢を踏まえてすでに見直されています。ガス市場は長期的に上昇傾向にあるという一致した見方から、アナリストは石油とガスの両方の生産増加を見越しています。またガス価格が高騰し不安定なことから、長期契約を結ぶのか、スポット市場にとどまるのか、企業の戦略について質問が挙がりました。いつも通り、各社の主要プロジェクトの最新情報と、2022年に必要なメンテナンスのレベルについても確認がなされました。
今後の見通し
石油・ガス市場は地政学的リスクと在庫減少に直面し、不安定な状態が続いています。第4四半期末のアップサイドリスクは現実になり、混乱が加速して、かつてないほど将来の見通しが流動的になっています。こうした不確実な状況を踏まえた上で、既存事業、新規事業、配当および自社株買いにどう資本を配分するのか、加えて資本利益率と脱炭素化の進捗が今後も注目されるでしょう。
サマリー
石油・ガス市場は地政学的リスクと在庫減少に直面し、不安定な状態が続いています。石油・ガス業界の長期的見通しへの関心はそのままに、既存事業、新規事業、配当および自社株買いにどう資本を配分するのか、加えて資本利益率と脱炭素化の進捗に今後も投資家の注目が集まるでしょう。