湾岸協力会議(GCC)、2018年1月1日にVAT導入予定 - 早急な対応が必須

湾岸協力会議(GCC)、2018年1月1日にVAT導入予定 - 早急な対応が必須

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2017年5月26日
カテゴリー 間接税

Japan tax alert 2017年5月26日号

エグゼクティブサマリー

昨年の2016年3月に発表された、湾岸協力会議(以下、「GCC」)地域における付加価値税(以下、「VAT」)の導入は、2018年1月1日の予定です。GCC諸国には、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(以下、「UAE」)が含まれます。本アラートでは、各国におけるVATに関する最新情報及び今回のVAT導入に対処するための事前準備についてお知らせします。

各国の動向
  • 2017年1月30日、サウジアラビアの諮問評議会は、GCCのVAT枠組協定を承認する旨を発表しました。サウジアラビア財務省の高官によれば、2018年1月1日よりVAT制度を導入し、物品及びサービスに対してGCC協定が定める5%のVATを課すとのことです。
  • 2017年2月1日、バーレーンのシェイク・アハマド・ビン・ムハンマド・アール・ハリーファ財務相は、GCCのVAT枠組協定に署名し、憲法及び法律上必要な手続きが終了後、2018年1月1日にVATを導入する方針であることを発表しました。
  • 2017年2月12日、UAE財務省のユーニス・アル・クーリ次官は、GCC各国政府が2018年1月1日にVATを同時に導入する計画であることを発表しました。
  • 2017年5月3日、カタールの閣僚評議会は、VAT法、物品税法及びその施行規則を承認する旨を発表しました。新たな法律は、GCCのVAT及び物品税の枠組協定に基づいたものとなります。
  • 2017年5月10日、UAE財務省は、新たな物品税法に関する説明会を開催しました。UAEにおける物品税法の施行は、2016年6月にGCC加盟国の財務相が、各国における物品税に関する国内法の立法化について原則的に合意した統一協定に基づくものです。この統一協定のもと、UAEでは2017年第4四半期までに物品税を導入する予定であり、他のGCC加盟国も2017年末までに物品税を導入する方針です。

政府高官によるこれらの発言は、他のGCC加盟国の高官が示した見解と一致しています。GCCのVAT枠組協定の内容は、近日中に公表される見通しですが、一部の国では既に産業界のリーダー達の間で共有されています。

こうした動向を鑑みると、2018年1月1日にはGCCにおけるVATが現実のものとなる見込みです。つまり、企業のVAT導入に対する準備期間は残すところ7カ月しかないため、その間に事業拠点のあるGCC各国のVAT法の遵守を確保する必要があるということになります。

VATに対する事前準備

GCC地域で事業を行う企業は、GCC各加盟国のVAT法を遵守するため、早急な対策を講じる必要があります。

VATの各拠点への影響を把握するため、VATの影響評価を早急に開始する必要があります。まずは、VATが以下の主要分野に及ぼす影響を明確化することが急務です。

  • 財務・会計
  • IT・システム
  • 税務・コンプライアンス
  • サプライチェーン ― 物品・サービス
  • 契約
  • 販売・マーケティング
  • 法的構造
  • 人事

貴社ビジネスにおけるVATの影響評価を活用し、2018年1月1日に導入予定のVAT対策について明確な計画を策定することが推奨されます。

ご参考までに、過去に発行した下記のアラートも併せてご覧ください。

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