2. DeSPAC
2022年の公表ベースでのDeSPAC(IPOを行ったSPACが買収対象会社と合併し、⼀連の買収取引を完了すること)は75件であり、2021年上半期の157件と⽐較して52%減少しました。また、IPOによる調達額は125億米ドルであり、 2021年上半期の471億米ドルと⽐較して73%減少しました。買収額は625億米ドルであり、2021年上半期の3,715億米ドルと⽐較して83%減少しました。
<DeSPAC 2期比較>

Sources: EY analysis, Dealogic, SPACInsider
2022年上半期におけるDeSPACの買収金額上位5件は、以下の通りです。

Sources: EY analysis, Dealogic, SPACInsider
3. 米国SPAC
2021年度の⽶国のSPAC上場件数は、613件、調達⾦額1,625億米ドルを記録しましたが、2022年度上半期は、69件、118億米ドルと⼤幅に減少しました。
<米国SPAC上場企業数推移>

Sources: EY analysis, Dealogic, SPACInsider
2022年度第2四半期ベースで公表された米国のDeSPACの件数は、39件と第1四半期の31件を超えたものの、昨年に比べるとその勢いが落ちています。
<公表済みのDeSPAC‐米国>

Sources: EY analysis, Dealogic, SPACInsider
完了したDeSPAC取引についても、2021年度は199件、買収⾦額4,649億米ドルを記録しましたが、2022年上半期ケースでは、47件、買収⾦額1,116億米ドルと昨年より大幅に減少しています。
<完了したDeSPAC-米国>

Sources: EY analysis, Dealogic, SPACInsider
4. おわりに
上記のように2022年上半期では、⽶国を中⼼としてSPACに関する取引は⼤きく減少しました。⼀⽅で、欧州やアジアなどでのSPAC上場やDeSPACが少しずつみられるようになってきました。また、東京証券取引所においても⽇本でのSPACに関する議論がされています。
今後のSPACに関する量的な盛り上がりは不明ですが、クロスボーダー上場を含めた上場のひとつの形態として定着する可能性があることを考えると、その動向には引き続き留意する必要があると思われます。

【お問い合わせ】
EY新日本有限責任監査法人 企業成長サポートセンター シニアマネージャー
山本 竜大
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ニュースリリース
サマリー
地政学的リスクや米国の金融引き締め等による世界的なIPOの市況悪化の影響を受け、世界的に見て2022年上半期のSPAC、DeSPACはともに大幅に減少。特に米国での減少が顕著です。
一方で、IPOの一形態としては定着する可能性はあり、その動向については引き続き注目すべきです。