4 分 2022年7月19日
山あいの川を進むゴムボート2そうの高角度写真(ヒーローイメージ)

なぜ今、サステナビリティを加速するため団結すべきなのか

執筆者 Alison Kay

EY UK&I Managing Partner for Client Service

Focused on delivering long-term value through purpose for clients. Diversity and inclusion ambassador. Happiest when spending time with family and friends. Loves to be near the ocean.

4 分 2022年7月19日

今年5月にダボスで世界経済フォーラム(WEF)が開催されました。コラボレーションがどのように持続可能なビジネスにつながるかを考察します。

要点
  • 企業が、エコシステムのメンバーのサステナビリティに対する取り組みや次のステップを追い求める中、コラボレーションは促進している。
  • 企業は、今日のビジネスと今後30年間の計画とを擦り合わせ、ネットゼロの実現で求められる大規模な変化を、同時に進めるという大きな課題に直面している。
  • EYのチームは、バリューチェーン全体の多様な集団を団結し、教訓を分かち合えるようにすることで、クライアントがネットゼロへの移行を加速できるよう支援している。

昨年11月、グラスゴーでCOP26に参加した時に、私たちと同じようにCOP初参加の多くのビジネスリーダーに会いました。会話の中で確信したのは、企業が、気候災害を回避するために自身がすべき役割に目覚めたということです。金融業界はクリーンエネルギーへの資本投入を表明しており、各国政府は、気候変動をセ氏1.5度に抑えるという目標を単独では達成できないため、協力が必要になることに気付いています。

対応が急がれる中、企業はネットゼロへの誓約を具体的な行動へと移しています。事業で排出される炭素の削減や、サプライチェーンのグリーン化の他、環境・社会・ガバナンス(ESG)関連の非財務実績を、業界をまたいで一貫した有用な方法で報告することなど、未踏の海域といえる分野で、大規模な取り組みが行われています。

企業が知りたいのは、他の企業はどうしているのか、自社はどうすればいいのかです。

それを踏まえると、官民を越えたコラボレーションが促進され、イノベーションや持続可能な成長の機会が増えたことは当然といえます。議論だけでなく、行動が求められるため、コラボレーションが必要なのです。

クライアントが直面する課題は2つあります。長期計画と短期計画をどのように擦り合わせるか、また業界規模での変化をどのように推進すればいいかということです。

今日のビジネス課題と今後30年間の計画をどのように擦り合わせるのか

エネルギー業界や大規模インフラ以外の企業は、ネットゼロの実現で求められるような30年単位の計画策定に慣れていません。2050年にネットゼロを達成するには、2030年に向けてどう動けばいいのでしょうか。

技術が向上し、イノベーションが生まれ、ビジネスが発展し、政策が変わっていくと予想される中で、企業は今、何をすべきで、次の5年間には何をすべきなのでしょうか。短期的な兆候と長期的な変化とをどのように調整すればいいのでしょうか。

多くの企業にとって、ネットゼロへの第一歩は、100%再生可能エネルギーを供給する事業者に切り替えたり、再生可能エネルギーの購入契約を結んだりすることです。その上で、サプライチェーン、インフラ、事業の業務やパーパスを含め、企業全体を見直す必要があります。

ネットゼロの実現で求められる業界規模の変化をどのように進めればいいのか

ほとんどの企業では、サプライチェーンからの炭素排出量が全排出量の大半を占めています。企業は、業界全体が変わらなければネットゼロを達成できないことに気付いています。

環境に優しいバリューチェーンを構築するには、コラボレーションが欠かせません。こうした規模の変化では、政府、業界、市民、社会が協調して行動することが求められます。これは電気自動車登場時の例に見ることができます。欧州連合は2009年から新車へのCO2排出規則の適用を義務化し、英国政府は2010年から充電インフラに助成金を出しています。これにより業界は急速に成長しました。再生可能エネルギーも同様です。補助金や、差金決済取引などの画期的な規制の仕組みによって、新興市場への投資が促され、イノベーションと急速な成長のための環境を支えています。

前進に必要なのは、コラボレーションであり、実際に進んでいます。クライアントからは、招集者としてのEYの強みが発揮される分野だと期待が寄せられています。EYは、さまざまな世代、あらゆる規模の企業、学術機関、政府機関、環境学者、活動家、テクノロジー企業、スタートアップ、イノベーターなど、多様なコミュニティと協調することで、変化を推進し、新たなツールを市場に提供しています。

例えば、若手データサイエンティストが、そのスキルを用いて生物多様性の追跡方法を新たに生み出すBetter Working Worldデータチャレンジや、年配のビジネスリーダーと若手の気候変動対策リーダーが集い、サステナビリティのための行動を考えるEY UK Climate Business Forumなど、さまざまなイニシアチブを通じて次世代との協力を深めています。他にも多様なコラボレーションを行っており、EYとMicrosoftのアライアンスでは、ESGデータ報告のためのMicrosoftのデータプラットフォームであるMicrosoft Cloud for Sustainability(MC4S)など、変革につながるクラウドソリューションの設計と提供を支援しています。

また、クライアントのためだけでなく私たち自身のためにも、ネットゼロへの移行を加速すべく取り組んでいます。今年はDoepelの主導でEY Carbonを開始しました。EY Carbonは、クライアントがネットゼロ移行の道のりを計画、実行、測定し、ステークホルダーとの信頼関係を築けるよう、ビジネスの変革を支援する分野横断的なサービスです。

EYは積極的な目標を設定し、2025年までにネットゼロを達成すると表明しました。これは、2025年度までに出張による排出量を(2019年度*を基準として)35%削減し、EYのサプライヤーの75%に科学的根拠のある目標設定を求めるなど、CO2削減目標における7つの目標を通じて達成します。

EYは目標を高く設定していますが、それを達成することは可能です。また、私たち自身のサステナビリティへの取り組みから得た教訓は、クライアントの目標達成と気候危機対策に協力する上で貴重なものとなっています。

本記事の執筆にあたっては、Rob Doepel, EY UK&I Managing Partner for Sustainabilityの協力を得ました。

サマリー

サステナビリティに関してただ1つ確かなことは、私たちが皆同じ船に乗っているということです。個別に行動しても、地球に必要な大規模な変化を起こすことはできません。

必要なのはコラボレーションです。未踏の地を進む私たちは、助け合いながら進路を決める必要があります。EYは、バリューチェーン全体の中から、多様な集団を団結することで、教訓やアドバイス、ヒントを分かち合い、取り組みを加速できるよう願っています。共に力を合わせましょう。

この歴史的転換点にある今、コラボレーションを最大限に推し進める時を迎えています。

この記事について

執筆者 Alison Kay

EY UK&I Managing Partner for Client Service

Focused on delivering long-term value through purpose for clients. Diversity and inclusion ambassador. Happiest when spending time with family and friends. Loves to be near the ocean.