これだけは知っておきたい!会計入門 はじめに

2013年3月21日
カテゴリー 会計入門

公認会計士 松尾 絹代

「会計って難しい」

「決算書って、なんとなく苦手」

そんなふうに感じていらっしゃいませんか?

実は、「会計」や「決算書」と聞くと、身構えてしまう方は大勢いらっしゃいます。日々の取引や会計伝票は、とても身近なものなのに、いざ決算となると、とっつきにくさを感じたり、何をすればよいのか戸惑いを感じてしまう。

それは、もしかすると、日々の取引と決算書をつなぐ、ちょっとしたコツがつかみづらいだけなのかもしれません。

これだけは知っておきたい!会計入門

新企画「これだけは知っておきたい!会計入門」では、皆さまの会計および決算書をめぐるモヤモヤ感を解消するためのファーストステップとして、もっとも大切な10個のポイントを取り上げ、やさしく解説します。エグゼクティブの皆さまはもちろん、エグゼクティブを目指す皆さまや、エグゼクティブを支える皆さまも、会計に苦手意識をお持ちの方は、ぜひご活用ください。

第1回 売上取引
第2回 売上債権
第3回 仕入取引
第4回 在庫
第5回 人件費(給与、賞与)
第6回 経費
第7回 借入金
第8回 固定資産
第9回 税金
第10回 決算整理

決算書に対するモヤモヤ感を払しょくするためには、何が必要なのでしょう。例えば、皆さまは日々、伝票を入力します。それを1年分集計しても、多くの場合、そのままでは決算書の数字とはなりません。なぜ日々の取引の結果が、会計の数字につながらないのでしょう。ここに、決算特有のポイント、言い換えると決算書を理解するためのコツがあります。

カギを握っているのは、「決算書の作られ方」です。1年分の伝票を集計した後、正しい決算書を作成するために、数字の調整を行います。この調整が、決算書を理解しづらいものにしてしまうのです。

このシリーズでは、まずはとても重要な10項目だけに絞り、日々の取引から決算書が作られる一連の流れを見たいと思います。「なぜ調整が必要なのか」という疑問にも、しっかりお応えできるよう、やさしく説明します。

「会計って難しい」を「会計って難しい?」に変えるのは、ほんの小さなコツのマスターから。次回、第1回は、とても重要な「売上取引」を取り上げます。そこで、日々の売上が、どのように決算書の売上高につながるのかを見ていきたいと思います。どうぞお楽しみに!

~補足~
連載では、以下の決算書の各科目についてご説明していきます。目次代わりとしてご活用ください。

貸借対照表
資産の部 負債の部
科目 金額 連載
回数
科目 金額 連載
回数
【流動資産】     【流動負債】    
 現金預金 150  買掛金 250 第3回
 売掛金 300 第2回  借入金 50 第7回
 棚卸資産 100 第4回  未払費用 10 第6回
 前払費用 5 第5回  未払法人税等 122 第9回
 貸倒引当金 △3 第2回  預り金 2 第6回
       賞与引当金 5 第6回
【固定資産】          
 建物 150 第8回      
工具器具備品 20 第8回 純資産の部
車両運搬具 18 第8回 資本金 10
 ソフトウェア 5 第8回 繰越利益剰余金 296
           
資産の部合計 745   負債及び純資産の部合計 745  
損益計算書
科目 金額 連載回数
売上高 1,200 第1回
売上原価 700 第3回
 売上総利益 500  
販売費及び一般管理費    
 人件費   第6回
  給与 20 第6回
  賞与 8 第6回
  賞与引当金繰入額 5 第6回
  社会保険料 1 第6回
 経費    
  減価償却費 12 第8回
  租税公課 3 第9回
  賃借料 2 第5回
  貸倒損失 1 第2回
  貸倒引当金繰入額 3 第2回
販売費及び一般管理費合計 55  
 営業利益 445  
 雑収入 1
営業外収益合計 1  
 支払利息 3 第7回
 雑損失 1
営業外費用合計 4  
 経常利益 442  
 税引前当期純利益 442  
 法人税、住民税及び事業税 146 第9回
 当期純利益 296  

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