監査におけるAIの活用

AIと全量データを活⽤したリアルタイムなリスクの識別へ

東京大学大学院やEY内の不正調査、業種セクター、テクノロジーの専門家と協働して、公開情報や企業内部の全量データを分析するさまざまなAI監査ツールを開発、実用化しています。

AIを活用した監査ツールの概要


連結財務諸表レベルおよび個社レベルの異常検知によりリスクの高い会社や勘定科目を特定し、仕訳レベルの異常検知や、取引明細レベルの異常検知などとシームレスに連携させることで、効率的かつ効果的な分析の実現を目指しています。


デジタル監査ツール概要


WebDolphin/TBAD

AIを利用した財務分析ツール​​​​

WebDolphin/TBAD

分析対象
・有価証券報告書(WebDolphin)
・子会社財務諸表(TBAD)

適用セクター
・全セクター

活用方法
・過去10年分以上の上場企業の財務データを用いて財務指標を分析
・学術研究に基づく不正会計予測モデルを利用

リスク検知やインサイト事例
・同業他社比較による業界動向の把握やビジネスを理解
・不正の兆候把握
・監査対象外子会社含め異常な財務数値の識別
・子会社財務数値の同業他社との比較

関連記事
試算表を用いた連結子会社のリスクの識別(情報センサー2023年2月号 デジタル&イノベーション)


General Ledger Anomaly Detector (GLAD)

会計仕訳異常検知ツール​​​​​​

General Ledger Anomaly Detector (GLAD)

分析対象
・総勘定元帳(仕訳)

適用セクター
・全セクター

活用方法
・機械学習により仕訳データから取引パターンを識別
・パターンから乖離した仕訳を抽出するアルゴリズムを利用

リスク検知やインサイト事例
・売上高の二重計上の識別
・経理部門で把握していない修正仕訳の識別
・納期を前倒しした売上の識別

関連記事
仕訳のパターンに着目した会計仕訳の分析手法(情報センサー2023年12月 デジタル&イノベーション)
 


Sales Ledger Anomaly Detector (SLAD)

売上取引異常検知ツール

Sales Ledger Anomaly Detector (SLAD)

分析対象
・補助元帳

適用セクター
・主に卸売業
・情報関連サービス業

活用方法
・補助元帳から循環取引などの不正リスクの高い売上取引を検知
・売上全体や時系列の動きを視覚化

リスク検知やインサイト事例
・主要仕入先に対する売上取引の抽出
・取引先別月次売上高分析にて担当者の計上誤りの識別



Project Progress Anomaly Detector (PPAD)

進捗度異常検知ツール

Project Progress Anomaly Detector (PPAD)

分析対象
・各プロジェクトの明細データ

適用セクター
・主に建設セクター

活用方法
・機械学習により進捗率等を予測
・プロジェクト全体及び個々の動きを視覚化

リスク検知やインサイト事例
・監査人がリスク対象として検討すべき工事の識別
・工事損失が発生する可能性のある工事の識別


eXplainable AI

説明可能なAI

eXplainable AI

進捗度異常検知ツールへの分析機能の追加

  • 各工事契約の特徴量(工事種類、担当支店、工期等)が、どの程度推定値の算定に影響しているかを把握
  • 監査人がリスクが高いと識別した工事契約に対して、重要な特徴量が類似する他の工事契約を提示

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Branch Anomaly Detector (BranchAD)

拠点損益異常検知ツール​​​​​​​

Branch Anomaly Detector (BranchAD)

分析対象
・各拠点の明細データ

適用セクター
・主に小売・外食セクター

活用方法
・回帰分析による不自然な損益の検知
・拠点間の付替による減損回避リスクの識別

リスク検知やインサイト事例
・減損リスクが高い店舗の特定
・異常に高額な取引が行われた店舗の識別

関連記事
拠点損益情報を活用した利益付替などの異常検知について(情報センサー2023年新年号 デジタル&イノベーション)
 


TBAD for FSO

自己査定異常検知ツール

TBAD for FSO

分析対象
・貸出先の与信情報及び財務情報

適用セクター
・法人貸出を行っている金融業

活用方法
・機械学習により貸出先の債務者区分を予測
・与信ポートフォリオ全体や業種別など様々な切り口での動きの視覚化

リスク検知やインサイト事例
・監査人がリスク対象として検討すべき貸出先の識別
・信用リスクが悪化している業種の識別


Process Anomaly Detector (ProcessAD)

プロセス異常検知ツール

Process Anomaly Detector (ProcessAD) プロセス異常検知ツール

分析対象
・イベントログ

適用セクター
・全セクター

活用方法
・機械学習によりイベントの発生確率を予測
・リスクシナリオに応じたルールベースの異常検知

リスク検知やインサイト事例
・誤った金額での債務計上取引の識別
・取引の特徴からすると極めて稀な取引の識別

関連記事
AIとイベントログを用いたプロセスの異常検知(情報センサー2023年6月号 デジタル&イノベーション)


デジタルの変革

AIと全量データを活⽤したリアルタイムなリスクの識別へ 東京大学大学院やEY内の不正調査、業種セクター、テクノロジーの専門家と協働して、公開情報や企業内部の全量データを分析するさまざまなAI監査ツールを開発、実用化しています。

デジタルの変革

情報センサー記事のご紹介

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