BOIは軽減緩和措置を実施
減税期間は最大10年
タイでは2023年3月、BEPS2.0のPillar2に沿って、グローバルミニマム課税を原則として導入することを決定しました。2025年を適用初年度として施行することが予定されているものの、現段階では規制の詳細や構成要素はまだ公表されていない状況です。
グローバルミニマム課税の導入により、税恩典の効果は大きく減じられ、投資誘致の働きかけが奏功しない恐れがあるため、BOIは2023年5月に税恩典の効果を十分に享受できるよう、BOI税恩典を取得している、あるいは今後取得する予定の納税者に対し、当該税恩典に生じる潜在的な影響を緩和するための措置を講じることを発表しています。
この措置により、BOI税恩典を得ている納税者は、免税期間がある場合、現在享受している100%免税(法人税率0%)のメリットを放棄する代わりに、軽減された法人税率10%を選択することができ、その場合、免税期間の2倍に相当する減税期間を享受できるようにしています。ただし、当該納税者が免税期間に加え減税期間も有している場合は、その合計が10年間を超えることができないとしており、留意が必要です。
免税か、減税を選ぶか
免税では10年以上の期間もあり
なお、新たにBOIを申請する納税者は、後日減税制度に転換できる柔軟性を備えた免税制度、または減税制度のいずれかを選択できます。当初から免税制度ではなく、減税制度を選択可能としている趣旨は、免税期間の2倍の減税期間を付与することで、納税者が実質的に享受する税恩典の効果に差異が生じないようにすることにあります。
ただし、新たに減税制度を選択する場合には、減税期間の上限が10年になることに注意が必要です。免税制度を選択した場合は、10年以上の免税期間を付与されることがありますが、減税制度では10年を超える減税期間を得ることはできません。
こうした軽減緩和措置を適用するとき、BOIを新たに申請する企業は、連結収益が280バーツ以上の多国籍企業グループであるか、申請前の会計期間において国別報告書の提出要件の対象であること、また、追加の特別な投資奨励措置(生産効率改善など)を有さず、基礎的BOI投資奨励措置の資格があるか、あるいは現在享受しているといった要件があります。一方、現在BOI税恩典を得ている企業は、免税期間が少なくとも1年間残存しており、かつ法人税免除累積額が上限額に達していないこと、そして関連する申請手続きを順守していることが要件となっています。