世界が直面する喫緊の課題 — CEOはそれをいつまで他人任せにできるのか?

執筆者 John de Yonge

Director, Global Insights, Research Institute | Global Markets – EY Knowledge

Analyst and thought leader focused on the CEO agenda, sustainability and the bioeconomy. Proponent of innovation for meeting global resource challenges. Skier. Fly-fisher. Tae kwon do black belt.

18 分 2019年7月8日

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2019年にEYが実施したCEO Imperative Studyは、投資家や取締役会がCEOに対して抱いている期待を示しています。それは、人類が直面する最大の課題に対応し、新たな成長を拓いていくことです。しかし、それをどう実現すればよいのでしょうか?

ほとんどのCEOは、グローバル規模の課題を解決するための努力を他人任せにしてきました。こうした姿勢は、保護主義的な経済政策、テクノロジーやテック企業に対する反発や批判、気候変動による自然災害など数々の問題を受けて世界のマーケットが混乱し続ける中でも変わりませんでした。

 EY CEO Imperative Studyの結果は、こうした課題への対応を差し控えてきたことについて、今までCEOが使い続けてきた言い訳がもはや通用しなくなったことを示しています。誰かの許可を得るまでソリューションを先導しないという姿勢も通用しません — 自らリードしていく姿勢こそ、まさにCEOに期待されており、新たな成長にとって不可欠です。

世界最大手の企業のCEO、取締役、機関投資家に対する調査では、これまでの認識と対照的な結果が明らかになりました:

  • 機関投資家が、グローバルな課題に対するコーポレートアクションにブレーキをかけることはありません。彼らはこうした問題を解決する企業投資を支援し、これまで以上にそうした企業の取り組みを投資先決定の材料とするでしょう
  • 取締役会でもまた、グローバルな課題に対する取り組みを投資家以上に支持しています
  • 世界のCEOは、グローバルな課題への対応に伴うリスク以上に、成長の可能性を重視しています
  • 今後10年間で、グローバルな課題に取り組むために必要となるパートナーシップ、報告基準、業界を超えたコラボレーションが大幅に進むでしょう

以下は、世界最大手の企業・組織のCEO、取締役、機関投資家を対象としたEY CEO Imperative Studyの主要な調査結果です。キーパーソンとなる三者が、グローバルな課題に取り組む企業の役割についてどういう視点を持っているかを理解するため、EYQは以下のグローバル調査を実施しました:

  • Forbes Global 2000、およびForbes Largest Private Companyリストにある企業のCEOと社外取締役
  • 少なくとも1,000億米ドルの運用資産を有する機関投資家(資産所有者と資産管理者の双方)

本記事では、調査から得られたインサイト — つまり投資家と取締役会が、長期的な成長と新たな可能性を手にするために、グローバルな課題に対する企業の取り組みに期待しているという洞察を掘り下げます。EYQのデータは、詳細なインタビューを通じて収集したグローバルCEO、投資家、取締役会からの個人的な視点によって裏付けられています。本調査は最終的に、貴社がグローバルな課題に関与し、その取り組みを加速するためのアクションアジェンダ(行動指針)を提供します。

中国、街の連なる屋根の空撮
(Chapter breaker)
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第1章

コーポレートアクションのニーズに合わせる

CEO、取締役会、投資家の全員が、成長のためにはグローバルな課題への関与が不可欠であることを認識しています。

所得格差の拡大、社会的セーフティネットの綻び、テクノロジーの変化による経済的不安定により、ポピュリスト運動が促進されています。気候変動は移民の新たな波を引き起こしています。ジェンダーにおける不平等が脆弱性や疎外感を生み、潜在的な経済成長を抑制しています。デジタルテクノロジーは、データの所有権、プライバシー、倫理、信頼に関する新たな課題を生み出しています。こうした課題は、1カ国あるいは一部のステーホルダーで対処できる能力を超えています。

グローバルな課題に目をつぶれば、経済、企業、社会にマイナスの結果をもたらされます。一方、対処することでプラスの影響が生まれます。例えば、国際連合(UN)は、女性と男性の生涯所得格差により、世界で  160兆米ドルの資産  が手つかずになっていると報告しています。偶然にも、世界で再生可能エネルギーを導入することで、2050年までに 気候変動のコストで160兆米ドル  という、同じくらい莫大な金額が節約できる可能性があります。

従来、ほとんどの企業のCEOは、グローバルな課題、特に政治的摩擦の源泉となる課題には関与しない姿勢をとってきました。いま、グローバル企業のCEO、取締役会、機関投資家が、コーポレートアクションの必要性を認識し、最も重要なことに、これらの問題にCEOのリーダーシップが必須であるという点で意見が一致しています。私たちは今、変化の転換点に立っています。

「今日、私たちは非常に多くのグローバル課題に直面しています。特に気候変動と社会的不公正に対する戦いが最重要課題です。まず課題を認識し、公にすること。それが、正しい答えを見つけ長期的な目標を定義するための主な前提条件です」とポルシェAGのCEOであるOliver Blumeは言います。

ビジネスと世界経済に対する最大のリスク

CEO、取締役、機関投資家は、ビジネスの成長と世界経済を脅かす最も深刻な問題として、下記の2つのグローバルな課題を挙げています:


  • 国家・企業のサイバーセキュリティ
  • テクノロジーの変化に起因する失業、およびそれに伴う教育や職業訓練の課題

これらは今現在のディスラプション(混乱)の代表例であり、未来の仕事や消費者の信頼、規制にも影響を与えています。

「将来の企業成長は、企業と顧客、人とテクノロジー、経営陣と従業員の間に信頼があるかどうかにかかっています。サイバー攻撃のリスクが高まり、職場でデジタルと人間の適切なバランスが取れなくなると、上述した重要局面で信頼はすべて損なわれてしまいます」とEYのGlobal Markets Digital and Business Disruption Lead Partner兼 EYQ  リーダーのGil Forerは言います。

CEOもまた、顧客からの反響や不安定な政治情勢の影響を受け、所得格差を重視しています。

取締役会メンバーは、こうした新しい技術によって生じる先入観や信頼といった問題に取り組む際には、AIの倫理を優先します。

投資家は気候変動を最重要課題と位置付けています。彼らはこれまで気候変動が長期的価値に与えるリスクについて警鐘を鳴らしてきましたが、それが今、明白な事実となりつつあります。

「気候変動、地政学的な不安定性、紛争、若者の失業、教育の欠如、デジタル化、不平等は、ビジネスリーダーが短期的・中期的に取り組むべきグローバルな課題の一例です」とGroup CEO of the National Bank of KuwaitのIsam J. Al Sagerは言います。

CEO必須条件 写真01
投資家と取締役会のコーポレートエンゲージメントはCEOよりも高い

3つの調査グループの回答者の大半が、世界最大手の企業はグローバル課題に「大きく」または「非常に大きく」関与すべきだと述べています。

驚くべきことは、CEO(51%)よりも機関投資家(54%)と取締役(58%)の方が高い割合で、大企業がグローバルな課題の解決に関与すべきだと考えている点です。

「企業は将来の世代の管財人になる必要があるということ。また、取締役会、上級幹部、C-suiteはこれらの問題を真剣に考えた上で、企業が団体とて、そして従業員が個人として、こうした課題に関与できるような一連の活動の枠組みを作る責任があること。この点が今後、ますます明確になってくるでしょう。企業は重要な意義を持つと同時に、違いをもたらすことができるのです」と、シンガポールに本社を置く大手金融サービスグループであるDBS GroupのCEO、Piyush Gupta氏は述べています。

Trane ®やThermo King®ブランドを含むIngersoll RandのCEO、Michael Lamachは次のように述べています。「多くの場面で、CEOは会社という立場で政府がやらないことにも挑戦でき、これは大きな影響力があることだと思います」

砂漠の砂上でレースをする車両の空撮
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第2章

CEO:熱を感じる

CEOはグローバルな課題への対応、そしてプラス面をとらえなければならないという、ステークホルダーからのプレッシャーを感じています。

リーダーシップを発揮して政治的な問題に関して公的な立場を取り、戦略を選択し、政策を設定し、積極的な対策を講じることで、世界が直面する重大な課題の解決を導く — リーダーには今、こうした姿勢がかつてないほど求められています。

Westpac Banking Corporationのアジア諮問委員会メンバーであるBala Swaminathanは、「世界最大手の企業のすべてが関与すべきだ」と述べています。「成長するかしないかの問題ではありません。存在を左右する問題なのです。」

 基本となるダイナミクスには以下のものがあります:

  • 世界的な課題に対し、各国政府が効果的に(一国でも全体でも)対応できていないという認識が広まっています。自国の政府が正しい行動を行っていると信頼できるかどうかに関する肯定的な回答は、全世界の一般市民の半数未満(47%)にとどまっています
  • 大企業には、これまで以上に大きな経済的影響力があります。米国だけでもFortune 500の企業の収益は、1955年にはGDPの35%でしたが、2016年にはGDPの72%にまで上昇しました。企業は、世界で築いてきた実績と豊富なリソースにより、グローバルおよびローカルの双方で他の関係者よりも大きな影響力を発揮できます
  • 企業が力を増すにつれ、従業員、顧客、他のステークホルダーは、拡大するグローバル課題への対応に関し、CEOがリーダーシップをとることを期待しています。従業員の71%は、CEOがグローバルな課題に対応することが非常に重要であると考えており、一般市民の76%は、政府が行動するのを待つのではなく、CEOが変化をリードすることを望んでいます

「会社や企業の役割についての議論が活発化しています。私たちは単に、ステークホルダーの利益を伸ばすためだけに存在しているのでしょうか?それとも、株主だけでなく、社会全体、コミュニティ、そしてステークホルダー全体に視野を広げるべきでしょうか?私の答えははっきりしています。最終的には、ステークホルダーに寄りそうべきです」とDBS GroupのGuptaは言います。

会社が大きくなれば、ステークホルダーのプレッシャーも増す

この調査で登場したCEOはプレッシャーを感じています。グローバルな課題に取り組むうえで、ステークホルダーから中程度から極度のプレッシャーを受けている、と全体の67%が回答しています。収益が200億米ドル以上の大企業の場合、この数字はCEOの77%に達します。取締役の数字も同様に高く、75%が同程度のプレッシャーを感じていると答えています。

「会社が大きくなればなるほど、ステークホルダーグループも拡大し多様性が増します。そのため、リスクを取り除き会社の将来の成功を保証しながらも、社会にプラスの変化をもたらさなければならない、という責任が増します」とthe National Bank of KuwaitのAl Sagerが述べています。

CEOの過半数(52%)が、最もプレッシャーを感じるステークホルダーは顧客であると回答する一方で、経営陣は、株主(40%)、従業員(40%)、一般市民(39%)を挙げています。

CEO、取締役会、投資家は、グローバル課題への対応おいてリスクよりも可能性に期待している

グローバルな課題に対する企業の活動は、機会とリスクの双方をもたらします。その一方で、グローバルな課題を解決するために進歩を遂げることは、持続可能な長期的成長の基盤構築に役立つと同時に、顧客、従業員、その他の重要なステークホルダーとの関係を深める機会を生み出します。一方、すべてのステークホルダーが正しい活動に必ずしも同意しているわけではなく、その実行にはリスクが伴います。

機会とリスクのバランスに関しては、CEOの大半が、グローバルな課題により積極的に対応することについて、リスクよりも機会の方が大きいと考えています。 取締役会と投資家もそれほど大きくは変わらず、それぞれ、リスクよりも機会が大きいと考える回答が過半数を占めました。つまり、3つのいずれのグループも、行動を起こすうえで機会よりもリスクが大きいとはとらえていません。

CEO必須条件 写真02

CEOは、最高の人材から興味を引き付けることは、成長の最大の可能性であると言います。そして最大の可能性は、積極的にグローバル課題に取り組むことから得られるのです。競争力の向上(34%)、新規あるいは異なるタイプの投資家の誘致(33%)もまた、しばしば言及されます。

収益が200億米ドル以上の企業のCEOは、成長の可能性について特徴的な見方を示しています。彼らは、グローバルな課題への取り組みに役立つ新しいビジネスモデルやサービスを創出することが最高の成長の可能性であり(40%)、最高の人材の獲得に結びついていると回答している一方で、中小企業においては18%にとどまっています

Alaska Permanent Fund CorporationのCEOであるAngela Rodellは、次のように述べています。「私は物事を、ネガティブではなくポジティブなレンズを通して見ています。成長の可能性について考えてみましょう。これらの課題は極めて難しく、変化は大きな痛みを伴います。しかしその「変化」から、どの分野で成長を追求すべきか考えるための極めて興味深い方法が生まれるのです」

シドニーのアンザック橋、上空
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第3章

投資家は短期的なリターンより長期的な価値を望んでいる

投資家はグローバルな課題に取り組む企業への支援を強化しています。

機関投資家は長い間、短期的なリターンをもたらさないコーポレートアクションにブレーキをかける存在と見なされてきました。しかし近年、状況は変わり始めています。金融市場に対する長期的な価値を測定し実証するための新たな指標を特定・作成する  Embankment Project  が、世界最大の資産の所有者や管理者から支援を受けているのです。資産管理会社であるBlackRockのCEO、Larry FinkからCEOに宛てたアニュアルレターは、企業の経営者が長期的な価値創造に集中するよう呼びかけている点で大きな影響を与えています。

「企業がこうしたグローバル課題に取り組むことが重要である理由は、それが長期的な価値創造に不可欠だから、という単純なものです。しかし企業はこれまでこうした課題に充分に関与して来なかったのです」と、AustralianSuperのCEOであるMark Delaneyは述べています。

「企業は、世界経済で活動する中でグローバルな課題の影響を受ける、多くのステークホルダーの1つです。私たちの意見では、社会的、および環境的な課題の悪化に加担するような企業活動は、時間の経過に伴い、政府、規制当局、従業員、顧客など、さまざまなステークホルダーの反発を引き起こします」と、DWSグループ、およびEMEA Co-Head of Equities、CIO(最高投資責任者)であるPetra Pflaumは説明します。「最終的には企業の価値創造の可能性にも影響を与えるでしょう」

世界で活躍する機関投資家に対するEYの調査では、投資家は今後、グローバルな課題に取り組む企業対応など、長期的な価値創造の課題をますます考慮に入れるようになるだろう、という見解を裏付けています。

投資家の回答者ほぼすべて(98%)が、過去2年間、グローバルな課題に取り組む企業の対応が投資の意思決定をある程度左右したと報告しています。グローバルな課題が頻繁に、または非常に頻繁に、投資の意思決定の要因となったと回答したのは半数以上(55%)に上りました。

CEO必須条件 写真03

投資家は今後ますます、グローバルな課題を重視するでしょう。機関投資家の83%が、今後5年間、グローバルな課題に取り組む企業の対応が投資の意思決定をますます左右するようになるだろう、と述べています。

しかし、投資家は、グローバルな課題に対処するために企業投資をサポートすることで「約束を果たす」のでしょうか? 機関投資家からの回答は、長期的な成長よりも短期的なパフォーマンスを優先する、という従来の考えを見直す時が来たことを示唆しています。投資家の多く(60%)が、短期的なパフォーマンスが低下した場合でも、グローバルな課題に対処するための長期投資を支持しています。

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ほとんどの投資家はグローバル課題への取り組みに対する企業投資を支持しているものの、自らがその進展をさらに効果的に促進できると認識しています。つまり、回答者の86%が、投資モデルや手法を変えることで、事業利益とグローバル課題への進歩の足並みをそろえられる可能性がある、と考えているのです。

CEO、取締役会、投資家は、グローバルな課題に取り組むために必要なパートナーシップ、報告、コラボレーションが今後5〜10年に著しい進歩を遂げると予測しています。

グローバルな課題は、複数のステークホルダーがいたとしても、一国単独では解決できません。CEO、取締役、投資家は、官民パートナーシップ、報告基準、さらにこれらにうまく対処するための業界間コラボレーションが大幅に進歩するだろうと予測しています:

  • CEOの80%は、政府、企業、一般市民が、グローバルな課題への企業の有意義な活動を支えるようになるだろうと回答しています。つまり、こうした問題でリーダーシップを発揮することで、競合他社より優位に立てるということを意味しています
  • 取締役会の83%は、グローバルな課題に取り組む官民パートナーシップがより一般的になると語っています。つまり、さまざまなレベルの政府とのコラボレーション能力が、今後ますます重要なスキルセットになることを示唆しています
  • 機関投資家の84%は、企業報告は長期戦略、成長、持続性に焦点をあてた内容に移行してゆくだろうと考えています。これは、長期的な価値への注力、そして、短期的な財務報告からの移行が強まってゆくことを裏付けています
ユタ州、バレー・オブ・ザ・ゴッドのビュートバレーから見える天の川
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第4章

成長に向けたコーポレートアクションプラン

企業成長に不可欠な新しい要素は、グローバル課題に対するアクションです。貴社のプランはどのようなものですか?

世界規模の課題は、企業成長に直接的なリスクをもたらします。世界中のマーケットは、保護主義的な経済政策、テクノロジーの反動、気候変動による自然災害など、さまざまな課題を受け混乱し続けています。したがって、企業がこれらの問題に積極的に関与し行動を起こすことは経済的に理にかなっています。また、デジタル権限を与えられたステークホルダーが、問題解決をけん引する企業を支持し、そうでない企業を罰則するような環境において、グローバルな課題に関与しない企業にのみ、成長を阻むリスクが増大します。

将来の成長を可能にするために、企業は複雑なグローバル課題の解決に向けて実証的に取り組むための短期・長期計画を先手を打って策定する必要があります。CEOも企業も、もはや傍観者ではいられません。

「CEOは世界の課題に関与する必要があります」とDBSグループのGuptaは言います。「率直に申し上げて、私自身も同僚も、より深刻な問題や一般的な問題などにここ数年でようやく注目し始めました」

企業がビジネスや経済成長への脅威に対応し、リーダーシップを発揮してステークホルダーからの期待に応える中で、グローバルな課題に企業が関与する動きが生まれています。同様に重要なのは、期待を超えて人材や顧客との関係を深め、グローバルな課題への解決策を提供する新しいビジネスモデルを開発することによって競争力を強化することです。

アクションアジェンダ


グローバルな課題に取り組むリーダーシップは、新たな成長に欠かせません。アクションアジェンダを通じて組織変革し、貴社に影響を与えるグローバル課題に対応していかなければなりません。

Ingersoll RandのLamachはこうアドバイスしています。「CEOにまずお伝えしたいのは、貴社の戦略に合ったアクションアジェンダを見つけ、それを貫ぬくことです。 サステナビリティは貴社の戦略、ビジネス、ミッション、投資、M&A戦略に結び付いている場合はさらに重要な意義を持ちます」

1. グローバルな課題と取るべき対応を特定する。以下を自問する:


  • 貴社の事業、ステークホルダーにとって最も重要なグローバル課題は?
  • グローバルな課題を直接的、間接的にどう悪化させているのか?外部性があるか?
  • 最も影響を与えることができるのはどの部分か?能力のギャップはどこにあるか?


2. グローバルな課題の視点や行動計画に対し、C-suite、取締役会、投資家の目線を合わせる。以下の質問を検討する:


  • ステークホルダーからのプレッシャーのレベルは?どのステークホルダーからのプレッシャーが一番大きいか?
  • C-suite、取締役会、投資家は、ステークホルダーからのプレッシャーの違いを認識しているか?
  • 活動の有無における機会とリスクのバランスは?顧客、従業員、才能ある人材との間で関係性を深められる機会とは何か?
  • さまざまな投資家の関心を引く機会があるか?


3. 変革する。解決策を導くリーダーシップをとること。大した問題ではない、という姿勢は通用しません。このシフトを行うためには、社内改革をし、それを外部のアクションへつなげることが求められます:


  • 企業理念はグローバルな課題と関連している必要がありますが、それで終わりではありません。理念は社内変革を導くものであるべきです。すなわち、企業文化と業務がそのまま、グローバルな課題に取り組む企業の姿勢と目標 — つまり「実行」から「存在」への移行を反映するような意識変革が求められます
  • そのために、企業戦略は、グローバル課題に関連するリスク、機会、組織対応に関する短期的・長期的な見解を盛り込まなければなりません
  • 組織のインセンティブ、ガバナンス、指標は、有意義な活動の推進に向け、グローバルな課題の進捗状況と関連している必要があります
  • 最高幹部には「有言実行」でなければなりません。これはグローバルな課題に取り組む会社全体の立場を体現しています
  • グローバル課題に対処するため、コーポレートアクションの長期的な価値を表現するための指標やストーリーを選択・開発します


 EYのCEO Imperative Study は、CEOと企業が、企業成長と経済への脅威であるグローバルな課題に対して、傍観者のままではいられないことを示しています。誰かの許可を得るまでソリューションを先導しない、という姿勢も通用しません。CEOに期待されているのは自らリードしていく姿勢であり、この姿勢は新たな成長にとって不可欠です。

世界最大手の企業のCEO、取締役、機関投資家に対する調査では、これまでの認識と対照的な結果が明らかになりました。CEOはグローバルな課題への対応について、ステークホルダーからのプレッシャーに加え、リスク以上にチャンスを感じています。いま、グローバル企業のCEO、取締役会、機関投資家が、コーポレートアクションの必要性、そして最も重要なことに、これらの問題にCEOのリーダーシップが必須であるという点で意見が一致しています。私たちは今、変化の転換点に立っているのです。

サマリー

将来の成長を実現するため、企業は複雑なグローバル課題の解決に取り組むための短期・長期計画を積極的に策定する必要があります。

この記事について

執筆者 John de Yonge

Director, Global Insights, Research Institute | Global Markets – EY Knowledge

Analyst and thought leader focused on the CEO agenda, sustainability and the bioeconomy. Proponent of innovation for meeting global resource challenges. Skier. Fly-fisher. Tae kwon do black belt.

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