3. デジタルが定番のチャネルに
パンデミックは、消費者とデジタル技術との関係も変えています。デジタルを利用せずに買い物、仕事、学習、人付き合いをすることが難しい、あるいはできない時期が何カ月も続きました。これは影響が小さい、歓迎すべき変化であった場合もあれば、これにより大幅かつ難しい対応を余儀なくされた場合もあります。しかし、いずれにしても、デジタル技術は今、こうしたやり取りのノーマルとして受け入れられています。
オンラインで商品を検索し、クリックアンドコレクト(C&C)や宅配サービスを利用しての購入は、普通のショッピング体験の一部となりました。こうした仕組みはコロナ禍前からありましたが、その普及が著しく加速しています。新型コロナウイルス感染症が進化し、新たな危機が起きる中、消費者は今後も、デジタルに頼って安全を確保するとともに、プライベートと仕事を管理することになるでしょう。
- 消費者の55%がパンデミック以降、テクノロジーの利用の仕方がいい意味で変わったと回答
- 同46%がリモートワークを継続
- 同37%が以前は店で購入していた商品をオンラインで購入
- 同34%が過去6カ月でストリーミング動画サービスへの支出が増加
優先事項としてますます重視されているのが柔軟性です。消費者は今後、仕事、買い物、エンターテインメントを問わず、自分がコントロールできる柔軟性を与えてくれるブランドを生活の一部に組み込むようになるでしょう。それによって消費者の物理的な行動やデジタル行動が変わるにつれ、移動パターンや消費パターンも変化するはずです。
デジタル体験の価値を認める消費者の増加に伴い、こうした体験の質に対する関心も高まっています。人々がデジタルに求めているのは、現実世界で普通に得られる高度なサービスと体験であり、リアルとデジタルの枠を超えたシームレスで一貫性のある体験です。
しかし、こうした期待は現実のものとはなっていません。消費者は、オンラインサービスに付き物の配達料・送料から店舗の在庫切れやその他の残念な体験まで、期待とのギャップに不満を抱いています。サプライチェーン・在庫・物流の問題に対処し、物理的なタッチポイントとデジタルタッチポイントで提供する体験とサービスの質を向上させることが企業にとっての課題であることは言うまでもありません。消費者がお金の使い方に一段とシビアになっていることを考えると、このような摩擦点をなくすことに優先的に取り組むことが不可欠です。