EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
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理想的なCFOの役割への進化:財務のスコアキーパーからバリューアーキテクトへ
多くの企業は、CFOを主に効率的な会計および財務パフォーマンスを提供する「財務のスコアキーパー」と見なしてきました。しかし、サステナビリティ規制の拡大とAIによる財務機能の拡張により、変革的な移行が見えてきています。つまり「バリューアーキテクト」としてのCFOの役割です。この役割の進化によって生み出される機会をすべてのCFOがつかむわけではありませんが、優れたCFOならそうするでしょう。彼らは、サステナビリティ変革を、自らの影響力を拡大し、将来CEOとなるべく基盤を作り、自社がより広範なステークホルダーにもたらす価値についてこれまで以上に包括的な見方を得るチャンスと見なすでしょう。
現在、生成AIとデータ分析による効率化が大きく進んでいるおかげで、CFOは「ビジネスのコパイロット(伴走者)」としての役割を果たすようになっています。ビジネスのコパイロットとしてCFOはこれまで以上に、意思決定にサステナビリティを組み込み、ESG目標達成に向けた進捗をモニタリングし、推定される資本的支出(CAPEX)と運営支出 (OPEX)の施策(例えば、CSRDのため)を定義し、最終的には、エクイティストーリーにサステナビリティを盛り込むようになります。
間もなく、CFOは、意思決定を自社の長期的価値戦略と整合させるために、経営幹部全体の合意形成を推進する立場となるでしょう。次の段階では、CFOは持続可能かつ収益性のあるビジネスモデルを実現し、短期的なコスト削減と長期的価値創造を両立させることで、サステナビリティ変革を加速する「バリュークリエイター(価値クリエイター)」となるでしょう。本調査によると、約半数のCFO(48%)が既に自らを積極的なバリュークリエイターと見なしており、80%が価値創造の主要な担い手となるための適切なスキルを有していると自信を持っています。これは、CFOの影響力が高まる機会を示唆しています。
さらにその役割の進化を見据えると、「バリューアーキテクト」としてのCFOが見えてきます。CFOは、自社、人材、環境のために価値を確保することになるでしょう。これには、財務報告とESG報告を統合したいわゆる「バリュー報告」を行うことが含まれます。バリュー報告では、自社の財務的価値と社会的および環境的貢献の両方が記載されます。EY EMEIA Area Managing PartnerのJulie Linn Teiglandは、次のように述べています。「サステナビリティは価値創造と本質的に関連しており、CFOは財務価値の創造において重要な役割を果たしているため、彼らが価値創造をこれまで以上に包括的に捉えるようになることは、自然な進化です。こうした進化によって、レジリエントなビジネスモデルを推進し、自社のために長期的価値を創造する役割が、今後の財務機能の中心となるでしょう」